shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Le temps des fleurs / Mary Hopkin

2009-05-30 | Oldies (50's & 60's)
 ロシア民謡の愁いを帯びた旋律には何故か人の心を魅きつける不思議な力がある。ポーリュシカポーレ、ダーク・アイズetc、挙げていけばきりがない。みんな哀愁たっぷりでメロディーはあくまでも美しく、それでいでどこか物悲しい。暑い国で生まれた音楽が主にリズム主体なのに対し、ロシアや北欧といった寒い国の厳しい自然と風土から生まれた音楽は郷愁を誘う美しいメロディーを湛えていることが多いのだ。この「Those Were The Days」も「長い道」というロシアの古い曲にジーン・ラスキンというアメリカ人が詞を付けロンドンの方々のクラブで自作曲として歌っていたものをポール・マッカートニーがたまたま聴いて気に入り、 “絶対に売れる” アレンジを施してアップルからデビューさせる新人歌手メリー・ホプキンに歌わせたというもので、やはり心の琴線をビンビン震わせる、哀愁舞い散るキラー・チューンに仕上がっている。歌詞は “若かったあの頃はよかったなぁ...” と青春時代をノスタルジックに振り返るという内容で、邦題の「悲しき天使」は “お約束ともいえる「悲しき」シリーズ” + “メリー・ホプキンの清楚なイメージ” からでっち上げたものだろう。
 彼女はこの曲をフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ヘブライ語(!)でも吹き込んでいるのだが、面白いのはフランス語ヴァージョンで、タイトルが Le temps des fleurs (花の季節)、歌詞の内容も英語ヴァージョンとはかなり違うものになっている。私の大好きなヨーロピアン・ポップスの歌姫たちも色んな言語で吹き込んでいるので、ここでいくつかご紹介:

①Mary Hopkin
 さすが本家である。英語ヴァージョン同様の可憐なヴォーカルが楽しめるが、何より凄いのはポールが仕切ったオケの完成度の高さ。イントロにバラライカの演奏をもってきたり、隠し味にクラリネットを使ったりと、曲の持つ哀愁を最大限まで引き出す見事なサウンド・プロダクションだ。こういうのを天才の仕事というのだろう。ピンク色が効いた好ジャケットゆえに愛蔵する1枚だ。
Mary Hopkin -Those were the days (le temps des fleurs)


②Dalida
 ダリダって誰だ?(笑)なんてアホなことを言っている場合ではない。エジプト生まれの彼女は映像からも分かるようにエキゾチックな超美人で、ちょっとハスキーにかすれる歌声がたまらない。本家そっくりのアレンジにより、メリー・ホプキンとは又違った彼女の魅力が浮き彫りになっている。
DALIDA Le temps des fleurs


③Gigliola Cinquetti
 ジリオラ・チンクエッティが歌う「悲しき天使」は当然イタリア語ヴァージョンだ。歌い上げるのを得意とする彼女の歌唱スタイルがこの壮大な曲にピッタリ合っていて、日本盤ベストCDに入ってないのが不思議なぐらいの名唱だ。
Gigliola Cinquetti - quelli erano i giorni (1968) live


④Vicky Leandros
 以前にも紹介したヴィッキーはギリシア系のポップ・シンガーで、高音部を伸ばす個性的な歌い方がこの曲と怖いぐらいに合っている。同じハイトーン・ヴォイスでも、メリーホプキンをあっさり系とすれば、こちらはこってり系と言えるかも。
Vicky Leandros -Le temps des fleurs


⑤Sandie Shaw
 “モッズのアイドル” こと、サンディー・ショウの少し鼻にかかったような、丸みを帯びた歌声が実にユニークで、ヴィブラートを効かせた堂々たる歌いっぷりも貫録十分だ。ファースト・コーラスをフランス語で歌った後、英語にスイッチするところがたまらなく好き。
Sandie Shaw - Les Temps Des Fleures (16:9)


う~ん、聴けば聴くほど名曲だ(笑) これ以外にもドリー・パートンの “ブルーグラス・ヴァージョン” や、ベンチャーズの “エレキシタール・ヴァージョン” なんかも面白い。尚、この曲は全英チャートでは見事6週連続№1に輝いたものの、全米チャートでは9週間1位に居座ったビートルズの「ヘイ・ジュード」の牙城を崩すことは出来ず、3週連続の2位に甘んじた。

【おまけ】日本人が作曲したロシア民謡(笑)の最高峰といえばコレ!!
     関西人なら知らぬ者はいない “モスクワの味” です↓
パルナス

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2 コメント

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パルナス (権ゾウ)
2009-05-30 14:02:27
いやあ!、shiotchさん、

♪悲しき天使♪だけで5人も並べるとは流石ですな。たしかにロシア民謡って独特の哀愁漂う旋律をもった楽曲が多いですね。
北欧のインスト・バンドの奏でる哀愁メロディーとは一味違った趣きがあって僕も好きです。

それにしても最後にでたパルナスのコマ・ソン!もう涙チョチョ切れましたで(笑)。

これいつ頃でしたかね?すっかり忘れてましたわ。
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懐かしいでしょ! (shiotch7)
2009-05-30 16:40:23
権ゾウさん、コメントありがとうございます♪

フレンチ→悲しき天使→ロシア民謡→パルナス、って
もうムチャクチャなブログになってきました(笑)
このCM、たしか「リボンの騎士」か
「ジャングル大帝」で見た記憶があるので
多分1968~69年頃ではないでしょうか?
子供心に「おとぎの国のロシア」の強烈なイメージが
刷り込まれたように思います。
自主廃業されたのが残念です。
あぁ、もう一度クレーモフとパルピロ
食べたいなぁ...
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