2年前のある日曜の朝のこと、休日には珍しく午前中に目が覚めた私は布団から這い出してリビングへと降りていき、何の気なしにテレビをつけた。すると偶然「題名のない音楽会」という番組をやっていて、「どーせクラシックやろ」と思ってチャンネルを変えようとすると、ちょうど「注目の若手アーティスト」というコーナーが始まり、ジャニーズみたいなイケメン青年2人がいきなりピアノの連弾を始めたのだ。しかもクラシックどころか私の大好きなブギウギ・ピアノ、それも連弾でだ!いっぺんに目が覚めた私は画面を食い入るように見つめた。何なん、これ?1つのイスに2人で座って弾いてるやん!いきなり後ろに回りこんで弾いてるやん!手をクロスさせて弾いてるやん!私は思わず「うわぁ、すげェ~(゜o゜)」と叫んでしまった。4本の手が鍵盤の上を目にも留まらぬ速さで自由自在に動き回る様はまさに圧巻で、私は彼らのパフォーマンスにグイグイ引き込まれていった。そのプレイは録画ボタンを押すのも忘れるほど衝撃的で、気がついた時には10分弱のステージは終了し、「レ・フレール」という名前をメモるのがやっとだった。早速ネットで検索し、メジャー・デビュー・アルバム「ピアノ・ブレイカー」を購入。う~ん、こりゃ凄いわ(≧▽≦) 彼らの音楽にすっかり魅せられてしまった私は、彼らがメジャー・デビュー直前にマイナー・レーベルから出したというCDも手に入れた。それがこの「アニメ・ド・キャトルマン」である。キャトルマンとはフランス語で「4本の手」、つまり「連弾」を意味する。つまりアニメ・ソングをレ・フレール流に料理しましたということだがアニソンと聞いて馬鹿にしてはいけない。わずかな時間でリスナーの心をつかんでしまうアニソンの方がジャズやロックのヘタなオリジナル曲よりも楽曲として遥かに優れていると私は思うのだ。2人にとってはまさに最高の素材といえるだろう。「ミッキーマウス・マーチ」をベースにした①「ブギー・マウス」、映画のテーマ曲で終わらせるのはもったいない隠れ名曲②「スパイダーマン」、斬新なブギウギ解釈がめちゃくちゃ楽しい③「ポパイ・ザ・セーラーマン」、耳タコのはずのメロディーになぜか惹きつけられる④「おしえて(アルプスの少女ハイジ)」とノリノリの演奏が続く。⑥「よあけの道(フランダースの犬)」も④と同じく懐かしいのに新しい、不思議な感覚だ。中盤でおとなしめの曲が続いた後、⑩「ルパン三世のテーマ」では再びアップ・テンポに戻ってブギウギ・ピアノの楽しさが全開だ。逆にスローで迫る⑪「ルパン三世のエンディング・テーマ」は夕陽の中をバイクで走る峰不二子のイメージが目に浮かぶ。たいした表現力だ。軽快な⑫「くまのプーさん」、「イッツ・ア・スモール・ワールド」のブギウギ・インプロヴィゼイション⑬「イッツ・ア・ブギー・ワールド」に続いて、本盤最大の聴き所がやってくる。ディズニー・ソングのブギウギ・メドレー⑭「クラブ・イクスピアリ」だ。珠玉のメロディーが惜しげもなく現れては消え、消えては現れる。これはたまらない。ハッキリ言って「この1曲で1万円です」と言われても買うかもしれない。私のようなディズニー好きにとっては至福の5分25秒だ。思い起こせばそれもこれもあの日の偶然から始まったのだ。早起きは三文の得というが、三文どころか三万円ぐらいは得した気分だ(^o^)丿
LES FRERES -- getsuyoru-boogie
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