shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Rocker / Elvis Presley

2010-08-18 | Oldies (50's & 60's)
 初めて買った2枚組のベストCD を聴いて “さすがにジョン・レノンが絶賛するだけのことはあるわ(≧▽≦)” とエルヴィスの魅力に開眼した私はもっと色々な曲を聴いてみたいと思い、次に買う盤の選定に入った。 “気に入ったアーティストは徹底的に聴き込む” という習性は今も昔も変わらない。
先のベスト盤は50's、60's、70'sとキャリア全般を見渡せるという意味でもエルヴィス初心者にピッタリの内容だったが、大好きな「ブルー・スエード・シューズ」が入っていないのが玉にキズだった。そこで2枚目に買うエルヴィス盤は “【1】とにかく「ブルー・スエード・シューズ」が入ってて、【2】ベスト盤と出来るだけ被らない選曲で、【3】他にもバリバリのロックンロールが一杯入ってる” 盤にターゲットを絞り、レコード屋でもらった電話帳みたいなCDカタログで彼のCDを片っ端から調べ上げた。そこで網に引っかかってきたのがこの「ロッカー」である。
 このアルバムはエルヴィス生誕50周年を記念して1984年にリリースされた編集盤で、タイトルが示すようにロッカーとしてのエルヴィスに焦点を当て、50年代エルヴィス音源の中からロックンロール・クラシックスのカヴァーを中心にセレクトされている。ビートルズで言えば来日10周年記念として1976年に企画された「ロックンロール・ミュージック」みたいなモンだろう。今と違って当時の私はオリジナル・アルバムと編集盤との違いもあまりよく分かっていなかったし、この CD が上記の条件を全て満たしていたこともあって、即買いを決めた。
 このアルバムは最初 LP フォーマットで発売されただけあって収録曲は12曲、トータル・タイムにしてわずか25分53秒なのだが、これがもう言葉を失うぐらいカッコ良いナンバーのオンパレードで、最近の70分以上入った無味乾燥な CD を聴くのがアホらしくなるくらい密度が濃い。私なんかいつ聴いても次から次へと繰り出される名曲名演の波状攻撃にアタマがクラクラしてしまう(≧▽≦) シングル・ヒット曲の①「監獄ロック」で始め、間にカヴァー曲を挟んで最後は⑫「ハウンド・ドッグ」で締めるという構成も分かりやすい。
 私が拘った②「ブルー・スエード・シューズ」はオリジナルのカール・パーキンスが霞んでしまうくらいのスリルとパワーに満ち溢れたキラー・チューン。ビートルズにせよエルヴィスにせよ、時代を変えたアーティストというのはカヴァー曲でオリジナルを完全に凌駕して自分のモノにしてしまうところが凄い。とにかくコレを聴いて何も感じなければロックンロールには縁が無いと諦めるしかないだろう。
 いきなり “ワッバパ ルマッパ ラッバンブン!” という意味不明なフレーズで始まる③「トゥッティ・フルッティ」も強烈だ。その圧倒的なスピード感、有無を言わせぬエネルギーの奔流は筆舌に尽くしがたい。この曲を始め、⑦「レディ・テディ」、⑧「リップ・イット・アップ」、⑩「ロング・トール・サリー」と、リトル・リチャードのナンバーが4曲も取り上げられているのも当時のアメリカのロックンロール界の状況を雄弁に物語っているようだ。
 ロイド・プライスの④「ローディ・ミス・クローディ」とジョー・ターナーの⑨「シェイク・ラトル・アンド・ロール」はどちらも映画「レット・イット・ビー」でポールが歌っていたナンバー。そういえばこの盤にはソロ時代も含めてビートルズが取り上げている曲が多く入っており、その辺りもビートルズ・ファンの私にとって非常に親しみ易い選曲だった。このアルバム中数少ない非カヴァー曲⑪「ベイビー・アイ・ドント・ケア」は単純明快な歌詞とノリの良い曲想がバッチリ合っていて結構好きなのだが、オトシマエの付け方が今一歩。ココはやはり「テディー・ベア」みたいなカッコ良いエンディングでビシッとキメて欲しかった。
 50年代エルヴィスの、それも全盛期と言える56~57年の音源の中から火の出るようなロックンロールばかりを選りすぐったこのアルバムは、とても60年以上も前の音とは思えない生々しさで我々の前に屹立している。ビリー・ジョエルじゃないが、“やっぱりロックンロールが最高!”と叫びたくなるような衝動に駆られる1枚だ。

Elvis Presley - Blue Suede Shoes


Elvis Presley - Tutti Frutti (live appearance)


Elvis Presley Baby I Don't Care Colour Jailhouse Rock
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