ベイエリアはここのところずっと雨。なんでも20数日間雨が降っているそうで、これは記録らしい。
あまりに家にばかりいるのもさすがに飽き飽きしてきたところへ、Dedeからお茶のお誘い。今日も朝から強い雨がふっていたけれど、ほいほいと家を飛び出した。
「どう?ここに帰ってきて自分の住処って感じが改めて沸いてきた?」
開口一番彼女がこう聞いてきた。
「いやぁ、半分半分かな。むしろ以前のほうが“スケジュールが詰まっていた”という点ではHomeって実感があったなぁ」
「それ、よくわかるわ。私も最近はずっとかかわっていた大きな仕事を断ってからかなり時間をもて余しているもの、けっこうきついわよね」
前にいたときはいわゆる学生だったので、朝から学校~アフタスクール。夕方に帰ってきてやっと独りになるという生活だったのが、今はPちゃんを送り出してから帰ってくる深夜まではずっと一人の時間。もちろんやることはいくらでも作り出せるけれど「義務」じゃないのでついだらけてしまう。
Dedeはこの夏、アルゼンチンからブラジルを回る南米旅行を計画していることもあって4月からサンフランシスコのとあるスペイン語クラスに通い始めるらしい。やはりアクティブだなぁ。
「ところであなたは今、何か仕事を考えているの?」
「せっかく育児や教育の仕事にかかわっていたわけだし、アメリカからレポートできる題材があれば取材してみたいと思っているんだけど。日本とアメリカの育児の違いや教育方針のちがいなんかもとり上げてみると面白いかも」
それならば、とDedeは彼女の姪、ジョナの4歳の一人息子ルカを例にとって話し始めた。
ジョナはいわゆる高学歴で高齢(37歳)出産した典型的なミドルクラスのママ。ご他聞にもれず息子をバイオリンや絵画教室やらに通わせていて、ルカは4歳にして「遊ぶ暇がない」ほど多忙らしい。
もちろんこれはあくまで「ミドルクラスの」話であり、アメリカのように生活水準のランクが幅広い社会では日本のように一概には表現できない。
親の収入によって子どもの通う学校もはっきりランク付けされてしまい、結果として子どもたちは5歳にしてすでに“勝ち組”と“負け組”に分かれてしまうのだ。黒人やヒスパニックは往々にして負け組に、白人や裕福なアジア人は勝ち組に、という目に見えないレールがきっちりと敷かれているのがこの国の現状。
ともあれ、私の周りには少なくとも興味深い題材があふれている。とくにバークレーという、多種多様の文化が混ざり合っている場所柄のおかげで欲しいナマ情報には事欠かないのが何よりうれしい。
この時間を利用して、いろんなところに顔を出し、いろんな人たちと交流してみようと思う。