これでまあ
七十年生きてきたわけやけど
ほんまに
生きたちゅう正身のとこは
十年ぐらいなもんやろか
いやあ
とてもそんだけはないやろなあ
七年ぐらいなもんやろか
七年もないやろなあ
五年ぐらいとちがうか
五年の正身……
ふん
それも心細いなあ
ぎりぎりしぼって
正身のとこ
三年……
底の底の方で
正身が呻(うめ)いた
ーーそんなに削るな
天野忠詩集『私有地』より
新年にあたり、この詩は心に響いた。
過ぎた年月の多くを無駄にしてきた
わが身としては。
今年もまた、正身の乏しい時間の経過
をやり過ごすことになるのではないだ
ろうか。
※ 愛嬌のあるエイの顔(?)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます