shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

東京ナイト / 和泉雅子 & 山内賢

2011-10-11 | 昭和歌謡・シングル盤
 京都猟盤ツアー最後の目的地は太陽レコードである。ここは今回初めて行くお店なのだが、ネットにアップされてた小さな写真を見ただけでも他のレコ屋とは違う一種独特な雰囲気が伝わってくるし、何よりも歌謡曲に強いということなので他では中々見つからないような盤が何気なくエサ箱に眠っていそうな予感がする。
 私が知っている京都は清水寺でも金閣寺でも嵐山でもなく、レコ屋が集中している四条~三条河原町界隈だけなので、このお店がある “東山二条” というのはまったく未知のエリアである。まずは京阪三条駅を超えて東へと向かい、東大路通の交差点で左折、二条通を目指してひたすら北へと向かう。それにしてもこの東大路通というのはまるで路面電車でも走っていそうなぐらい幅の広い道路で、周りに高い建物がないこともあって地図を見てイメージしていた風景とはかなり違う。しかもそんな大通り沿いにいきなり大きなお寺があったりしてビックリ(゜o゜) さすがは京都やねぇ。空気も涼しくて気持ちイイし、地図を片手にちょっとした小旅行気分が味わえてめっちゃ楽しい(^o^)丿
 すっかり京都散策気分に浸りながら歩いているといつの間にか二条通に到着、交差点を超えるとすぐに “中古レコード専門店” の黄色い看板が目に入る。大通りに面しているこのお店の前にはバス停があり、数人の人がバスを待っている。私の知っているレコ屋というのはゴミゴミした街中の雑居ビルの何階かにあるものばかりなので、こういう立地のお店は初めてだ。何というか、まるで子供の頃に見た駄菓子屋みたいな店構えで、それだけでも昭和の薫りがプンプン漂う。入口のガラス戸にはカラー・レコードが飾ってあり、一歩中へ入ると狭い店内に60年代のアナログ・レコードがビッシリと、しかし非常に見やすく並べられている。壁には歌謡曲やオールディーズの貴重盤シングルと10インチ、ヤフオクでかなりの高値で取り引きされているミコたんの「ヒット・キット・パレード」10インチ原盤や昔懐かしいジョニー・シンバルの「ミスター・ベースマン」なんかも壁面を賑わしている。
 他のお店とは違い、歌謡曲のシングル盤のエサ箱は入ってすぐの見やすい位置にある。ナ行最前列には西田佐知子の「涙のかわくまで」、ハ行は平山三紀の「ノアの方舟」、マ行は黛ジュンの「雲にのりたい」が並んでいて何だか嬉しくなってしまう。ここはレコードの入っているビニールの裏面にマジックで値段が書いてあるというユニークなシステムで、壁に掛かっている貴重盤以外は大体 200円~400円ぐらいの良心的な値付けである。私はこの2ヶ月ほどかけてヤフオクでコツコツと昭和歌謡のシングル盤を買ってきたが、最初からココを知っていればもっとラクが出来たのに(笑)と思えるぐらい私の嗜好にピッタリの品揃えだ。
 ワクワク気分でエサ箱を漁る私の後ろで店主のオッチャンが常連さんと楽しそうに歌謡曲談義をされており、そっちの話も興味深いのでついつい聞き耳を立ててしまう。ここは歌謡曲やオールディーズのファンにとってはまさに聖地とも言えそうなお店である。そんな中でついにこれぞ本日最大の収穫といえる盤を発見! それがこの「東京ナイト」、山内賢と和泉雅子のデュエットによるベンチャーズ歌謡の隠れ名盤だ。このレコードは “どこにでもありそうで、実際に探してみると中々見つからない盤” の1枚で、ヤフオクでも滅多に出てこない。これだけでも京都まで出てきた甲斐があったというものだ(^.^)
 山内・和泉デュオといえば世間では「二人の銀座」(66年)ばかりでこの「東京ナイト」(67年)の方はあまり話題に上らないが、私はこの曲が大好き! 元々は67年に日本のみでリリースされたベンチャーズのアルバム「ポップス・イン・ジャパン」に入っていた曲で、それに永六輔が詞を付け、川口真が編曲を担当、「二人の銀座」では聴くに堪えなかった和泉雅子の下手糞な歌もわずか1年で何とか聴けるレベルにまで上達、 “月と星 影と影~♪” と舌っ足らずな感じで歌うところなんかはご愛嬌で、この曲では彼女の素人っぽさが良い方向に作用しているように思う。
 歌詞の方も技アリで、 “二人の街 銀座~♪” と前作から巧くつないで “若い街 新宿、恋の街 赤坂~♪” と続けて東京ガイドマップ的な展開を見せると同時に、 “モノレール” “エアポート” “東京タワー” “高速道路”と、高度経済成長期の60年代日本を象徴するような “憧れの街” 東京” をイメージさせる単語を散りばめた詞はさすが永六輔という他ない。今ではもう死語と化した感のある “ランデヴー” という言葉(←要するに “逢引き” ですね)もめっちゃレトロな響きがして気に入っている。
 ベンチャーズの原曲を更に高速化して一気に畳み掛けるアレンジも素晴らしい。川口真といえば私の中では「人形の家」や「他人の関係」といったコテコテ歌謡曲のイメージが強かったので、この曲のアレンジが彼だと知った時は正直ビックリした。エレキな歌心溢れるギターも、随所で爆裂するドラムスも、まさに “あの時代” の薫りが色濃く立ち込めるエレキ歌謡の大傑作で、私的にはベンチャーズのオリジナル・ヴァージョンよりもこっちの方が好きだ。
 下に貼り付けた YouTube 動画は映画のシーンを編集したもののようだが(←この映画、DVD化してほしいなぁ...)舞妓さん姿で歌う和泉雅子のキラキラ輝くような美しさは必見だ。なぜかそのまんまの格好で新幹線に乗ってるエンディングは笑えるけど... それにしてもこの時代の女優さんってみんなめちゃくちゃ綺麗やし、何よりも品があるところに憧れてしまう。やっぱり音楽も女性も昭和が最高やわ(^o^)丿

追悼!山内賢さん、・和泉雅子「東京ナイト」


THE VENTURES-TOKYO NIGHT 東京ナイト

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