shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

MY WINDING ROAD / The Yellow Monkey

2012-01-17 | J-Rock/Pop
 先週たまたまテレビをつけるとミュージック・ステーションで “ジャンル別アーティスト最強ランキング” というのをやっていた。日本のロックバンドってどんなんおったっけ?と興味を引かれた私は “バンド編” の所だけ見たのだが、トップ20の中で私が身銭を切って聴くに値すると思ったのは B'z とサザンだけで、この2組にイエロー・モンキーを加えたのが私にとっての日本3大ロック・バンド(←ミスチルは基本的にフォーク・グループやと思う...)だ。
 この3つのバンドに共通しているのは、洋楽ロックという自らのルーツを鮮明にしていることで、他の有象無象のバンドにはそれが全く感じられない。長年英米のロックを聴いてきた私の耳には単なる “ロックもどきのJ-POP” にしか聞こえないのだ。やはり本物は本物からしか生まれないということか。 B'z も、サザンも、そしてイエロー・モンキーも、先人達からの影響を巧く消化して自らのスタイルを確立し、彼らにしか作り得ないロックの世界を作り上げている。
 もう一つ、これら3大バンドに共通する見逃せないポイントとして “遊び心” が挙げられる。アーティストとしての懐の深さと言ってもいいかもしれないが、ただ反骨精神を前面に押し出してシャウトしているだけのバンドは寒すぎて滑稽にしか映らない。イエロー・モンキーの楽曲はその歌詞、メロディー、音作りから PV 映像に至るまでユーモア精神に溢れており、英米の偉大なるロック・バンド達と同質の匂いが感じられるところに思いっ切り魅かれるのだ。
 で、今日取り上げるこの「マイ・ワインディング・ロード」という曲だが、これこそまさにイエロー・モンキーが仕掛けたユーモア溢れる “一大パロディー絵巻” と言えるのではないか? 肉体的にも精神的にも過酷を極めた年間113本というパンチ・ドランカード・ツアーの最中にレコーディングされたというこの曲は、その反動もあってか、あれこれ考えずに楽しめるようなイケイケ・ノリノリのイエロー・モンキー流ダンス・ナンバーに仕上がっている。ひょっとするとお笑い満載のパロディーをドバァ~ッとぶちかましてスッキリしたかっただけなのかもしれない。
 とにかくこの曲は、そのメロディーといい、バック・コーラスといい、リズム・パターンといい、どこをどう聴いてもキッスの「ラヴィン・ユー・ベイビー」のパロディーだ。メンバーの中でも筋金入りのキッス・ファンを自認するヒーセ兄貴の嬉しそうな顔が目に浮かぶ。又、ポール・マッカートニー登録商標(?)である「ワインディング・ロード」という言葉を堂々と使ったタイトル自体も立派なパロディー(←歌詞の中に “down this long and winding road♪” というフレーズまで登場する...)と言えるだろう。
 吉井さんが “この頃の気分は真っ暗だった...” というぐらい精神的に疲れきっていた時期の作品だけあって、歌詞にいつものような切れ味は無く、 “「耐えられない やりきれない」という名のブティック” だとか、 “夢を殺しかけていた 愛も忘れかけていた...” のようにネガティヴな表現が並んでいる。又、 “「愛されたい 愛されない」という名のワイン飲んで...” のラインには彼のトラウマがストレートに出てしまった感が無きにしもあらずだが、私は “あぁ 真夜中に~♪” から始まるパートが大好きで知らず知らずのうちに “It's my disco♪” と口ずさんでしまっているし(笑)、 “新しい時代にミラーボールは回り始める” という前向きなフレーズも大いに気に入っている。やっぱりイエロー・モンキーは最高だ(^o^)丿
 この曲の PV もファンの間で人気が高く、グラサンにスーツ姿の吉井さんはホストみたいで相変わらずカッコイイし、それ以外にも見所が満載だ。ベースのヒーセはラリパッパ状態のエルトン・ジョンみたいに(笑)ド派手な衣装で身をくねらせながら70年代ディスコ・ブームを体現するハジケッぷりだし、ドラムスのアニー(←エマの実の弟なのにアニーとはこれいかに...)はパンツ一丁でリズム・キープ、エマに至ってはチカチカする電飾ギターを弾いており、後半部ではサタデー・ナイト・フィーヴァーごっこに興じている... エマボルタだ(笑) イエロー・モンキーは各メンバーのキャラが立っていて親しみやすいので、こういうビデオはファンにはたまらない(^o^)丿 因みにメンバーのシルエットを浮かび上がらせる手法はトーキング・ヘッズの PV などで用いられていたものだが、他にも80年代の MTV 全盛期を想わせるような映像処理が随所に施されており、何度見ても飽きない楽しさ溢れるビデオ作品に仕上がっている。高橋栄樹氏の監督した PV に駄作なしだ。
 又、ライヴでは PV 同様に巨大なミラーボールが登場、会場全体が巨大なディスコと化す様はまさに圧巻だ。シングルとしてのリリース時期の関係でオリジナル・アルバムには入っておらず(←アルバム「8」の初回盤のみにボーナス・ディスクという形で収録)、バンドの歴史を語る上で重要な位置を占める曲ではないかもしれないが、小難しいことを考えずに彼らが持っているエンターテインメントの要素を最大限に楽しめるという意味で、日々愛聴している1曲なのだ。

The Yellow Monkey - MY WINDING ROAD
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