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矢野顕子 さとがえるコンサート 2006

2006年12月15日 | Live

12月4日(月)晴。

矢野顕子トリオの「さとがえるコンサート2006」を聴きに行った。7時半開演なので短いかもと思っていたが2時間くらいやってくれた。新曲あり、'80年代の名曲あり、弾き語りありで楽しかった(画像は会場で購入したデビュー30周年記念ムック本「えがおのつくりかた all about 矢野顕子」と公演パンフレット)。

かみての前から3列目。目の前にはドラム・キットがあった。クリフ・アーモンド側だった。あの力強いドラム・プレイを目の当たりにするのかと思うと怖気づいてしまった。もしかしたら鼓膜が破れるかもしれない。それは考えすぎかもしれないがアルコールを飲んで気を紛らせることにした。僕はお酒に弱いので、普段は開演前に飲まないことにしている。でも、まぁ今日はいいじゃないか。ベロベロになって頭の中がグルングルン回っていたって、それはそれで面白いかもしれない。何しろ目の前でクリフ・アーモンドが力一杯ドラムを叩いてくれるのだ。そんなわけで開演前にビールをぐびぐび飲んだ。カッーと火照ってきた。これで大丈夫だ。クリフくん、いつものように叩け。何も恐くない(笑)。

ステージは向かって左からグランド・ピアノ、アクリルの仕切り板、中央にアンソニー・ジャクソンがコントラベース・ギターを弾くスペース、そしてドラムキット。会場にはマーヴィン・ゲイの「What's Goin' On」がかかっていた。舞台監督の末永博嗣さんがピアノの上に楽譜(歌詞のファイル?)を置く。ライヴハウスなので舞台セットはシンプルだ。何もない。

しもての袖からクリフ・アーモンド、コントラベース・ギターを抱えたアンソニー・ジャクソン、そして矢野顕子が現れて開演した。最初の曲はトリオで「PRESTO」。僕にとっては2002年以来のトリオ公演だった(その時はギタリストの佐橋佳幸が参加していた)。なんだか久し振りだし(実に4年振り!)、懐かしく思うところもあって、とてもいい感じで楽しめた。「PRESTO」、「電話線」、「David」と続いた。「さとがえるコンサート」10周年ということで、まるで「ベスト・オブ・さとがえる」のような選曲だと思った。

「I Hate It」というEllegardenのカヴァーがあり、ツアーの前日にできたという新曲が披露された。「きよしちゃん」というタイトルで忌野清志郎に捧げた曲だという。矢野顕子は喉頭癌というブルースとつきあって(放射線治療を行って)いるキヨシローのために歌った。

前半の最後はくるりのカヴァーで「青い空」。最近のライヴでは定番となりつつある。そのうちに、くるりよりも矢野顕子ヴァージョンのほうで曲を覚えてしまうだろう。ちなみに1曲目に披露された「PRESTO」は岸田繁との共作だ。「青い空」の後半部はアンソニーとクリフによるソロの応酬があった。演奏が終ると、一旦ふたりはステージから去り、矢野顕子の弾き語りソロ・コーナーへと突入した。

弾き語りソロは「星の王子さま」、「恋は桃色」、「ごはんができたよ」の3曲だった。曲間には脳内出血で倒れてリハビリ中の吉野金次さんのことや、なんでもしてくれるトイレの便座(笑)の話題があった。

「恋は桃色」は細野晴臣の『HOSONO HOUSE』(1973年)に収録されていて、矢野顕子は『Piano Nightly』(1995年)でカヴァーしている。これらのアルバムを録音したのがレコーディング・エンジニアの吉野金次だった。吉野金次は今年の春、脳内出血で倒れて現在リハビリ中だという。彼のために矢野顕子と細野晴臣が中心となって動いて、8月の末にチャリティー・コンサートが行われた。その収益金を治療費に充ててもらうのが目的だった。それが「レコーディング・エンジニア吉野金次の復帰を願う緊急コンサート」だった。

「お金でしあわせは買えないのにお金に愛情を込めることができる」という谷川俊太郎が書いた詩を紹介して、いつかそのコンサートの模様がDVDとして発売された時はどうぞ協力してくださいと矢野顕子は話した。そんな話の後で歌った「ごはんができたよ」は慈悲に満ちていて素晴らしかった。

弾き語りソロに続いて、再びアンソニー・ジャクソンとクリフ・アーモンドを呼び、トリオでの演奏となった。「そこのアイロンに告ぐ」ではアンソニーのソロが披露された。弦が6弦あるコントラベース・ギターの太い音が深いリバーブで会場に響き渡った。実際の話、僕の席からはクリフでアンソニーの姿が隠れていたのだが、グランドピアノの前に仕切りとして置かれていたアクリル板に、反転したアンソニーの姿が映りこんでいた。

'80年代の名曲「Greenfields」がその後に続いて披露された。1番は矢野顕子の弾き語りソロで、2番からクリフがひたひたと入ってくる展開だ。それで最終的には爆音でどかどかと。この時ばかりはクリフに釘付けとなった。僕はもうすっかり酔いが醒めていた。クリフ側なのでこの後はしばらくクリフに注目した。そういえば今までの「さとがえるコンサート」ではクリフ側になったことは一度もなかった。

糸井重里作詞の新曲「蛇の泣く夜」、くるりの「ばらの花」がその後に続いた。「ばらの花」は新しいアレンジになっていた。岸田繁が書いた心象風景のスケッチも矢野顕子が歌うと独自の世界観になるからおもしろい。

クリフの左にはミキシング装置のようなものがあって、彼はそれを操作して、チベットの僧の経文のような音声や、歪んだ音や、レイハラカミのサンプリングみたいな音を出した後、ドラムを叩き始めた。以前にもこんなパフォーマンスがあったが、今回はそれを目の前で見た。ドラム・ソロがひとしきり続いた後ではじまったのが「ラーメンたべたい」だった。僕はパブロフの犬のようにラーメンが食べたくなった(笑)。

僕はもう20年くらい矢野顕子を聴いているのだけど、まだ聴いてないアルバムというのがあって、'80年代前半に出た「ただいま。」もその中の1枚だ。おそらくそれが手に入れてない最後の1枚なのだと思うが、なぜかいつまでも残したままにしている。本編最後に披露されたのはその中に収録されている「Rose Garden」という曲だった。僕は知らなかったので新曲だと思って聴いていた。

アンコールで衣装が変わり、きれいなパープルにスパンコールがキラキラしていた。「うわっー」という歓声が沸き起こった。「ちいさい秋みつけた」はグルーヴがあって会場は一体となり盛り上がった。ラストはいつものように「ひとつだけ」。最近はこのパターンが多い。最後はスタンディング・オベーションだったが、ライヴハウスでこの光景は珍しいと思った。

■矢野顕子 さとがえるコンサート 2006
12月4日(月) なんばHatch
1階 C列33番

矢野顕子(Vocal/Piano/Keyboards)
Anthony Jackson(Bass)
Cliff Almond(Drums)

Set List
01 PRESTO
02 電話線
03 David
04 I Hate It
05 きよしちゃん
06 青い空
07 星の王子さま
08 恋は桃色
09 ごはんができたよ
10 そこのアイロンに告ぐ
11 Greenfields
12 蛇の泣く夜
13 ばらの花
14 ラーメンたべたい
15 Rose Garden
Encore
16 ちいさい秋みつけた
17 ひとつだけ

クレイジー・フィンガーズ Triple Axle Tour

2006年12月09日 | Live

11月23日(祝・木)、曇りのち雨。クレイジー・フィンガーズ「Triple Axle Tour」神戸メリケンパーク・cafe* FISH!公演を聴きに行った。

午後1時過ぎからJRに乗って三宮へ行った。ライヴの開演は午後7時だったので、それまで何をして過そうか車内で考えた。阪神の三宮から一駅の兵庫県立美術館に行こうかなと思ったが、先月、JR三宮東口にオープンしたミント神戸へ行くことにした。タワーレコードがこちらに移転していたので買い物をした。タワレコの店内をうろついているとリスニング・スペースがあって、cafe* FISH!のコーナーがあった。ここにはYANCYの『SONG FROM SUNNY SKY』とラリーパパ & カーネギーママの『Last Album』が試聴できるようになっていた。YANCYのCDは持ってなかったので購入した(会場の物販売り場には置いてなかったので、ここで買っておいて正解だった)。

三宮、元町を散策して時間をつぶした後、メリケン・パークまで歩いた。雨はまだ降ってなかった。神戸メリケンパーク cafe* FISH!はガラス張りのカフェ。外の鯉のオブジェは目立つので知ってたがcafe* FISH!は初めてだった。チケットレス予約の受付を済ませた後、震災メモリアル・パークを見学した。それから開場するまでの時間を入り口の前で待っていたら、開場20分前にDr.kyOnとYANCYがどこからか戻ってきた。白いビニールの袋を持っていたので、たぶんコンビニかどこかに行ってたのだろう。Dr.kyOnとは会場内のトイレの前でも擦れ違った。

ライヴは開演までDJ Jr.がレコードを回して、キム・スチョリのソロ、休憩20分(その間もDJ Jr.がレコードを回した)、そしてクレフィン、途中に小島麻由美のステージという構成だった。

開演前にタワレコに行ったと書いたが、そこでこの日のゲストが元ラリーパパ & カーネギーママのキム・スチョリなのだと気がついた。僕はずっとヴォーカルのチョウ・ヒョンレだと思っていた(汗)。考えてみればキム・スチョリは鍵盤担当(ヴォーカル/キーボード)だったので、彼がクレフィンのゲストというのは当然のことだったが、ソロ活動をしているのはチョウ・ヒョンレというイメージがあって勘違いしていた。そんなわけでキム・スチョリにはほとんど白紙の状態で接することになった。古い感じのピアノを弾きながら、ミディアム・テンポの曲を6曲。ラリーパパ & カーネギーママの文脈で安心した。良い曲だ。

「Triple Axle Tour」というわけで今回はリクオとDr.kyOnとYANCYの3人。実はクレフィンのライヴを見るのは今回がはじめて。クレフィンは最初、斎藤有太と伊東ミキオが加わった5人組でスタートしたが、5人編成では見てない。今回のライヴを見た印象では3人で十分のような気がした。

オープニングは連弾でスタカンの「Mick's Blessing」。大好きな曲だしカヴァーの選曲は最高だとは思うが、個人的にはCDでもライヴでもそんなにワクワクしない。なぜだろう。ステージはハイテンションでサクサク進んだ。新曲なのか知らない曲も多い。「おおっ!?」と思ったのはDr.kyOnが"Be A Superman"と歌った曲。クレフィンでのDr.kyOnはあまりパッとしたところがないと思っていたが、この曲は良かった。最高だ。"Be A Superman"と思わず僕も歌ってしまった。

クレフィンで7曲やった後に小島麻由美が登場。まずはDr.kyOnを従えての「みずうみ」。高音がどこまでも伸びる。こんなに歌えるのかと唖然。十月に京大西部講堂で聴いた時と全然印象が違う。たぶんこの日はベストの状態だったんだろう。凄まじかった。ソロで2曲披露し、クレフィンとの共演がはじまった。ここでの「トルコ・コーヒー」はリクオも絶賛のパフォーマンスだった。

小島麻由美の圧倒的なパフォーマンスの後は再びクレフィンのステージ。YANCYがなかなか演奏をはじめない。「息が上がって(笑)、あの後じゃやりにくいですね」と話した。しかしYANCYの「Eastern & Western」も良かった。旅をテーマにした曲でこの曲は大好きだ。

後半は大盛り上がり大会になった。たぶんライヴの定番がズラリと演奏されたのだと思う。「Louie, Louie」、「Jesus On The Mainline」。楽しかった。Triple Axle Tourは今夜で終了、年内最後のクレフィン・ライヴということで、アンコールの時には全員で乾杯した。乾杯といっても、僕は基本的にライヴハウスでは、終演後にドリンクを交換するので、その時は何も手にしてなかった(笑)。架空のハイネケン(クレフィンは全員ハイネケンだった)を掲げて乾杯した。

■Triple Axel Tour~cafe* FISH! presents CRAZY FINGERS PARTY in KOBE~
11月23日(祝・木) 神戸メリケンパーク・cafe* FISH!
整理番号60番

出演:CRAZY FINGERS(リクオ、Dr.kyOn、YANCY)
【ゲスト】小島麻由美/キム・スチョリ(元ラリーパパ&カーネギーママ)/DJ Jr.

キム・スチョリ
01 いつの日にか
02 CRY
03 シロツメ草
04
05 Two Three People
06

CRAZY FINGERS(リクオ、Dr.kyOn、YANCY)
07 Mick's Blessing
08 ピアノライダー
09 パームツリー
10
11
12 Be A Superman
13 On The Beach
14 みずうみ(小島麻由美+Dr.kyOn)
15 (小島麻由美)
16 (小島麻由美)
17 (小島麻由美 with CRAZY FINGERS)
18 トルコ・コーヒー(小島麻由美 with CRAZY FINGERS)
19 Eastern & Western
20 ランブリンマン
21 魚ごっこ
22 Louisiana Breakdown
23 Louie, Louie
24 ミラクルマン
Encore
25 Jesus On The Mainline
26 光

エリック・クラプトン

2006年11月25日 | Live

エリック・クラプトンのライヴを聴きに行った。3年振り17度目のジャパン・ツアーだそうだ。3年前の2003年の日本公演には行かなかった。というか、そもそも今回がはじめてなのだった。あまりにライヴの評判がいいと、僕は素直になれないところがある。へそ曲がりなだけなのかもしれない。

しかし、DVDでそのパフォーマンスを見る機会は多かった。『ラストワルツ』、『コンサート・フォー・ジョージ』、『ライヴエイド』、『ロックンロール・サーカス』、『コンサート・フォー・バングラデシュ』、『レッド、ホワイト&ブルース』。ああそういえば昔ビデオで『ジョン・レノン/スウィート・トロント』や『ボブフェス』も見た。特に『コンサート・フォー・ジョージ』を見てからは、クラプトンに対する認識が変わったので、それが僕の中では大きかったのかもしれない。ライヴを見ておいたほうがいいと思ったわけだし。とはいえ僕はそんなに詳しいわけではない。ライヴでも曲名がわかったのって数曲にしかすぎない。初心者です(苦笑)。

一体どういった人たちが集まってきているのだろう?
そんな興味もあった。結論から言えば40歳以上の男の客が多かった。「この人は普段何しているんだろう?」といった感じのおじさんが結構いた。内田裕也みたいな金髪の長髪のおじさんもいた。けれども観客のマナーはよかったように思う。「まもなく開演します」というアナウンスだけで大きな拍手が起こる。このライヴが楽しみでしょうがないといった雰囲気だ。僕はブライアン・ウィルソンの初来日公演を思い出したりした。

現在、クラプトンは日本公演を続けています。ネタバレしているためライブについては11月14日の記事としてアップしました。ということで、よろしくお願いいたします。

画像は、今月発表されたJ.J.ケイルとクラプトンのジョイント・アルバム『The Road To Escondido』。

Eric Clapton Japan Tour 2006

2006年11月14日 | Live

11月14日(火)
曇り一時雨。

ステージには天井から幕が垂れ下がり無数のライトが散りばめられていた。その下に十体の照明が林立。スクリーンやモニター・ヴィジョンはなかった。アリーナを縦に使用しているので後ろや真正面のスタンド席は本当に遠くて米粒ぐらいにしか見えないのだが...

10分ほど押して会場の照明がスッーと落ちてメンバーが登場した。ステージはひな壇になっていて、上の段にはヴァッキング・ヴォーカルのミシェル・ジョンとシャロン・ホワイト、ドラマーのスティーブ・ジョーダンがいた。下の段は両サイドにティム・カーモンとクリス・スティントンのキーボードが配置され、ドイル・ブラムホール2世、デレク・トラックス、エリック・クラプトンのトリプル・ギター、そしてベースのウィリー・ウィークスというラインナップだった。

エリック・クラプトンは黒い半袖シャツにブルージーンズ。ギターは黒(本当は濃いグレーだそうだ)のストラトキャスター。おなじみのシグネイチャー・モデルだ。シャイな性格だといわれるクラプトンは派手なアクションもなくギターを弾いた。曲はシームレスに続いて意外にあっさりと終った。2時間10分くらいだった。

今回はドイル・ブラムホール2世、デレク・トラックスとトリプル・ギターが話題だったが、バンドが繰り出すグルーヴが半端ではなかった。アリーナは1曲目からスタンディングとなったが、圧倒されるというか、まぁオーディエンスが若くないこともあると思うのだが(苦笑)、身じろぎしないで見つめているという人たちが多かった。

僕はアリーナの後ろだったので、最初は双眼鏡越しにステージを見た。クラプトンの姿を見た後は、話題のデレクに釘付け。デレクは1979年生まれで現在27歳。叔父さんがブッチ・トラックス(オールマン・ブラザーズ・バンドのドラマー)で、1999年にオールマン・ブラザーズ・バンドに加入。デュアン・オールマンを髣髴とさせるスライド・ギターが話題となっている。クラプトンとのつきあいは昨年の秋からだという。J.J.ケイルとクラプトンのジョイント・アルバム『The Road To Escondido』のレコーディング・セッションに参加するようにと、直接クラプトンから電話をもらったことがきっかけとなり、バンドへの加入が決定したという。

クラプトンとデュアン・オールマンが共演した「いとしのレイラ」はデレク & ザ・ドミノス『Layla and Other Assorted Love Songs』(画像)に収録されている。今回はこのアルバムからの曲が多いらしい。それがキャリアの総括といったものなのか、デレクのスライド・ギターをフィーチャーしたライヴ・ツアーなのか、僕にはわからなかったが、クラプトンもやはり「まとめ」の段階に入っているのだと思った。

コアなファンからは「Sit Down Set」と呼ばれるアコースティック・セット。クラプトンが座って弾き語りをはじめるとオーディエンスも着席。はじめはたったひとりで、次の曲からギター、その次の曲はリズム・セクションとメンバーが増えていった。

バンドが揃っての「After Midnight」で後半がスタート。ようやく知ってる曲の登場だ。正直にいうと曲名がわかったのは「Wonderful Tonight」、「Layla」、「Cocaine」、「Crossroads」の5曲だけだった。「Wonderful Tonight」のイントロだけで喜んでいたら蹴られそうだけどミーハーなんだから仕方がない。

「Little Queen of Spades」ではクリス・スティントンのキーボード・ソロに続いてデレクのソロがあったのだと思う。会場から「がんばれ!」なんて微笑ましい声援が飛んだ。クラプトンから見ればデレクは息子といってもいい世代。なにか音楽の伝承が目の前で行われているような感じがした。「職人」とか「誇り」といった言葉が頭に浮かんだ。クラプトンの存在が大きく感じられた。それは「Layla」のエンディングでふたりのセッションがはじまった時に最も強くそう思った。僕はもう鳥肌が立つほど感動していた。後ろを向いてソロを弾くクラプトンの背中はとてつもなく大きく見えた。

■Eric Clapton Japan Tour 2006
11月14日(火) 大阪城ホール
アリーナ席 57列 55番

Eric Clapton - guitar, vocals
Doyle Bramhall II - guitar
Derek Trucks - guitar
Chris Stainton - keyboards
Tim Carmon - keyboards
Willie Weeks - bass
Steve Jordan - drums
Michelle John - backing vocals
Sharon White - backing vocals

Set List
01. Pretending
02. Got to Get Better in A Little While
03. Old Love
04. Tell the Truth
05. Anyday
06. Motherless Children

Sit Down Set
07. Driftin' Blues (EC solo)
08. Key to The Highway
09. Outside Woman Blues (with rhythm section today)
10. Nobody Knows You When You're Down and Out
11. Running On Faith

12. After Midnight
13. Little Queen of Spades
14. Further On Up The Road
15. Wonderful Tonight
16. Layla
17. Cocaine
Encore
18. Crossroads

朝日美穂インストアイベント

2006年11月07日 | Live

11月3日(金)文化の日 晴。

午後から梅田NU茶屋町のタワレコに行った。エスカレーターのところでチラシを配っている男がいて、何気に受け取ると午後3時から朝日美穂のインストア・イベントがあるという。開始時刻が30分後と迫っていたので、何となくだったが参加した。

実は朝日美穂のことは名前ぐらいしか知らなかった。最新アルバムはセルフ・カヴァー集『Classics』で、デビュー10周年を記念した企画アルバムだという。これまでは弾き語りとプログラミングで実験的な作風だったが、ライヴ・ツアーで一緒にやってるバンドがいいので、はじめてバンドとレコーディングしたらしい。

しかし、インストア・ライヴはローランドのキーボードで弾き語りのスタイルだった。キーボードの上にリズムが出るサウンド・マシーンがあり、それでリズム・トラックを出す曲もあった。ミディアム・テンポの曲ばかりで5曲披露したのだと思う。昨夜は神戸でライヴがあって、その後お好み焼き「こてこて」でディープな関西を体験したと話していた(笑)。だけどインストアは昼間なのでさわやかにやりたいのだと。梅田のNU茶屋町にははじめて来たらしく、それまでは今夏閉店してしまった心斎橋店で何度かインストア・ライヴをしていたと話していた。

年齢はどのくらいなのだろう? 僕のイメージではもっと若い女性だという印象があって、実際は大人の女性だったのでびっくりした。声に気だるい雰囲気があって、それが「ムーンライトシンフォニー」という曲によく合ってると思った。歌も、パフォーマンスもよかったので『Classics』を買ってサインをいれてもらった(画像)。

これはタワレコだけの特典かもしれないが、『Classics』にはCD-R『SINRA』が特典として付いていた。朝日美穂の友人がアフリカでフィールド・レコーディングした音源に曲をコラージュした作品だという。

■朝日美穂インストアイベント
11月3日(金・祝) タワーレコード梅田NU茶屋町店
整理番号61番

Set List
01.バスタブライムス
02.日蝕
03.唇に
04.
05.ムーンライトシンフォニー

alva noto + ryuichi sakamoto insen

2006年11月03日 | Live

10月25日(水) 曇りときどき晴。

大阪厚生年金会館藝術ホールで開催された「alva noto + ryuichi sakamoto insen」の大阪公演二日目を聴きに行った。

alva notoはベルリンを拠点に映像作家、音楽家、プロデューサーとして活動しているカールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)の別名。坂本龍一とのコラボレーション"alva noto + ryuichi sakamoto"で何枚か作品を発表しているが日本でのリリースはない。『insen』(画像)は2005年にリリースされたアルバムで、昨年、今年とヨーロッパを中心にライヴ・ツアーを行ってきた。日本公演の直前はオーストラリアだったようだ。

僕はこれまで"alva noto + ryuichi sakamoto"の活動を全く追ってなかった。今回のチケットを購入してもCDまでは手が回らなかった。 前夜になってiTunes Storeでネット配信されている『insen』をダウンロードしたぐらい準備不足だった。エレクトロニカはCDじゃなくて音楽配信でいいと思ってしまう。「どうせラップトップから音出してるんだから」と。

Alva Noto + Ryuichi Sakamoto

alva notoと坂本龍一のコラボレーションが何時どのようにしてはじまったのかは知らない。僕は2003年のMorelenbaum2/Sakamotoのアルバム『A Day in New York』でalva noto(カールステン・ニコライ)と出会うことになる。そのアルバムにはボーナス・トラックとして「Insensatez/re-model by alva noto」が収録されていた。「Insensatez/re-model by alva noto」をはじめて聞いた時は衝撃が走った。CDが音飛びしていると思ったのだ。レコード盤を針で引っかいてスクラッチ・ノイズを出したヒップホップが登場した時のような感じだといえばいいのだろうか。とにかく不良品を掴まされたような気持ちになったのを覚えている。それがalva notoだったのだ。

会場には開演の10分ほど前に着いた。係りの人が「まもなく開演します。開演すると演出の都合上入場できなくなります」とアナウンスしていた。クラシックのコンサートのように1曲終るまで入場させないようだった。

ステージには向かって左にヤマハのグランド・ピアノ(たぶん坂本龍一がライヴ・ツアーでいつも使っているMIDIピアノだろう)。ステージ一面に広がる横長のスクリーン。右側には変わった形(台形)のセットがあって、その上にラップトップが2台置いてあった。

5分押して開演したのだろう。坂本龍一とカールステン・ニコライが現れて緊張感に満ちた演奏がはじまった。坂本龍一がグランド・ピアノの中に頭を入れて、直接弦を引っかいたり、叩いたりしだした。スクリーンには大小の円がゆっくりと点滅、まるでケータイのヒカリドロップスのようにチカチカとしていた。カールステン・ニコライはラップトップを操っていた。1台はたぶん映像をコントロールしていたのだと思う。その音楽はサンペンス映画の序章にながれるテーマ曲のようであった。

「もっとも美的なメタル・マシーン・ミュージック」と評されるニコライのライヴ・パフォーマンス。ビジュアルはとっても大切な要素だ。スクリーンに現れるミニマルな図形は、教授が弾く現代音楽のような調べと、ニコライのラップトップから繰り出されるパルス信号や音波と融合していた。ビジュアルと音響が溶け出すように絡みあっていた。

そう、会場内には教授が焚いているお香の香りが立ち込めていた。その空間の中で僕はふっと意識が遠のく一瞬を何度か迎えた。眠りの森に迷い込みそうだった。アンビエント・ミュージックを体感しながら瞑想しているようでもあった。デジタルのノイズが激しく会場を揺らし、スクリーンでは幾何学模様が打つかる激しいライヴ・パフォーマンスが展開された時、それまでと違う意識に翻弄された。ほとんど目が開けられないくらいに光が瞬いていた。「この曲が早く終ってほしい」とさえ思った。それが本編の最後の曲だった。

アンコールで「戦場のメリークリスマス」を解体し再構築した「XMRL」が披露された。「戦メリ」であって「戦メリ」ではないこの曲がもっともわかりやすかった。

■alva noto + ryuichi sakamoto insen
2006年10月25日(水) 大阪厚生年金会館藝術ホール
1階H列025番

alva noto
ryuichi sakamoto

Set List
01.
02.
03.
04.
05.
06.
07.
08.
Encore
09.
10.XMRL
11.

勉強不足のため曲名が不明です。ただいま調査中。
ちなみに厚生年金会館大ホールではせっちゃん(斉藤和義)がやってました。

第十三回俵藤太と百足供養会(1)

2006年10月28日 | Live
10月15日(日) 晴。

友人に誘われて滋賀県大津市の雲住寺(うんじゅうじ)で開催された第十三回俵藤太(たわらとうた)と百足供養会(むかでくようえ)に行ってきた。午前9時15分ぐらいにJR新大阪駅から快速電車の野洲行きに乗ったのだと思う。高槻からは各駅となるので新快速近江今津行きに乗り換え。京都には9時45分くらいに到着。京都は暑かった。

京都で乗り換えの待ち時間が5分。石山駅に行く電車は快速野洲行きと案内板に表示されていた。この電車はさっき高槻まで乗ってた電車ではないか(苦笑)。石山駅で友人二人と待ち合わせ。10時過ぎに到着した。改札でICカード(ICOCA)が料金不足で蹴られた。新大阪から石山まで950円だったのだ。石山駅から徒歩で雲住寺へ。気温はどんどん上昇していたのでTシャツ一枚になり歩いた。ここまで急ぎで来たので500mlのペットボトルのお茶を買うのを忘れていた。

第十三回俵藤太と百足供養会(2)

2006年10月28日 | Live

瀬田の唐橋を渡ったところに雲住寺はあった。瀬田の唐橋は日本三大名橋のひとつだという。雲住寺の参道を歩きながら、「あとのふたつはどこだ?」という話題に花が咲く。瀬田の唐橋は松尾芭蕉の「五月雨に隠れぬものや瀬田の橋」という句でも有名で、橋のたもとには芭蕉の銅像がある。

僕たちのお目当ての奉納ライヴは11時半からだったので、それまでの時間を参拝したり、特別公開されている雲住寺の夕照の間を拝見したりして過した。昔皇族が瀬田の夕日をながめるために訪れたという夕照の間では「雲住寺俵藤太&百足実行委員会」の人から話を聞けたが、瀬田の唐橋は壬申の乱で自害した大友皇子最期の地だと聞いた。

第十三回俵藤太と百足供養会(3)

2006年10月28日 | Live

雲住寺の参道には出店が出ていて、雲住寺俵藤太&百足実行委員会の人たちがいなり寿司やらコーヒーやらフランクフルトやらぶた汁やらを販売していた。そのほとんどが100円。百足の百にかけたのだろうか。その中にバンバンバザールの物販を販売するスペースもあった。友人から「昨年はバンバンの福島さんが手売りしていた」と聞いていたので覗いてみると、本当に福島康之がいた! 周りにはバンバンのメンバーもいた!

第十三回俵藤太と百足供養会(4)

2006年10月28日 | Live

さて、僕たちは奉納ライヴの前に境内で行われた紙芝居「俵藤太のムカデ退治伝説」から見ることにした。とはいえ粗供養百足団子の写真を撮ったり、お喋りしたりして、ちゃんと見てなかった。。「俵藤太のムカデ退治伝説」はウィキペディアの「藤原秀郷(俵藤太)」の項を参照してください。しかし、ムカデ祭りに行って「俵藤太のムカデ退治伝説」を知ってないといのは情けない話ですね。(^^;;;

第十三回俵藤太と百足供養会(5)

2006年10月28日 | Live

オープニング奉納ライヴはバンバンバザールがまず登場してはじまった。「When Your Smiling」という曲は先日亡くなった藤岡琢也さんが愛唱していた曲と同じ曲なのだと思う。3曲演奏したところでイノトモと交代。イノトモはソロで「わたげのお散歩」、NHKで放送されている「しばわんこ和のこころ」のテーマ曲(さわりだけ)、「冬のにおい」とギタレレの弾き語りで披露した。声の感じがリッキー・リー・ジョーンズっぽくて、ほのぼのとした雰囲気があった。4曲歌ったが、最後の曲ではバンバンバザールのギタリスト富永寛之が参加した。

そして再びバンバンバザールが登場した。福島康之は、いつもならまだ寝ている時間なので何をやっているのかよくわからない、みなさんが夜中の1時頃起こされてエクセル打たされるようなものだ、といって笑わせた。「午前の部はユルユルとした感じでやります」と言って3曲歌った。最後は「On The Sunny Side Of The Street」で日本語のカヴァー・ヴァージョン「明るい表通りで」をフィーチャーしていた。

オープニング奉納ライヴが終って境内を出たところでぶた汁を手にした福島康之とばったり。友人がケータイで写真を撮った。「まもなく売り切れ」の声に僕たちもぶた汁をいただくことにした。参道の物販売り場では福島康之とイノトモが御座の上に座って店番していた。

僕らは午後2時開始の奉納ライヴ[午後の部]までゆるりと午後を過した。小さな子どもたちが走り回っている瀬田の唐橋の堤防で、遠く琵琶湖の河口を眺めながらフランクフルトや焼きそばを食べた。午後になると十月だというのに秋とは思えぬ日差しで、友人のひとりは堪らなくなったのか、出店でビールを買って飲みだしたほどだった。

第十三回俵藤太と百足供養会(6)

2006年10月28日 | Live

奉納ライヴ[午後の部]はイノトモのステージで幕を開けた。新曲の「夜明けの星」を含めて5曲。最後の曲は「You're My Sunshine」だった。バンバンバザールはニュー・アルバム『十』から「バックオーライ」、「恋のフィーリング」を披露。最近は毎月、レコーディング&ライブのプレミアムセッション「One day, One month, One year with Ban Ban Bazar」を横浜THUMBS UPで開催していて11月は尾藤イサオと共演するのだとか。その時に歌う曲を尾藤イサオに提供したのだと話した。その新曲が「カラカラ」。ガラガラヘビに関連した話があったけれど、尾藤イサオのイメージがそうなのだという話だったと思う。「One day, One month, One year with Ban Ban Bazar」の7月のゲストがイノトモだったそうだ。その時に作ったのが「夏のキムチ」という曲。九州から船に乗って釜山まで行ったのだが、その船にどう見ても不倫のカップルがいて、それを歌にしたらしい(笑)。

第十三回俵藤太と百足供養会(7)

2006年10月28日 | Live

この夏は「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2006 in EZO」に出演したバンバンバザール。だが夏のロック・フェスは誰が出ても等しく同じような盛り上がりになるので面白くなかったそうだ。結局は誰でもいいのだろうと。その点、この「ムカデ・ロック・フェス」はなかなか一体とならない会場の雰囲気がいい、と福島康之は話した。いつの間にか「奉納ライヴ」を「ムカデ・ロック・フェス」にしてしまったバンバンバザール(笑)。この「奉納ライヴ」の出演は今回で6回目になるという。

第十三回俵藤太と百足供養会(8)

2006年10月28日 | Live

境内のテントには、ふるまい酒や粗供養百足団子を無料で配るおばちゃんたちがいる。割烹着を着たおばちゃんを「ムカデ・ロック・フェス」ならではの景色だと福島康之は言った。後半は田原俊彦の「ハッとして! GOOD」などカヴァー・ヴァージョンを3曲披露した。「いい曲を仕入れて来ました。小畑実という人の曲です」と福島康之は話したが客席の反応は薄い。「おばちゃんは小畑実知ってる?」とテントのほうに向かって聞くと、なんと知ってるという返事が返ってきた。それでちあきなおみの歌唱で有名な(数年前にテレビのCMで流れた)「星影の小径」を歌った。

第十三回俵藤太と百足供養会(9)

2006年10月28日 | Live

おばちゃんをいじったおかげか、ようやく会場の雰囲気もなごんで盛り上がってきた。「4 or 5 times」ではコール&レスポンスを客席に依頼。「楽器で出した音をオウム返ししてください」と福島康之(笑)。ベースのフレーズをわざわざ「ババババ~ババ~」と言って「ババァじゃないですよ」と更におばちゃんいじり(笑)。会場は大喝采で最高潮を迎えたのだった。