Life in America ~JAPAN編

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オバマの100日。

2009-05-02 13:17:03 | アメリカ生活雑感
おとつい(4月29日)、就任から100日を迎えたオバマ大統領の記者会見が行われた。

100日か・・
なんだか1年くらい過ぎた感じだ。
あほブッシュが積み上げてきた8年間の埃を、それこそ毎日休むまもなく次から次へと々と払い落とし、clean upし続けた日々だった。
毎日のように新しい法案を作成・可決する、働きに働いたりという日々。
就任直後これほど過酷な100日をすごした大統領というのも、そういないんじゃないだろうか。

大統領自身も冒頭で言っていたが、これほど大きな問題が同時期に起こる、というのも珍しい。
選挙戦を始めたときは「イラク戦争」をどう終結させるか、が戦いの焦点だった。
そして「教育」「ヘルスケア」という次なる大きなトピックがあったわけだが、大統領選直前にリーマンショックが起こり金融破たんが全米を一気に押し潰し、焦点は急に「経済再生」に向けられた。
ビッグ3の救済、経済刺激策などが立て続けにとられ、とりあえず一息ついたところへ今は、「豚インフルエンザ」である。

会見でも「メキシコとの国境を封鎖する考えはないのか?」などという質問が飛んでいたが、それは考えていないようだ。
それよりも、自分たちでより管理をすることが大切だ、と。
そうだよ、マスクしろよ!アメリカ人!

1時間に及ぶ会見・質疑応答の中で、個人的にとても印象に残った言葉が4ヶ所あった。

その1)
「日本(のメーカー)は低価格でいいデザインのハイブリッドカーが作れるのに、アメリカも同じことをするべきじゃないのか」


GMにしてもクライスラーにしてもシボレーにしても、馬力だけがとりえの「ガス食い」車ばっかり作って、彼らには発想の転換、つまり企業としての生き残り策がないのか、と普段から思っていたとおりのことを言ってくれた。
消費者を馬鹿にして努力を怠ってきた大企業の怠慢を鋭く突いた一言。


その2)
「私がpro-choice(妊娠中絶に関して母親の選択権を尊重する=中絶合法支持)の立場をとるのは、あくまで女性の自己決定権の尊重という以外の何ものでもない」


記者が「オバマ氏が一貫してとっているpro-choiceの立場と、大半のアメリカ人が信仰するカソリックの立場(pro-life:胎児の生きる権利を尊重する=中絶合法反対)について」尋ねたのに対する回答。
pro-lifeの立場を一貫してとり続け、女性の人権を踏みにじってきたブッシュと正反対の立場をとるオバマ大統領。
この問題は、民主党と共和党の大統領が入れ替わるたびに揺れ動く、アメリカ社会にとって最も“両者相容れない”問題だ。
しかし、オバマ大統領は選挙中から確固たる姿勢を貫いている。
「宗教によって人権が蹂躙されてはいけない」ということを、改めて示した言葉だ。

その3)
「すべての上院議員は、それぞれの選挙区を代表して平等の立場で国政に参加している。私が彼らに賛成意見であろうが反対であろうが、彼らが選挙民を代表してベストを尽くしていることに間違いはない。・・・地域差もあるし、州によっては及ぼす利益も違ってくるだろう。しかしそれらは正しく理解し尊重されるべきで、(その違いを越えて)歩み寄り、ギブ・アンド・テイクしていくことが望ましい」



先日、共和党の上議員議員であったアーレン・スペクター氏が民主党に“党替え”するというセンセーショナルな出来事が起こり、民主党(&支持者)が色めきたったが、だからといって「民主党一党」による政治が行われる危険性に警鐘を鳴らしつつ謙虚に反応したこのコメントに、久々にすがすがしい思いがした。
自分に反対するすべての輩を締め出したブッシュにはとても言えないコメントだろう。

その4)
「私たちはこれらの変革の結果を数週間、数ヶ月で感じることはできないだろう。しかし、今から10年後、20年後に我々の子どもたちがこの時期を振り返って、“あのとき、クリーンエネルギーのことを真剣に考え始め、手ごろで効率的なヘルスケアシステムが整い始め、教育の標準レベルを上げることができたんだ”と言うことになるだろう。」


選挙戦のときからそうだったように、オバマ氏はいつも子どもたちの世代をみつめている。
このことが彼の「核」になっているということを、また確信した言葉だった。


60%以上のapproval rate(支持率)を保ち続けるオバマ新大統領の、真摯で謙虚な姿勢が伝わる、いい会見だった。

つくづく、うらやましい。
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