秋風が立つと さんまの季節到来。
「さんまの歌」は佐藤春夫の歌(詩)。
私は当初、この歌を
独り者の中年男の悲哀の歌と思い込んで
いたのだが、さにあらず。
「あはれ 秋風よ/情(こころ)あらば伝えてよ
--男ありて/今日の夕餉に ひとり/
さんまを食らひて/思いにふける と。
…… …… ……
さんまさんま /そが上に青き蜜柑の酢を
したたらせて/
さんまさんま/さんま苦いか 塩っぱいか」
実はこの歌、佐藤春夫の恋歌だったのだ。
その頃、
谷崎潤一郎と佐藤春夫は 互いに作家として
認めあう交友関係にあった。
ところが 春夫が 谷崎と不仲の千代夫人に同情、
さらに愛情に変わったことから三角関係に。
当然、絶交状態となる。
やがて和解するが、
谷崎は千代を春夫にゆずりわたすという
「小田原事件」に発展。
(谷崎は 別の女性と結婚)
つまり、
「さんまの歌」は 春夫が千代に向けた
思慕の歌であったのだ。
ああ、驚いた!
「小田原事件」はいまも文学史上にのこる
大事件なのである。
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