新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

米国の旅③ フィリップス・コレクション

2010年03月07日 | '10 ワシントン、フロリダの旅

アメリカの首都、同時に国際政治の中心地ワシントン。毎日テレビで目にする特派員報告の背景は今白一色。その北西部にあるフィリップス・コレクションがこの日の目的地です。地下鉄で5つ目ぐらいなのに、ここはイギリスを思わせる建物が立ち並んでいます。

America_173 鉄鋼業で財をなしたフィリップス家が、芸術を愛する心と家族の深い絆を形にした美術館です。“家庭的な雰囲気の美術館”をモットーに、かつて住んだ邸宅がそのまま美術館になっており、優雅な屋敷に招かれたような気分でソファーにくつろいで鑑賞できる贅沢な空間です。別館は親交のあった日本人、郷夫妻の寄付になるということを初めて知りました。

この美術館はかつて講談社が出した「La muse 世界の美術館」全50冊に入っているのでどうしても訪れたかったところです。19世紀の元気のいいアメリカの富豪がこぞって西洋の絵を買い求めたので、かなりの印象派の絵がアメリカにあり、ここもその一つです。

America_126America_132America_152_3America_161 2時間あれば鑑賞できます。ニューヨークにあるフリック・コレクションもそうでしたが、邸宅に飾られる美術品の数はちょうどよくて、邸宅の調度品や雰囲気と相まって「観たー!」という実感と充実感があります。

America_176 地下鉄で、国会議事堂とワシントン記念館を結ぶ美しい地区モールへ。ここにはアメリカの誇りともいえる美術・博物館がひしめいていいます。選んだのは東洋美術の宝庫といわれているフリーア美術館。快慶、宗達などはあったものの観客も少なく低調気味・・・。でもここで重大な見落としをしていたのです。必見の「孔雀の間」。

入り口のポスターを見ていながら、午後の集中力が欠けていたのと、日本美術とは離れて奥まっていたのと、次の航空博物館のことが頭にあったからです。今回の最大のミスでした。もう再び訪れる事はないと思うと悔しさが募ります。

America_190 次は宇宙博物館。国立とあって、この一帯は入館無料。きっちり5時閉館だからゆっくりは観れません。

初期の宇宙服は意外にシンプルでこれでいいのかと不安になったり、平日なのに家族で楽しんでいいるさまが印象的でした。

自然史博物館で恐竜の骨も観たかったけど、スミソニアンの文化機関を見るのには1週間はかかるとか・・・。アメリカらしいユニークなミュージアムが多過ぎて選択に迷いましいた。

夕食は中華街のレストランで。ここには必ずチャーハンがあるので、お米が恋しくなるとしぜん「中華」の選択になります。そういえばブリュッセルでもそうでしたが、帰国すれば、なぜ中華なんか・・・、もっと他のを食べればよかった・・・と悔みます。お店の中はアメリカ人でごった返していました。割安だし、おいしいから中華は今やアメリカ人の国民食?と思うほどです。

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もうひとつ見るべきところを思いだして、夜8時だというのにタクシーを飛ばして見に行きました。それは★★★★★のウィラード・コンチネンタルホテルにあるという日米修好条約批准のときの銅版画です。

安政7年ポーハタン号に乗船して派遣された遣米使節団で、護衛船「咸臨丸」も同行しました。そのときの正使新見豊前守に夫が関係があるということで、夫は必見のようでした。銅版画そのものは展示されていませんでしいたが、アメリカ史を見続けてきた老舗ホテルとしての歴史の展示室があり、その壁に写しこまれていました。

当時の新聞でも大きく報道されて、ホテルのワンフロアーを借り切ったり、厨房を借りて使節団の胃袋を賄うべく日本料理をしたとか。幕末という特異な時代の中で、世界に飛躍しようとした日本の姿を垣間見る思いでした。

ニューヨークと違いワシントンの人は総じて親切でした。地下鉄を出て地図を上下に動かしながら場所を確認していると、親切に声をかけてアドバイスしてもらったことが何度かありました。パリの16区でも同じような親切を受けたことがあります。その場所や、心のゆとりもあるのでしょうが、無関心と心にかけてくれる事の違いの大きさ。人柄やその土地の格が表れる気がします。

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