さあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!
持ってけ、ドロボー!
アメリカはメモリアルデー・ホリデー3連休。
毎年、この連休を利用してあちこちで地域ぐるみのガレージセールが行われる。
うちのコミュニティー(団地)もしかり。
去年は別段売るほどのものもなく近所を冷やかす側だったけれど、今年はなんだかどうしても参加したくなって、家の中のいろんな不要物を庭に引っ張り出して“開店”することにした。
前オーナーがガレージに残していったあんなものやこんなもの、引越しの際にPちゃんの上司から受け取った山のような食器類(2年間手をつけず)、古い照明器具やヨガマットセット、Pちゃんが職場から拾ってきた誰かが捨てたCDなど・・・
結構いろんなものが出てきた。
はじめは「そんなもの出すほうが恥ずかしいからいやだ」と消極的だったPちゃんも、私がむりやり開店準備を始めるとガレージの大掃除もかねて調子に乗ってあれもこれもといろいろと“商品”を持って来てくれた。
案外好きなんちゃうん?
よそのガレージセールに行ってみればわかるが、とにかくアメリカ人は何でも売る。
そんなもの売る前に捨てろよ、と思うようなガラクタまで臆面もなく並べていてコチラが恥ずかしくなるのだが、一切気にしないらしい。
このあたりの神経の図太さ、美的感覚のなさは、フランス人にはとても真似できないだろう。
そんな様子を前日に見ているので、私たちもちょっとだけ気持ちが大きくなって、とにかく捨てるには惜しいものをならべてみた。
しかし。
誰も来ない。
開店が遅かったのと、うち以外隣近所は誰もやっていなかった(去年出し尽くしたのか?)せいか、いまひとつうちの通りは盛り上がりに欠け。
1時間くらいたったころ、一人のメキシカンガイがふらりとやってきた。
ボロボロのオイルタンクを指差して、「これいくら?」
アメリカでは、ガス欠防止のため予備のガソリンを小さなタンクに入れて車に積んでおくことができるのだ。
Pちゃんがうれしそうにやってきて、交渉成立。3ドルでお買い上げ。
しかしこのお兄ちゃん、その後自分の商売の売り込みを始めた。
ガレージの通路がかなり傷んでいるので、コーティングしないか?というのだ。
そういえば1週間ほど前、うちに「安くやります」とチラシがはいっていたのは彼の会社(?)だったようで、前から手をつけたかったPちゃんは即発注。
「じゃ、明日ね」と早速商談成立。
3ドルのオイルタンクを買って、35ドルの仕事を受注したお兄ちゃんの勝ち。
この人、とっても謙虚そうないい人だったのでPちゃんも何かしてあげたくなったらしい。
ガレージセールを回って、何気なく営業するという手口もなかなか巧みだ。
アメリカ人がうかれてBBQばかりしている休日に一生懸命働くメキシカン。
えらいぞ!
君たちがいなければこの国はたちまち機能しなくなるだろうな。
翌日の正午には終了。
「立ち入り禁止」サインしてくれてるのかと思ったら、
ちゃっかり営業してるし。