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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

【ネタバレ注意】映画「イエスタデイ」を観に行ってきた

2019-10-19 | The Beatles
 こないだの3連休の最終日に映画「イエスタデイ」を観に行ってきた。残念なことに私の住んでいる奈良では1ヶ月以上も遅れての公開なので、待ちきれずに大阪難波まで出かけて行ったのだ。しかも14日はたまたまTOHOシネマズデイということで1,200円で観れてラッキー(^.^)  パンフレット(880円です)もシングル盤の棚にピッタリのEPサイズで、ご丁寧にリング・ウェアが印刷されたカバー付きというマニアックな作りが嬉しい。観終わった印象は “観に行ってホンマによかったぁ(^o^)丿” と大満足の映画だった。(ココからはネタバレになるので、ビートルズ・ファンの方はこの映画を観た後で読まれた方がいいと思います...)
映画『イエスタデイ』予告


 この映画は “もしも自分以外に誰もビートルズを知らない世界になってしまったら...” というパラレル・ワールドを描いたラヴ・コメディーで、ウィットに富んだユーモアのセンス溢れる作品に仕上がっている。軽快なテンポでストーリーが展開していくのでダレることもない。
 例えば “誰もビートルズを知らない” という世界を描写するのに、ジャックが「イエスタデイ」を歌った時の周りの反応が “ビートルズって何? 虫か? 車か?” というのもヒネリが効いているし、彼が出すアルバムのタイトルを考える戦略会議で「SGT ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を “単語が多すぎ”、「アビー・ロード」を “普通の道路と対向車” というふうに一刀両断に切って捨てるところも笑わせてくれる。
 キャスティングも実に見事で、どの役者さんもキャラが立っており、それぞれの役柄にピッタリの人選だ。中でもエリー役のリリー・ジェームズがめちゃくちゃキュートで観ている方としては思わず感情移入してしまうし、ジャック役のヒメーシュ・パテルも絶妙な表情変化(顔芸?)で喜怒哀楽を上手く表現していた。それと、ジャックの友人のロッキー(←おバカなローディー役の人ね)が実にエエ味を出していて、要所要所で笑わせてくれたのもよかった。
 ただ、この映画の中でよく分からなかった点が2つある。1つはこの平行世界ではビートルズだけでなくコカコーラやシガレット、ハリーポッターまでもが存在しなかったことになっているのだが、これらには何か共通点があるのだろうか? そしてもう一つ、この映画にはジャック以外にもビートルズの記憶を失っていない人間が2人登場するのだが、あのオッチャンとオバチャンは一体何者なんだろう? う~ん、気になる...
『イエスタデイ』特別映像(A Look Inside)


 それと、この映画に本人役で登場するエド・シーランだが、恥ずかしながらYouTubeで予告編を観るまで彼のことは名前すら知らなかった。まさにエド・シーラン?知らんなぁ... 状態。私が知っているエドさんといえば、エド・サリバンとエド山口くらいである。冗談はさておき、脚本家との対談映像を見ていて何となく “この人有名なんかな?” と思ってググってみてビックリ。コンサート・ツアーの動員数でU2が持っていた記録を破ったって... マジっすか? モスクワへ向かう飛行機の中でロッキーがエドに “ラップはやめた方が...” って言った時に周りの観客がめっちゃウケていたのだが、私には何が面白いのかよく分からなかった(>_<) 
映画『イエスタデイ』特別映像<いじられるエド・シーラン>


 この映画を単なる “ビートルズの歌がふんだんに出てくるファンタジーなラブコメ” ではなく私にとって忘れられない特別なものにしているのは、予告編にはなかった(←というか意図的にトレイラー映像に入れなかったのだろうし、映画のクレジットでも伏せてあった...)ジョン・レノンのそっくりさん(←Robert Carlyleで検索してみて下さい...)が登場するシーンだ。
   

 エリーに愛を打ち明けられずに悩んでいたジャックが例のオッチャンとオバチャンから住所を教えてもらって会いに行った相手が何と海辺で独り暮らしをしているジョン・レノン!!! えっ、ビートルズは存在しなかったんじゃ???と一瞬ワケが分からなくなったが、よくよく考えてみればこれはパラレル・ワールド。つまりビートルズとしてのジョン・レノンは存在しなくても、人間ジョン・レノンは存在しているという設定なのだろう。
 そしていよいよこの映画は最高のシーンを迎える。平凡だが幸せな人生を送ってきたジョン(←“I just said very happy... that means successful.” はいかにもジョンが言いそうな言葉だし、人生を振り返って “It turned out just... FAB.” と敢えてFABという単語を使った台詞も素晴らしい!)が悩めるジャックに語りかけるのだ... “彼女を取り戻せ... はっきりと愛を伝えるんだ。” と。何という説得力! ビートルズになっていなくても “愛こそはすべて” な人生を送るジョン・レノンからの最高の “恋のアドバイス” である。
 二人が腰かけているボートの右下部分にもご注目! 画面では上下逆さまになっていて判りづらいが、よくよく見ると I-m-a-g-i-n-e... 何と船の名は Imagine号だ! う~ん、芸が細かい。ひょっとするとこれは “ジョンが生きていると想像してごらん...” というダニー・ボイル監督から視聴者に向けてのメッセージなのかもしれない。
 迷いが吹っ切れてスッキリしたジャックに年齢を聞かれて“78歳だ。”と答えたジョンに “Fantastic! You made it to 78!”(素晴らしい! よくぞ78歳まで!)と感極まるジャック... ここで私は不覚にも涙腺が決壊してしまった。そう、この平行世界ではジョンはまだ幸せな老人として静かに余生を過ごしているのだ。ビートルズにならなかったジョンの身にはあの忌まわしい事件は起こらなかったのだ。ジョンが生きている... もうそれだけで十分ではないか!
 そしてこのビートルズ・ファンなら涙なくして観れないシーンの締めのセリフがジョンの “精神科に行った方がいいぞ。” というのがこれまた最高にクール。いやぁ、参りました。ダニー・ボイル監督(あるいは脚本家のアイデア?)はジョン・レノンという人をホンマによくわかってらっしゃる!
 私はもうこのシーンだけで胸が一杯になって、この後に続くウェンブリー・スタジアムでの告白からジャックとエリーのオブラディ・オブラダ・ハッピーエンド、そしてエンド・ロールで鳴り響く本物ビートルズの「Hey Jude」まで、とても幸せな気持ちで観ることができた。とにかく予想だにしなかったジョン・レノン登場で私的には100点満点の映画になった。いやぁ、映画って本当にいいもんですね~(^.^)
Yesterday: John Lennon scene HD


【おまけ】上記John Lennon scene での2人の会話です。
 John: Hello. Can I help?
 Jack: I don't know... you're John?
 John: That's right.
 Jack: From Liverpool?
 John: That's right.
 Jack: It's an honor to meet you.
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 Jack: John?
 John: Yeah?
 Jack: Have you had a happy life?
 John: Very.
 Jack: But not successful.
 John: I just said very happy. That means successful. Did a job I enjoyed day after day. Sailed the world. Fought for things I believed in, and won a couple of times. Found a woman I loved. Fought hard to keep her too. Lived my life with her.
 Jack: Fought hard for her?
 John: There were complica... Sorry, what was your name?
 Jack: Jack.
 John: There were complications, young Jack. Loss and gain. Prejudice and pride. But it all turned out just... fab. How's your love life?
 Jack: Bad. I let her slip away.
 John: Try to get her back. You want a good life? It's not complicated. Tell the girl you love that you love her. And tell the truth to everyone whenever you can.
 Jack: Can I give you a hug?
 John: What?
 Jack: It's so good to see you. How old are you?
 John: Seventy-eight.
 Jack: Fantastic! You made it to seventy-eight.
 John: You're a very strange man. But go ahead.
 John: You need serious psychiatric help.
 Jack: Not anymore.

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