shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

LOOSE / B'z

2010-08-11 | B'z
 B'z ファンの間では “昔の B'z ” とか “最近の B'z” といった言い方をよく耳にする。まぁ20年以上も第一線で活躍していれば音楽性が変化して当然だろう。「SURVIVE」で彼らに入門してそれ以降リアルタイムで聴いてきた私には今の “ライヴ感溢れるハードな歌謡ロック路線” がツボなのだが、90年代前半の J-Pop バブル黄金期の作品も大好きだ。打ち込みによるデジタル・ビートを強調したサウンド・プロダクションは確かに今の耳で聴くと時代を感じさせるが、曲のコアとなるキャッチーなメロディーは時を越えて心に迫ってくるモノがあるし、何よりも説得力抜群の稲さんのヴォーカルとハードにロックする松ちゃんのギターのコンビネーションは唯一無比、サウンドが打ち込みだろうが生音だろうがそんなこと関係ナシの素晴らしさだ。
 B'z にハマッた1997年当時の私はまだパソコンを持っておらずアマゾンもヤフオクも知らなかったので、そんな “昔のB’z” のアルバムをブックオフのセールで1枚、また1枚と買い集めながら後追いの形で追体験していった。「いつメリ」や「愛まま」といったキラー・チューンの数々はもちろんのこと、「孤独のRunaway」、「RUN」、「Pleasure」、「YOU & I」、「TIME」、「恋心」といった非シングル曲の素晴らしさに触れ、B'z に生涯の音楽を感じたものだ。そんな彼らが J-Pop の枠内で “やれることは全てやり尽くした” といえる大傑作が1995年にリリースされたこの「LOOSE」である。
 B'z のアルバムの冒頭1曲目というのはガツン!とくる強力なナンバーが置かれるのが常だが、このアルバムの出だしも強烈だ。松ちゃんがかき鳴らすギターと稲さんのシャウトだけで聴く者の心をワシづかみにする1分余りの小曲①「spirit loose」は、続く②「ザ・ルーズ」のイントロ的な役割を果たしており、①から間髪を入れずに②の爆裂ドラムへとなだれ込む瞬間がめちゃくちゃカッコ良い。ブラス・セクションも加わってド派手にドッカンドッカンと花火を打ち上げ、ギターが縦横無尽にハジケまくるという理想的な展開で、 “Oh yeah アタマが痛い~♪” で始まるはっちゃけた歌詞も「恋心」に通じる面白さがあって、オラオラ系の曲調とピッタリ合っており、①②セットで最高のオープニング・ナンバーになっている。
 このアルバムに入っているシングル3曲のうち、圧倒的な存在感を誇るのが⑧「LOVE PHANTOM」だ。究極の様式美と言える荘厳なイントロから一転してギターが唸り、デジタルなビートに乗って畳み掛けるようにスピード感溢れるメロディアス・ハードロックが展開されていくこの曲は、4分40秒の中にありとあらゆる売れ線ロック(←もちろん良い意味です)のエッセンスを詰め込んだ感があり、これこそまさに90’s J-Pop が到達した最高峰。絵に描いたような名曲とはこういうのを言うのだろう。曲のクライマックスで稲さんがステージ・セットの一番上からダイヴする(もちろん実際に飛んでいるのはスタントマンなのだが...)というライヴ・パフォーマンスも衝撃的だった(゜o゜) 残る2曲③「ねがい」と⑦「love me, I love you」はそれぞれシングルとは違うテイクが収められており、前者はギター・リフを主体としてリズムを強調した “BUZZ STYLE”、後者はベースを打ち込みから生音へと差し替えた “with G Bass” と呼ばれるヴァージョンになっている。
 ⑤「BAD COMMUNICATION」はダンサブルな打ち込み系サウンドの既発オリジナル・ヴァージョンとは打って変わってアグレッシヴなアコギ・アレンジがめちゃくちゃカッコ良い “000-18ヴァージョン” (000-18とはこの曲で弾いているギターの型番のことで、トリプルオー・エイティーンと読みます)で、ドゥービー・ブラザーズの「ロング・トレイン・ランニン」とタイマンを張れそうなぐらい凄まじいグルーヴ感が圧巻の骨太アメリカン・ロックに仕上がっている。バッコミにはこの他に全編英語詞で歌った“E.style” や 生音主体のライヴ・アレンジで再レコーディングされた“ULTRA Pleasure Style” など、様々なヴァージョンがあるが、私的にはこの 000-18 が断トツの素晴らしさだと思う。
 バラッド系では何と言っても④「夢見が丘」、コレに尽きる。哀愁舞い散る旋律がたまらないドラマチックな曲想、ちょっとハスキーで雰囲気抜群なヴォーカル、心の琴線をビンビン震わせる鬼気迫るギターソロと、文句ナシの名曲名演だ。特にラストのサビでギターとヴォーカルがユニゾンするところなんかもう鳥肌モノで、私的には B'z 隠れ名曲の筆頭候補に推したいキラー・チューン。シングル・カットしていたら大ヒットしていたに違いない。
 アルバム前半が凄すぎて後半は少し弱い気がするが、そんな中ではミディアム・テンポのロック・ナンバー⑬「drive to MY WORLD」が出色だろう。テンションの高さはハンパないし、何よりもハード・ドライヴィングなギターが良い。尚、ジャケットに載っていない隠しトラック⑭「spirit loose Ⅱ」は松ちゃんのギターソロで、1分弱という短さが残念なくらいのグルーヴィーな演奏だ。
 前作「ザ・7th ブルース」で打ち出したヘヴィー・ロック色を保ちつつもキャッチーな聴き易さにも十分配慮して「IN THE LIFE」や「RUN」から更に進化した “B’zの王道ロック” が聴けるこのアルバムは洋邦問わずすべてのロック・ファン必携の1枚だと思う。

B'z ライブ 【LOVE PHANTOM】


B'z BAD COMMUNICATION(000-18)


夢見が丘/B'z
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