shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「ベサメ・ムーチョ」特集

2009-08-25 | Cover Songs
 日本の夏はキンチョウだが、音楽ファンの夏はラテンである(←何でやねん!) アレコレ細かいことを気にせずにノリノリのラテン音楽に身を任せれば日頃のキンチョウから解放される(はず?)。というわけで前回は「ティコ・ティコ」を取り上げたが、ラテンの曲で一番有名なのは何と言っても「ベサメ・ムーチョ」(ウチの母親でも知ってた...)である。この曲は1941年にメキシコの女性作曲家コンスエロ・ベラスケスによって書かれたもので、英語に訳せば “Kiss me much” だから単なるラヴ・ソングと思われがちだが、元々は病に侵され死期の迫った男が妻に向って言った言葉から生まれたらしい。ここでも又、名曲の陰に人生ありなのだ。この曲はちょうどスイング期にあったアメリカ音楽界に紹介されて以来、トリオ・ロス・パンチョスを始め数え切れないほどの歌手やバンドにカヴァーされてきたが、中でもジャズ・ミュージシャンはこの曲が大好きみたいで、アート・ペッパー、ウエス・モンゴメリー、カーティス・フラー、グラント・グリーンと名演が目白押しだし、ヴォーカルでもジュリー・ロンドンやイヴ・ボスウェルらが名唱を残している。
 私がこの曲を知ったのは遙か昔、映画「レット・イット・ビー」の中でポールが朗朗と歌い上げるヴァージョンを聴いた時で、その時はあまり感じるものがなかったのだが、暫くして、ビートルズがデビュー前にハンブルグのスター・クラブで演奏した同曲のロックンロール・ヴァージョンを聴いていっぺんに好きになった。だから今でもこの曲は原曲に忠実なボレロ調のヴァージョンよりも、アップテンポなアレンジのカヴァーに魅かれてしまう。ということで今回も裏街道まっしぐら、オラオラ系ベッサメ大会です:

①Beatles
 ビートルズはこの曲がお気に入りのようで、デッカのオーデションやアンソロジー1、そして映画「レット・イット・ビー」でも聴くことができるが、私が一番好きなのはハンブルグのスター・クラブにおける火の出るようなロックンロール・ヴァージョン。音は悪いがそのハンデを跳ね返して尚且つお釣りがきそうなほどの熱い演奏が圧巻で、私にとっての最高最強ベッサメである。この血沸き肉踊る破天荒なエネルギーの奔流を全身で受け止めることこそがビートルズを聴くということなのだ... cha cha boom!!!
The Beatles - Besame Mucho (Live at the Star Club April 1962)


②Ventures
 「マイ・ボニー」や「スワニー・リヴァー」、「ダーク・アイズ」といった名曲たちを片っ端からツイスト・カヴァーしたアルバム「ツイスト・パーティー Vol. 2」に入っていたスタジオ・テイクも味があって捨てがたいが、やはり「ベンチャーズ・イン・ジャパン Vol. 2」に入ってる65年夏のライブ・ヴァージョンがベストだろう。因みにこの YouTube ではヘンな外人ビン・コンセプションのめっちゃ怪しいMC(スペインの曲とちゃうでぇ~) が聞けるというオマケつき(笑)
THE VENTURES { BESAME MUCHO } LIVE AUDIO TRACK


③江利チエミ
 名盤「チエミのスタンダード・アルバム」の冒頭を飾るのがこれで、当時22才だったチエミが切々と歌う前半部分も渋いが、2分ジャストから一気にギアをトップに入れて元気ハツラツ、コモエスタなノリで一気に歌い切る後半部分が何と言ってもこの曲のハイライト(≧▽≦) “which means!” の掛け声でスペイン語から英語にスイッチするところもめちゃくちゃカッコイイ!躍動感溢れる伴奏は見砂直照と東京キューバン・ボーイズだ。
チエミのベサメムーチョ


④Charlie Norman
 チャーリー・ノーマンはブギウギ・ピアノの楽しさを教えてくれるスウェーデンのピアニスト。いきなりバロック調の華麗なイントロから入って ??? と思わせておいて、突然リズム隊が乱入、気がつきゃジェリー・リー・ルイスもビックリの火の玉ロック状態である。途中で「バークス・ワークス」のブルージーなフレーズを挿入するなど、独特の解釈が楽しい “ブギウギ・ベッサメ” なのだ。
チャーリーノーマン


⑤Dalida
 「悲しき天使」、「ビキニスタイルのお嬢さん」大会に続いて今年3度目の登場となるエキゾチックなフレンチ美女、ダリダ。彼女の手にかかればラテンの名曲もあっという間にアップテンポのダンス・ナンバーに早変わり。その唯一無比のハスキー・ヴォイスでエモーショナルな歌声を聴かせる彼女のベサメには、バックのサウンドがどうであれ、そんなこと関係なしに聴かせてしまう不思議な吸引力がある。何でこの人の日本盤出ぇへんのやろ?
Dalida - Besame mucho

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