一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

「戦後」そして「震災後」へ

2011-07-19 15:53:23 | 雑記


    経済白書が日本経済における技術革新を
    発表し、「もはや戦後ではない」が流行語に
    なったのは1956年(昭和31)。
    それからというもの、何かというと「もはや
    ~」といわれ、物事をはかる物差しのように
    なったが、3.11以降は「震災後」がひと
    つのキーワードのようになっている。

    このところの酷暑、極暑で戦意喪失。
    今風にいえば、まったくモチベーションがあ
    がらない。震災以降の緊張感が(解消される
    のでなく)変則的に溶解したり、切断したよ
    うな感じなのだ。

    ならば、とすべてを放って、好きな書物でも
    ひらくしかない。
    といって手に取ったのが吉村昭の本。
    私は5年前に亡くなった氏のファンで、歴史
    小説ひとつ取っても綿密な取材方法や、人間
    を描く手法に絶大な信頼をいだいている。
    あざとさなどない、誠実な人柄をあらわすよ
    うなエッセイも大好きだ。
    その中にこんなのがあった。

    1927年(昭和2)、東京生まれの氏は、
    子供のときから東京大空襲の話を聞かされ、
    米軍のB29戦闘機による東京大空襲(昭和
    20.3.9)は身をもって体験した。
    焼夷弾が自宅やその周辺に落ちたとき、食料
    品や衣類を入れたリュックを背負って逃げよ
    うとしたら父親から、
    「荷物などかつぐな。手ぶらで逃げろ」
    と怒鳴られた。
    
    事実、関東大震災(大正12)でも荷物など
    背負っていた人はそれが延焼物となって焼死
    し、むしろ着のみ着のままで逃げた人の方が
    助かっているらしい。
    (当時でも24時間過ぎた頃には食物、水が
     届き、餓死した人は皆無だった!)

    そして、当時の大八車や荷車が道路をふさい
    で火消しの障害となったことを警告している。
    家財などを積んだ荷馬車や大八車は今日で
    いえば自動車(車)であろう。
    車はガソリンを内臓しているので、荷車の比
    ではない。それ自体が発火物だ。

    さらに今回の東日本大震災は原発という、
    これまで経験したことのない、そして最も
    危険性のある課題を背負うことになった。
    「歴史はくりかえす」    
    私たちは関東大震災や東京大空襲、その他の
    災害……近年では阪神大震災の教訓から学ば
    なければならない。
    そして、新たに加わった原発事故はもっと
    もっと検証して、国民みんなが知らなけば
    ならない。人類はこのことでロスタイムを
    これ以上、取る余裕はないはずなのだから。
    
    (写真は鎌倉八幡宮の蓮池)
    
    

    
    
    
    
    
    
        

 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿