2週間にわたって続けてきたゴフィン&キング特集もいよいよ最終回。そもそも当初のミッションは “ゴフィン&キングの曲がたくさん聴ける盤を探せ!” だったが、残念ながらコンポーザー別に編集されたコンピ盤を私は1枚も持っていなかった。そこでアマゾンでそういう盤がないか調べてみると、現在出回っている盤はどれも選曲がイマイチなものばかりだったので、自分でテーマを決めて愛聴曲を紹介するという切り口でいくことにした。
その後の調べで私の嗜好にかなり近い選曲がなされた「ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング・ソングブック」という2枚組 CD を発見、今回の特集で取り上げた曲がほぼ網羅されているお徳用盤で、マイナーなニュージーランド盤ということもあってか日本アマゾンのリストには載っていないが、イーベイで NZ のセラーから買うことができた。
とまぁこのようにゴフィン&キング関連の盤を色々と調べて楽しんできたのだが、そんな中で予想外の収穫といえる1枚がこの「ブリル・ビルディング・レジェンズ」だった。この CD はブリル・トーン・レコードという謎のレーベルが出しているコンポーザー・レア音源シリーズの1枚で(←他にバリー・マンやエリー・グリニッチなんかも出ている)、キャロルが1958~66年までの職業作家時代に他の歌手に提供した楽曲を自ら歌ったデモ音源を中心に全57曲(←ジェリー・ゴフィンやティナ・ロビン、ハニービーズらの歌もアリ)を収録したもの。うち31曲が未発表音源で、ゴフィ・キンの名曲の数々をキャロル本人の歌声で聴けるというのだからコレはエライコッチャである。厳密に言えばセルフ・カヴァーというのとはちょっと違うが、中島みゆきの「おかえりなさい」や竹内まりやの「リクエスト」のアメリカ版みたいなノリで、オリジナル・シンガーによる定番ヴァージョンとの聴き比べという楽しみも与えてくれる逸品だ。ということで最終回の今日はスペシャル企画、キャロル・キングの【本人歌唱編】です。
①Oh Neil [H.Greenfield-N.Sedaka-G.Goffin]
キャロル・キングにとって4枚目のシングルにあたるこの「オー・ニール」(1959)は読んで字の如く、ニール・セダカの大ヒット「オー・キャロル」へのアンサー・ソングとして原曲のメロディーはそのままに、夫のジェリー・ゴフィンが歌詞を面白おかしく書き換えたもので、 “テネシーの田舎娘でニールの元カノ” という設定のキャロルが “ニール・セダァキィ!” と南部訛り丸出しで歌ったりとか、 “セダキ野郎のレコードなんか聴くんじゃねぇ!” とお爺ちゃんがエンディングでショットガンをブッ放したりとか、随所に洒落っ気たっぷりの仕掛けがしてあって笑ってしまう。完全に替え歌感覚で遊んでますね、この夫婦...(笑)
Carole King - OH NEIL!
②He Takes Good Care Of Your Baby [C.King-G.Goffin]
「オー・ニール」は私の知る限り最も有名なアンサー・ソングだが、この「ヒー・テイクス・グッド・ケア・オブ・ユア・ベイビー」の存在はこの盤で初めて知った。この曲は彼女がボビー・ヴィーに提供した「テイク・グッド・ケア・オブ・マイ・ベイビー」へのアンサー・ソングとしてジェリー・ゴフィンが詞を書き換えたものをドラ・ディー&ローラ・リーがリバティ・レコードからリリースしたもので、ココに入っているのはキャロルによるデモ・テイク。 “彼女を大切にしてやってくれよ” という元歌に対し、 “彼、私のことをとっても大事にしてくれるわ... でも私はやっぱりあなたがいいの” という女の子目線の歌詞が面白い。要するに自作曲の続編というかセルフ・パロディー感覚で遊んでいるのだが、この粋なセンスこそがジェリー・ゴフィンの真骨頂なのではないかと思う。
CAROLE KING - He Takes Good Care Of Your Baby - PHILCOLD.wmv
③It Might As Well Rain Until September [C.King-G.Goffin]
キャロル・キング5枚目のシングル「イット・マイト・アズ・ウェル・レイン・アンティル・セプテンバー」は元々ボビー・ヴィーのために書かれたものだったが、彼のプロデューサーが前作「テイク・グッド・ケア・オブ・マイ・ベイビー」と曲調が似ている(←確かに!)とボツにしたキャロルのデモ・テイクをアルドン・ミュージックのドン・カーシュナーが気に入ってシングルとして発売したところ、彼女にとって60年代で唯一のヒット曲(全米22位)になったという。 “今はあなたと離れ離れで会えないから べつに9月までずっと雨でも構わないわ” という乙女心を見事に表現した歌詞が印象的なこの曲、スローな出だしから一転アップテンポになるところなんか技アリだし、キャロルのぶっきらぼうな歌い方も良い味を出している。ヘレン・シャピロによるカヴァーもオススメだ。
Carole King - It Might As Well Rain Until September
Helen Shapiro - It Might As Well Rain Until September (1966)
④Look Who's Talkin' [C.King-G.Goffin]
マニアックなガールズ・ポップ・ファンには「ダム・ヘッド」や「アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー・ホワット・ドレス・トゥ・ウェア」でおなじみのジニー・アーネルが1960年にデッカからリリースした「ルック・フーズ・トーキン」もゴフィン&キングの隠れ名曲で、ビートルズ前夜の60's白人ポップスの典型と言ってもいいようなキャッチーなナンバーだ。ティーン・ポップスの王道を行くジニーちゃんの弾けるような歌声もいいが、ティーンエイジャーになりきったようなキャロルの無邪気なヴォーカルも捨て難い。オールディーズ・ファンにとってこの CD は宝の山だ(^o^)丿
Look Who's Talkin'
Ginny Arnell
⑤Breaking Up Is Hard To Do [N.Sedaka-H.Greenfield]
これはゴフィ・キン作品じゃないけれど、大好きな曲なので気にせず紹介。初めて聴いたのはカーペンターズのヴァージョンで、出だしからいきなり “カマカマ ダンドゥビ ドゥダンダン~♪” という意味不明なフレーズの波状攻撃に “何じゃいこの曲は???” と思ったものだが、コレがいつの間にか脳内リフレインを起こして病み付きになってしまうという麻薬的な魅力を秘めており、気が付けば鼻歌気分で “カマカマ~♪” と口ずさんでいた。もちろんニール・セダカのオリジナル・ヴァージョンも大好きだが、まさかこの愛聴曲をキャロルの歌声で聴けるとは思わなんだ(≧▽≦) 彼女のヴォーカルって決して上手くはないんだけれど聴き手の心を魅きつけてやまない何かがあり、何度も何度も繰り返し聴きたくなってしまう。いわゆるひとつのヘタウマ・ヴォーカルというやつだが、いやはやまったくこれだから音楽は面白い(^.^)
Carole King - Breaking Up Is Hard To Do
その後の調べで私の嗜好にかなり近い選曲がなされた「ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング・ソングブック」という2枚組 CD を発見、今回の特集で取り上げた曲がほぼ網羅されているお徳用盤で、マイナーなニュージーランド盤ということもあってか日本アマゾンのリストには載っていないが、イーベイで NZ のセラーから買うことができた。
とまぁこのようにゴフィン&キング関連の盤を色々と調べて楽しんできたのだが、そんな中で予想外の収穫といえる1枚がこの「ブリル・ビルディング・レジェンズ」だった。この CD はブリル・トーン・レコードという謎のレーベルが出しているコンポーザー・レア音源シリーズの1枚で(←他にバリー・マンやエリー・グリニッチなんかも出ている)、キャロルが1958~66年までの職業作家時代に他の歌手に提供した楽曲を自ら歌ったデモ音源を中心に全57曲(←ジェリー・ゴフィンやティナ・ロビン、ハニービーズらの歌もアリ)を収録したもの。うち31曲が未発表音源で、ゴフィ・キンの名曲の数々をキャロル本人の歌声で聴けるというのだからコレはエライコッチャである。厳密に言えばセルフ・カヴァーというのとはちょっと違うが、中島みゆきの「おかえりなさい」や竹内まりやの「リクエスト」のアメリカ版みたいなノリで、オリジナル・シンガーによる定番ヴァージョンとの聴き比べという楽しみも与えてくれる逸品だ。ということで最終回の今日はスペシャル企画、キャロル・キングの【本人歌唱編】です。
①Oh Neil [H.Greenfield-N.Sedaka-G.Goffin]
キャロル・キングにとって4枚目のシングルにあたるこの「オー・ニール」(1959)は読んで字の如く、ニール・セダカの大ヒット「オー・キャロル」へのアンサー・ソングとして原曲のメロディーはそのままに、夫のジェリー・ゴフィンが歌詞を面白おかしく書き換えたもので、 “テネシーの田舎娘でニールの元カノ” という設定のキャロルが “ニール・セダァキィ!” と南部訛り丸出しで歌ったりとか、 “セダキ野郎のレコードなんか聴くんじゃねぇ!” とお爺ちゃんがエンディングでショットガンをブッ放したりとか、随所に洒落っ気たっぷりの仕掛けがしてあって笑ってしまう。完全に替え歌感覚で遊んでますね、この夫婦...(笑)
Carole King - OH NEIL!
②He Takes Good Care Of Your Baby [C.King-G.Goffin]
「オー・ニール」は私の知る限り最も有名なアンサー・ソングだが、この「ヒー・テイクス・グッド・ケア・オブ・ユア・ベイビー」の存在はこの盤で初めて知った。この曲は彼女がボビー・ヴィーに提供した「テイク・グッド・ケア・オブ・マイ・ベイビー」へのアンサー・ソングとしてジェリー・ゴフィンが詞を書き換えたものをドラ・ディー&ローラ・リーがリバティ・レコードからリリースしたもので、ココに入っているのはキャロルによるデモ・テイク。 “彼女を大切にしてやってくれよ” という元歌に対し、 “彼、私のことをとっても大事にしてくれるわ... でも私はやっぱりあなたがいいの” という女の子目線の歌詞が面白い。要するに自作曲の続編というかセルフ・パロディー感覚で遊んでいるのだが、この粋なセンスこそがジェリー・ゴフィンの真骨頂なのではないかと思う。
CAROLE KING - He Takes Good Care Of Your Baby - PHILCOLD.wmv
③It Might As Well Rain Until September [C.King-G.Goffin]
キャロル・キング5枚目のシングル「イット・マイト・アズ・ウェル・レイン・アンティル・セプテンバー」は元々ボビー・ヴィーのために書かれたものだったが、彼のプロデューサーが前作「テイク・グッド・ケア・オブ・マイ・ベイビー」と曲調が似ている(←確かに!)とボツにしたキャロルのデモ・テイクをアルドン・ミュージックのドン・カーシュナーが気に入ってシングルとして発売したところ、彼女にとって60年代で唯一のヒット曲(全米22位)になったという。 “今はあなたと離れ離れで会えないから べつに9月までずっと雨でも構わないわ” という乙女心を見事に表現した歌詞が印象的なこの曲、スローな出だしから一転アップテンポになるところなんか技アリだし、キャロルのぶっきらぼうな歌い方も良い味を出している。ヘレン・シャピロによるカヴァーもオススメだ。
Carole King - It Might As Well Rain Until September
Helen Shapiro - It Might As Well Rain Until September (1966)
④Look Who's Talkin' [C.King-G.Goffin]
マニアックなガールズ・ポップ・ファンには「ダム・ヘッド」や「アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー・ホワット・ドレス・トゥ・ウェア」でおなじみのジニー・アーネルが1960年にデッカからリリースした「ルック・フーズ・トーキン」もゴフィン&キングの隠れ名曲で、ビートルズ前夜の60's白人ポップスの典型と言ってもいいようなキャッチーなナンバーだ。ティーン・ポップスの王道を行くジニーちゃんの弾けるような歌声もいいが、ティーンエイジャーになりきったようなキャロルの無邪気なヴォーカルも捨て難い。オールディーズ・ファンにとってこの CD は宝の山だ(^o^)丿
Look Who's Talkin'
Ginny Arnell
⑤Breaking Up Is Hard To Do [N.Sedaka-H.Greenfield]
これはゴフィ・キン作品じゃないけれど、大好きな曲なので気にせず紹介。初めて聴いたのはカーペンターズのヴァージョンで、出だしからいきなり “カマカマ ダンドゥビ ドゥダンダン~♪” という意味不明なフレーズの波状攻撃に “何じゃいこの曲は???” と思ったものだが、コレがいつの間にか脳内リフレインを起こして病み付きになってしまうという麻薬的な魅力を秘めており、気が付けば鼻歌気分で “カマカマ~♪” と口ずさんでいた。もちろんニール・セダカのオリジナル・ヴァージョンも大好きだが、まさかこの愛聴曲をキャロルの歌声で聴けるとは思わなんだ(≧▽≦) 彼女のヴォーカルって決して上手くはないんだけれど聴き手の心を魅きつけてやまない何かがあり、何度も何度も繰り返し聴きたくなってしまう。いわゆるひとつのヘタウマ・ヴォーカルというやつだが、いやはやまったくこれだから音楽は面白い(^.^)
Carole King - Breaking Up Is Hard To Do