考えて作った計画に、本当に従って行動したら、人間はすぐ身体を壊してしまう。身体は、自ら壊れるような運動はしない。だから、頭で考えた計画というものは、ほとんど実行できない。
私たちの身体は、そのときそのとき、その場の感情に従って衝動的に動いていく。その結果、行動を選択することになる。そうだから人間は健康に生存していける。将棋をしているときでさえも、「王より飛車を可愛がり」となる。それでゲームは楽しくなり、人はそれを好きになる。皆が好んでそれをすることでゲームとして成り立っていく。
巷のビジネス指導書にあるような、「衝動的に行動すれば失敗、目的を立てて計画的に実行すれば成功」という教えとは関係がない話です。そもそも目的を立てて計画的に実行できるような人は、無計画に進んで失敗するようなことはしない。逆に、無計画で進みたがるような人が計画をつくっても、うまくいきません。いずれにせよ、計画のあるなしにかかわらず、人間が行動するときは、結局は衝動的です。
人間は感情にしたがって衝動的に行動する。それも脳内シミュレーションで予測した将来の自分のイメージに対して感情を引き起こす。その感情に駆られて運動を実行する。それで得られた金銭や勝負の得点などの数字を見て損得をはじき出す。その後、予想した将来イメージを思い出して、その行動がそれを目的として合理的で正しかったことをチェックする。そのとき、自分の人生、というものを確認できる。成功感、失敗感、勝利感、敗北感など感情をしみじみ味わう。その確認が人生ゲームの楽しさです。感情に始まり、感情が勘定に変わり、最後はまた感情で終わる。感情にゆすぶられ、楽しいからゲームに夢中になる。それでいて後から見ると、勘定としてもあまり損がない行動になっている。
拝読サイト:ゼロサムゲームと感情の勘定
拝読サイト:感情を計算に入れる