shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ソウル・フィーフィー / 欧陽菲菲

2010-03-17 | 昭和歌謡
 ベンチャーズ→70年代→昭和歌謡→渚ゆう子、とくれば、次はもう欧陽菲菲しかない...(でしょ?) 私にとって、渚ゆう子の「京都の恋」、「京都慕情」と並ぶ “ベンチャーズ歌謡私的3大名演” の一つが欧陽菲菲の「雨の御堂筋」なのだ。
 昨日渚ゆう子の時にも書いたように私がベンチャーズ歌謡に目覚めたのは遅かった。当然この「雨の御堂筋」も同じである。恥ずかしながらそれまでの私は欧陽菲菲と言われても “中国か台湾から来た演歌歌手” というとんでもない誤解をしており、もっと酷いことにテレサ・テンやジュディ・オングとの区別すらつかなかった。今から考えると何とも恥ずかしいハナシである。
 そんな私の誤解を正してくれたのもやはり YouTube だった。最近は試聴やら関連動画探索やらで、私の音楽生活に YouTube は欠かせない存在になっているが、この時もベンチャーズ関係から菲菲の「雨の御堂筋」へと辿り着き、圧倒的なノリで爆走するその熱い歌唱に惹き込まれ、彼女に関する認識を改めるとともにすっかりハマッてしまった。後はいつものお決まりパターンで、アマゾン、HMV、ヤフオクで色々検索して、直感的に良さそうだと思って買ったのがこの「ソウル・フィー・フィー」だった。
 CDが届いてビックリしたのは、この盤も昨日の渚ゆう子盤と同じくみうらじゅん氏の責任編集だったこと。どうやら氏とは好みが合いそうだ。全15曲中9曲が筒美京平作品で占められており、そのどれもが傑作というのだから恐れ入る。70年代前半の京平氏の充実ぶりを示す素晴らしい選曲だ。又、ボートラ(?)として39秒の「フィーフィーMCコレクション」(←コレ、めっちゃオモロイです...)まで入っているところが嬉しい。
 まずは何と言っても①「愛の報酬」、②「恋の追跡(ラヴ・チェイス)」の連続パンチが凄まじい。持ち前のダイナミックなヴォーカルでグイグイと聴き手を惹きつける菲菲に圧倒されっぱなしで、この2曲をアタマに持ってきたみうらじゅん氏の見識に脱帽だ。彼女の魅力はもう一つ、その怪しげな日本語のイントネーションにあると思うのだが、①の冒頭のMC “ワタシハ オーヤンフィフィデス。台湾カラ キタネ。ドーゾ ヨロシク オネ ガイシマス。Thank you !” なんか最高のイントロの役割を果たしている。それに続いて爆裂する彼女のパワフルなヴォーカルと自然に身体が動いてしまうような躍動感みなぎるエネルギッシュなサウンドの波状攻撃に私は一発でKOされてしまった。②は筒美京平の天才が存分に発揮されたソウル歌謡の最高傑作で、パンチの効いたノリノリ・ヴォーカル(←特に “アァ!!!” のカッコ良さは鳥肌モノ!)に血湧き肉躍るキラー・チューンだ。ブンブン唸るベース、踊るパーカッション、そして切れ味抜群のホーン群と、バックの演奏も負けず劣らずファンキーだ。コレを聴いてじっとしていられる人はポップス・ファンではない。それにしても下に貼った YouTube の映像、多分紅白だと思うが、目も眩むような超高速で飛ばす菲菲のド迫力が圧巻だ。
 アン・ルイスあたりがカヴァーしたら面白そうな③「火の鳥」、何となく加山雄三の「旅人よ」を想わせるような哀愁のメロディーに涙ちょちょぎれる④「夜汽車」と、②と同じ “橋本淳=筒美京平” コンビの作品が続く。この流れ、たまらんなぁ... (≧▽≦)  ⑦「海鴎(かもめ)」、⑨「恋は燃えている」、⑫「星は知っている」と、絶好調の筒美メロディーが炸裂、昭和歌謡が最も美しかった時代の空気を真空パックしたような濃い音が心と身体に心地良い。ザ・ピーナッツのカヴァー⑪「情熱の砂漠」も彼女にピッタリの選曲で、まるで自分のオリジナル曲であるかのように貫録十分な歌声を聴かせてくれる。
 シメは “雨シリーズ” 3連発と、これまたニクイ選曲・配列だ。もし仮に私が CD-R に編集するとしてもほぼ同じ流れを作るだろう。まずは私にとって菲菲入門のきっかけになったベンチャーズ歌謡屈指の名曲⑬「雨の御堂筋」だが、絵に描いたような昭和歌謡メロディーをアメリカ人のベンチャーズが書いたというのが凄い。歌詞も雨に濡れる御堂筋の情景が目に浮かぶようで、 “梅田、新道、心斎橋とぉ~♪” のラインなんかもうたまらない(≧▽≦) 昭和歌謡では私的トップ3に入るバリバリの愛聴曲だ。因みに下に貼り付けた YouTube の映像は何とベンチャーズとの夢のコラボで、若い頃よりもややハスキーになったその歌声がこの名曲に更なる深みを与えているように思う。スラリと伸びた脚が美しい菲菲はティナ・ターナーももブッ飛ぶカッコ良さだ。
 イントロだけでメシ3杯は食えそうな⑭「雨のエアポート」は京平さんがベンチャーズ歌謡を意識して書いたような名曲で、職業作家に徹した彼の懐の深さが遺憾なく発揮されており、まさに向かうところ敵なしといった感じがする。 “I love you と言えないでぇ~♪” の繰り返しが胸に切なく、哀愁をまき散らしながら流れるように展開していく曲想に涙ちょちょぎれる。⑮「雨のヨコハマ」も⑬⑭の流れを汲んだ筒美メロディーが楽しめて言うことナシだ。
 このフィーフィー、ホント スゴイよ。彼女、ホンモノのシンガーね。ソウル感じるよ。ワタシ、彼女の大ファンね。ミナサンにもフィーフィー、超オススメあるよ(^o^)丿

欧陽菲菲「雨の御堂筋」withザ・べンチャーズ


「恋の追跡」  欧陽菲菲


欧陽菲菲 雨のエアポート

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