一時さかんに言われた肉食系男子、草食系男子からさらに進化して、近頃絶食系男子という言葉が流行っているようですね。
肉食系とは恋愛に対し旺盛で、がんがん行くタイプ、草食系とは恋愛に対する興味関心はあるが、自分からはあまり行動に出ず、女性からのアプローチを待つタイプ、という印象を持っています。
絶食系とは、そもそも恋愛に何の関心もないか、あるいは関心はあっても自分には無理だと諦めている人を指すようです。
ある意味悟りを開いたような男ですね。
でもまわりを見回すと、たしかに絶食系としか言いようが無い中年の男がけっこう存在します。
それも関心があるけど完全に諦めてしまっている、というタイプが。
かつてわが国では結婚は親が決めた相手とするもので、恋愛沙汰など破廉恥な行為だとされていました。
その後お見合いによって、少なくとも会ったことも無いような人と結婚することはなくなりましたが、やっぱり恋愛は一部の恥知らずな男女のするものだとされていました。
ところが1980年代以降、男女雇用機会均等法が施行されたりして結婚に対する意識が変化し、結婚はすべからく男女の自由な恋愛の末にくるものだとされるようになりました。
このことは、くっつけたがりの世話焼きおばさんを駆逐し、世話焼きおばさんがいれば相手が見つかったかもしれない、男女のことに疎い多くの独身者を生みだすことになりました。
私が就職した1992年には、職場で40歳を過ぎて独身という人は男女ともごく稀でした。
今ではうじゃうじゃいます。
そして逆に若い人は20代で結婚する人が多く、30代、40代に独身生活を謳歌する人が多いように思います。
男女のことは極めて個人的なことなので、個々人が自由にすればよいことですが、人口問題を考えると、今後のわが国社会に暗い影を落とします。
結婚しなくても子を持つカップルはいますが、圧倒的多数は夫婦となってから子をもうけるか、あるいは妊娠したら年貢の納め時とばかり結婚するか、というパターンが多いようです。
極めて個人的な事柄が、将来の少子高齢化の原因になり、しかもそれは年を追って悪化しつつあるように見受けられます。
だからこそ、余計なお世話だとは思いますが、市役所などの公的機関が税金を投入してお見合いパーティーを開いたりするのでしょう。
しかし惚れるというのは事故のようなもの。
そんな気がさらさらなくても惚れてしまえばやむを得ないものの、惚れてもいないものを無理矢理適齢期だからとくっつこうとするのは困難でしょう。
世話焼きおばさんの復権と、お見合い結婚の良さを再認識すべきではないでしょうか。
絶食系男子となでしこ姫―国際結婚の現在・過去・未来 | |
山田 昌弘,開内 文乃 | |
東洋経済新報社 |