
それは進化の結果できた、たぶん人類にだけある特有な神経回路の活動です。大きな大脳皮質を使わなければ不可能なほど複雑で膨大な、神経信号の操作なのです。人間以外の動物が、「心、欲望、存在、言葉、自分、生きる、死ぬ、愛する、憎む、幸福、不幸、世界、人生、美、正義・・・」、のようなものを感じているとは考えられません。猿が自分や他人(他猿?)の死をイメージするでしょうか? きちんと観察すれば、そんなことはありえないことが分かります。
命、心、自我、生死など、そういう目に見えない神秘的なものに強い存在感を感じるような脳の働きは、人類が他の動物と分かれて進化して来た過程で獲得したものに違いありません。動物が感じる世界には、こういうものは存在しません(と動物に聞いたわけではありませんが、筆者は確信しています。その理由はだんだんと述べます)。つまり、これらの神秘的な抽象概念に対応するものに強い存在感を感じることは、この数百万年間の進化競争を勝ち抜いてきたホモサピエンスの脳の神経機構だけが作りだす人類特有の錯覚現象なのだと思います。
拝読ブログ:認知科学ってなんだ!?