ロック/ポップスの世界では “ポップな” という形容詞は否定的なニュアンスを伴うことが多い。 “ポップになった” ということは “大衆に迎合して売れ線に走った” ということを意味し、硬派のファンはこの手の音楽を心底軽蔑し、蛇蝎の如く嫌ったものだ。70年代のベイ・シティ・ローラーズしかり、80年代の産業ロックしかりである。私なんか “ローラーズが好き!” というと “アホか、コイツは...” というような目で見られたものだし、エイジアやフォリナーを褒めると “ロックの何たるかが分かってない風俗ファン” のレッテルを貼られたものだった。私は他人にどう思われようと屁とも思わない性格なので、ポップで悪かったな、せいぜいピンフロでもイエスでも聴いてヨガっとれや!と思いながら肩で風を切って生きてきた(笑)のだが、そういう意味ではこのモンキーズなんかも風当たりが強いバンドの一つだろう。
しかし彼らが軽んじられてきたもっと大きな理由としては、所詮はオーディションで集められた “人工的に作られたグループ” であるということと、最初の2枚のアルバムではヴォーカル以外はすべてスタジオ・ミュージシャン達が演奏していたということが後になってバレたことetc が挙げられるだろう。私はグループ結成の経緯をいちいち考えながら音楽を聴くような趣味はないし、ちゃんと本人達が歌ってるんなら立派なヴォーカル・グループとして楽しめば問題ないやんと思う。口パクがバレてグラミー賞を剥奪され、赤っ恥をかいたミリ・ヴァニリみたいに全部他人がやってたワケじゃあるまいし...(>_<) 私は昔から自分の感性を信じて好き嫌いだけで音楽を聴いてきたせいか、実際に聴いてみて音楽そのものが気に入れば別に誰が演奏していようが、音楽のスタイルがどうであろうが、全く気にならない。だからキング・クリムゾンも、フランス・ギャルも、青江三奈も、ウエス・モンゴメリーも、ドリス・デイも、ウクレレ・ジブリも全部好きなように、モンキーズも大好きなのだ。そんな彼らが “ザ・モンキーズ・ショー” の再放送をきっかけに起こったリバイバル・ブームに乗って1986年に出したベスト・アルバム(マイク・ネスミスを除く3人で再結成した新録3曲を含む)がこの「ゼン & ナウ」である。
彼らのテレビ・シリーズの主題歌で 1st アルバムのオープニング・ナンバーでもある①「モンキーズのテーマ」はイントロなんかいかにもそれ風の作りだが、よくよく聴くと実に単調なメロディーの繰り返し。それに比べるとデビュー・シングル②「ラスト・トレイン・トゥ・クラークスビル(恋の終列車)」はギターにタンバリンが絡むイントロからキャッチーなコーラス・ハーモニー、終盤の “オ~ ノノンノォ~♪” に至るまで、まるで「ラバー・ソウル」のサウンドで「ハード・デイズ・ナイト」の雰囲気を再現してみました、というような計算され尽くした構成の、実によく出来たヒット・ポテンシャルの高い曲で、全米№1になったのも当然だろう。ファン・クラブの楽曲人気投票でこの曲が17位というのが信じられない... 一体どこを聴いとんのじゃ(>_<) ゴフィン=キング作の③「テイク・ア・ジャイアント・ステップ(希望を胸に)」は聴き易いポップンロールだが、妖しげな雰囲気を醸し出す間奏の不協和音の使い方なんかはストーンズの「ウィー・ラヴ・ユー」譲りか。
2nd シングル④「アイム・ア・ビリーバー」はニール・ダイアモンドの作で、7週連続全米№1に居座り彼らにとって最大のヒットになったナンバーだが、私は去年この曲と「ペイパーバック・ライター」をマッシュ・アップした「ペイパーバック・ビリーバー」を聴いて以来、このイントロを聴くとどうしてもミッキー・ドレンツではなくポール・マッカートニーのヴォーカルが聞こえてくるような気がしてしまう(笑)。まぁあんまり道に外れた聴き方ばかりしてるとこうなってしまうのでお遊びは程々にしときましょう...(>_<)
⑤「ステッピン・ストーン」は単調なメロディーの繰り返しで、彼らにしては珍しくシャウト気味のヴォーカルを聴くことができる。④同様ニール・ダイアモンド作の 3rd シングル⑥「ア・リトル・ビット・オブ・ミー、ア・リトル・ビット・オブ・ユー(恋はちょっぴり)」は彼ららしいホノボノ・タイプのポップなナンバー。新録音の⑦「エニタイム、エニプレイス、エニウェア(いつも どこかで)」は何か無理して80's風の音作りをしているように聞こえるのだが、正直言って全然合ってないと思う。曲のメロディーもイマイチだ。それに比べて同じ新録でもシングル・カットされた⑧「ザット・ワズ・ゼン、ジス・イズ・ナウ(君がいて僕がいる)」はさすがにツボを押さえた作りになっており、80'sでありながらいかにも60'sというメロディーと雰囲気を持った⑥⑨⑩路線の曲。レトロな感じのバック・コーラスといい、間奏のシンプル極まりないギター・ソロといい、実によく出来たポップ・ソングだ。マドンナの「パパ・ドント・プリーチ」やバナナラマの「ヴィーナス」が支配していた当時の全米チャートで20位まで上がったのはある意味大健闘だと思う。
⑨「ザ・ガール・アイ・ニュー・サムウェア(どこかで知った娘)」は⑥のB面でありながらチャート39位まで上がった軽快なナンバーで、彼らの持ち味が上手く活かされていると思う。ゴフィン=キング作の⑩「プレザント・ヴァレー・サンデー」はウキウキワクワクするような曲想が楽しい1曲。この誰もが口ずさめるポップ感覚こそがモンキーズなのだ。⑪「ホワット・アム・アイ・ドゥーイング・ハンギン・ラウンド(恋の冒険)」は初期 S&G のテンポを上げてカントリー&ウエスタン風に仕上げてみましたといった趣の、彼らにとっては異色のナンバーだ。
4週連続全米№1を記録した⑫「デイドリーム・ビリーバー」はモンキーズの、というよりもアメリカン・ポップス史上屈指の大名曲で、21世紀になった今聴いても “最高!!!” という言葉以外思いつかない完全無欠のエヴァーグリーン・ポップスだ。アン・マレーのカヴァー・ヴァージョンも超オススメ。どことなく懐かしい雰囲気の⑬「すてきなヴァレリ」は私の大好きな曲で、まるで日本のGSを想わせるような哀愁漂う演奏がたまらない。新録の⑭「キックス」は「ミナミの帝王・エンディング・テーマ」やサザンの「ビッグ・スター・ブルース」の元ネタになったポール・リヴィア & ザ・レイダースのカヴァーで、シャープでエッジの効いた音作りがエエ感じだ。洋楽邦楽を問わず最近の曲はどうも薄味で面白くない、小難しくって楽しくないとお嘆きの方はぜひ一度真っ白な心でモンキーズのシンプルでポップな世界を楽しんでみてはいかがだろうか?
The Monkees - Daydream Believer
しかし彼らが軽んじられてきたもっと大きな理由としては、所詮はオーディションで集められた “人工的に作られたグループ” であるということと、最初の2枚のアルバムではヴォーカル以外はすべてスタジオ・ミュージシャン達が演奏していたということが後になってバレたことetc が挙げられるだろう。私はグループ結成の経緯をいちいち考えながら音楽を聴くような趣味はないし、ちゃんと本人達が歌ってるんなら立派なヴォーカル・グループとして楽しめば問題ないやんと思う。口パクがバレてグラミー賞を剥奪され、赤っ恥をかいたミリ・ヴァニリみたいに全部他人がやってたワケじゃあるまいし...(>_<) 私は昔から自分の感性を信じて好き嫌いだけで音楽を聴いてきたせいか、実際に聴いてみて音楽そのものが気に入れば別に誰が演奏していようが、音楽のスタイルがどうであろうが、全く気にならない。だからキング・クリムゾンも、フランス・ギャルも、青江三奈も、ウエス・モンゴメリーも、ドリス・デイも、ウクレレ・ジブリも全部好きなように、モンキーズも大好きなのだ。そんな彼らが “ザ・モンキーズ・ショー” の再放送をきっかけに起こったリバイバル・ブームに乗って1986年に出したベスト・アルバム(マイク・ネスミスを除く3人で再結成した新録3曲を含む)がこの「ゼン & ナウ」である。
彼らのテレビ・シリーズの主題歌で 1st アルバムのオープニング・ナンバーでもある①「モンキーズのテーマ」はイントロなんかいかにもそれ風の作りだが、よくよく聴くと実に単調なメロディーの繰り返し。それに比べるとデビュー・シングル②「ラスト・トレイン・トゥ・クラークスビル(恋の終列車)」はギターにタンバリンが絡むイントロからキャッチーなコーラス・ハーモニー、終盤の “オ~ ノノンノォ~♪” に至るまで、まるで「ラバー・ソウル」のサウンドで「ハード・デイズ・ナイト」の雰囲気を再現してみました、というような計算され尽くした構成の、実によく出来たヒット・ポテンシャルの高い曲で、全米№1になったのも当然だろう。ファン・クラブの楽曲人気投票でこの曲が17位というのが信じられない... 一体どこを聴いとんのじゃ(>_<) ゴフィン=キング作の③「テイク・ア・ジャイアント・ステップ(希望を胸に)」は聴き易いポップンロールだが、妖しげな雰囲気を醸し出す間奏の不協和音の使い方なんかはストーンズの「ウィー・ラヴ・ユー」譲りか。
2nd シングル④「アイム・ア・ビリーバー」はニール・ダイアモンドの作で、7週連続全米№1に居座り彼らにとって最大のヒットになったナンバーだが、私は去年この曲と「ペイパーバック・ライター」をマッシュ・アップした「ペイパーバック・ビリーバー」を聴いて以来、このイントロを聴くとどうしてもミッキー・ドレンツではなくポール・マッカートニーのヴォーカルが聞こえてくるような気がしてしまう(笑)。まぁあんまり道に外れた聴き方ばかりしてるとこうなってしまうのでお遊びは程々にしときましょう...(>_<)
⑤「ステッピン・ストーン」は単調なメロディーの繰り返しで、彼らにしては珍しくシャウト気味のヴォーカルを聴くことができる。④同様ニール・ダイアモンド作の 3rd シングル⑥「ア・リトル・ビット・オブ・ミー、ア・リトル・ビット・オブ・ユー(恋はちょっぴり)」は彼ららしいホノボノ・タイプのポップなナンバー。新録音の⑦「エニタイム、エニプレイス、エニウェア(いつも どこかで)」は何か無理して80's風の音作りをしているように聞こえるのだが、正直言って全然合ってないと思う。曲のメロディーもイマイチだ。それに比べて同じ新録でもシングル・カットされた⑧「ザット・ワズ・ゼン、ジス・イズ・ナウ(君がいて僕がいる)」はさすがにツボを押さえた作りになっており、80'sでありながらいかにも60'sというメロディーと雰囲気を持った⑥⑨⑩路線の曲。レトロな感じのバック・コーラスといい、間奏のシンプル極まりないギター・ソロといい、実によく出来たポップ・ソングだ。マドンナの「パパ・ドント・プリーチ」やバナナラマの「ヴィーナス」が支配していた当時の全米チャートで20位まで上がったのはある意味大健闘だと思う。
⑨「ザ・ガール・アイ・ニュー・サムウェア(どこかで知った娘)」は⑥のB面でありながらチャート39位まで上がった軽快なナンバーで、彼らの持ち味が上手く活かされていると思う。ゴフィン=キング作の⑩「プレザント・ヴァレー・サンデー」はウキウキワクワクするような曲想が楽しい1曲。この誰もが口ずさめるポップ感覚こそがモンキーズなのだ。⑪「ホワット・アム・アイ・ドゥーイング・ハンギン・ラウンド(恋の冒険)」は初期 S&G のテンポを上げてカントリー&ウエスタン風に仕上げてみましたといった趣の、彼らにとっては異色のナンバーだ。
4週連続全米№1を記録した⑫「デイドリーム・ビリーバー」はモンキーズの、というよりもアメリカン・ポップス史上屈指の大名曲で、21世紀になった今聴いても “最高!!!” という言葉以外思いつかない完全無欠のエヴァーグリーン・ポップスだ。アン・マレーのカヴァー・ヴァージョンも超オススメ。どことなく懐かしい雰囲気の⑬「すてきなヴァレリ」は私の大好きな曲で、まるで日本のGSを想わせるような哀愁漂う演奏がたまらない。新録の⑭「キックス」は「ミナミの帝王・エンディング・テーマ」やサザンの「ビッグ・スター・ブルース」の元ネタになったポール・リヴィア & ザ・レイダースのカヴァーで、シャープでエッジの効いた音作りがエエ感じだ。洋楽邦楽を問わず最近の曲はどうも薄味で面白くない、小難しくって楽しくないとお嘆きの方はぜひ一度真っ白な心でモンキーズのシンプルでポップな世界を楽しんでみてはいかがだろうか?
The Monkees - Daydream Believer
中学生の頃、学校から帰って
モンキーズのTVを見るのが楽しみでした。
モンキーズのテーマで始まる番組です。
「ディドリーム・ビリーバー」は名曲ですね。
爽やかです♪
※バン・ヘイレンさんの回では「胸毛系」を使って下さり感激!(笑)
中学生でモンキーズ・ショーを
見ておられたんですね。
羨ましい限りです。
私の記憶にはないので
奈良では放送してなかったのかな?
それともまだ小学生だったのかも...
ヴァン・ヘイレンは
ただ「胸毛系」という言葉を使いたいがために
取り上げたよーなモンです(笑)
でもエディーのギターって、目覚ましに最高なんですよ。
朝から聴いても晩ヘイレン、って言うぐらいですから。
私はBeatlesを聞き始めたのは1970年Let It Be
からでしたが。(中1でした、歳がバレる)
モンキーズのTVはその前から見ていました、
アイワナビーフリー(自由になりたい)
という曲が好きでした。
デイドリームは清志郎も歌っていましたね。
中一で Let It Be ですか...
私の中一は Venus And Mars でした。
お互い、歳がバレましたね(笑)
これからは先輩と呼ばせて下さい。
デイドリームは名曲だけあって
多くのシンガーがカヴァーしてますね。
隠れ名演を探し甲斐のある1曲です。