吉本隆明氏が亡くなった。
一つの思想史のような人の死だから各新聞は追悼文や
回顧談などを載せている。
私は氏のことはほとんど知らない。
だが、谷川雁を通して書物やメッセージなどに触れる
ことが多いせいか、かなり知っているような気がする
から不思議だ。
両者は、
<吉本隆明VS谷川雁>だったり
<吉本隆明=谷川雁> として語られることが多く、
いずれにしても一つの時代を牽引(けんいん)して
きたことには間違いない。
一つの時代とは60年安保をはさんだ前後数年である。
谷川雁が「大正行動隊」をつくって炭坑労働者の退職
金などで闘っていたとき、吉本隆明はこういった。
「谷川雁がいま大正炭鉱でやっていることは壊滅の
敗軍のしんがりの戦いだ。
敗けるにきまっていると知りながらやっている。
…… …… ……
彼がやっていることが終わったとき、運動の痕跡さえ
終わったときだ」
このフレーズがまさに時代をあらわし、人を語ってい
る。
その意味でこれを聞くとき、身が引き締まらずには
いられないのである。
(写真は近くの梅林にて)
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