庄内浜で獲れた魚が、今年初めて山形市公設地方卸売市場でセリにかけられた。県内内陸部へ消費が広がるきっかけにと、関係者の期待は大きい。
そもそも海岸距離が短い庄内浜は、水揚げされる魚種は多いが漁獲量が少ない宿命を持つ。庄内浜にビッグな水産加工会社が無いのもその背景にある。ただ、日本海を九州から北海道まで日本海を縦断するイカ釣り船団11隻が、酒田港で賑わう出航式は浜の風物詩となっている。庄内浜漁獲高の半分はイカが占める。
昔、庄内浜の魚を内陸に届けたのは「浜のアバ」と呼ばれた背負いの魚行商人だった。早朝に仕入れた魚を陸羽西線経由で、それぞれの地域の檀家を回って商いをしていた。その人数は一車輛いっぱい程だったと言われている。
魚は調理が面倒で、骨や内臓の処理も難しく敬遠されがちである。しかし、そこが旨さの秘訣でもある。大きな魚の切り身もいいが、小魚を焼いたり、煮つけたりは庄内浜の味覚である。最近は小魚の干物もブランド化している。これがまた旨い。健康食品である魚料理の普及をねがう。
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