●所有者不明の土地 160自治体で固定資産税課税できず
NHK 2016年08月04日
相続などの登記がされず、所有者が誰か分からなくなっている土地が全国各地で増えています。その結果、自治体が課税できなかった固定資産税が、少なくとも160の自治体で1年間におよそ1億6000万円に上ったことが、民間の研究機関の調査で分かりました。実際に課税できていない固定資産税はさらに多いとみられ、専門家は「国が法律を作り、地域の実情に即した対応策を考えるべきだ」と指摘しています。
相続などの登記がされないまま放置され、所有者が誰か分からなくなっている土地が全国各地で増えていることを受けて、民間の研究機関の東京財団は、こうした土地の固定資産税の徴収がどうなっているか調べるため、全国1718のすべての市町村と東京都を対象にアンケート調査をしました。
それによりますと、およそ28%に当たる486の自治体が「固定資産税の徴収が難しくなった」と回答しました。さらに、このうちの200の自治体が「やむをえず、こうした土地を、固定資産税の課税の対象からいったん外した」と回答しました。課税できなかった固定資産税の額は、回答があった160の自治体で平成25年度の1年間に合わせておよそ1億6000万円に上りました。
アンケートへの回答がなかった自治体がおよそ48%に上っていることなどから、実際に課税できていない固定資産税はさらに多いとみられ、所有者が分からない土地が、自治体の財政にも影響を及ぼしている実態が浮かび上がっています。
調査を担当した東京財団の吉原祥子研究員は「相続が登記されない影響で、固定資産税の台帳も更新されておらず、資産価値の低い土地を中心に、もはや、行政が持つどの台帳を見ても、現在の所有者が分からなくなりつつある。自治体の努力だけでは根本解決できない問題なので、国がしっかりと法律を作り、地域の実情に即した対応策を考えるべきだ」と指摘しています。
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