農村集落付近には重曹な用排水路が張り巡らされている。水を使う稲作に必要不可欠なインフラである。このインフラが設計されているような天候で推移すれば問題がないのだが、それが想定外の豪雨で反乱の危険もはらんでいる。水田のダム機能が数値化されて計算もされているが理屈ではない。
各自の圃場は耕作者が管理をしている。年に3度くらいの雑草の刈り等をして水の通りを良くするよう整備している。問題なのは、川の土手や道路側面の雑草である。地権者が公共自治体であり、草刈りの予算は皆無に等しい。景観や交通事故などを考えて、集落総出で出勤前の早朝に草刈りをしている。これが集落の習わしとして長年実施してきたボランティアである。農村集落は高齢化や空き家が点在し集落機能が危なくなってきている。
出羽三山神社の山伏修行「秋の峰入り」が始まった。これは山伏の修行の場であるが、一般の人も参加して修行を積むことが出来る解放された道場である。1週間の間、羽黒山山頂の「吹越籠堂」に寝泊まりして、山々をかけ巡る「山駆け」や荒行「南蛮いぶし」などに耐え、精神と体を鍛える修行の場である。
文化庁の「日本遺産」にも登録されており、今年は全国から116人の参加があった。参加者は北海道から沖縄まで全国に及び外国人6名も含まれている。8月26日、一行は地元住民に見送られ、手向地区の宿坊を出発。髄神門を抜けて2446の石段を踏みしめ山頂を目指した。
出羽三山の秋の峰は「疑死再生」と呼ばれ、生れ変りの儀礼を体験できる事として知られている。
ラーメンの一人当たりの消費額が山形市が2位の新潟市を抜いて3年連続で日本一となった。山形県全体がその流れである。南陽市は市役所にラーメン課を設置する程の力の入れようである。おかげで、ラーメンはすっかり山形を代表する県民食にとなってしまった。
しかし、山形大医学部が「食べ過ぎると死亡リスクが高める可能性がある」とした研空結果を発表した。6725人を対象にその頻度を調査した結果「月に1回未満」「月に1~2回」「週に1~2回」「週に3回以上」に分けて死亡率との関係を調べた。週3回以上食べる人の死亡リスクが相対的に1,52倍高くなる驚く結果が出た。一方で、統計学的な優位性は得られず「ラーメンを食べる事が明確な原因と断定はできない」ともしている。
研究チームは「塩分の取り過ぎなどがラーメン好きに多く見られる。生活習慣病に及ぼす可能性がある」と指摘している。「頻度と量をほどほどにする事とが大切と」結んでいる。加熱するラーメン合戦はこれからも続くのだろうか。
夏になるとセミが鳴き始める。庭木の多い我が家ではセミの合唱に悩まされる。最初に鳴いた日は確か6月下旬頃だったと思うが「セミが鳴いたね」と初夏となる合図である。その内にアブラゼミやミンミンゼミ、ヒグラシなどが鳴きはじめ、騒音以外の何ものでもない。夏の我家にクーラーはいらない。網戸を全開するだけで涼しく丁度良い。なので、家の中は蝉しぐれの音にかき消されてしまう。
セミの正体はよく知らないが、幼虫時代が長く、木の根の樹液で育つらしい。なので、樹木の多い所に生息し、成虫の蝉は今ぞとばかり鳴き叫ぶ。我が家が絶好の場所なのかも知れない。
暗くなってからセミの脱皮の観察で外に出た。そこには神秘的な光景があった。方言かも知れないがセミの幼虫を「セミばんば」と呼んでいる。のそりのそりと「セミばんば」地中から出てきて大きな木の幹をよじ登り、目の高さ位の所で止まって脱皮を始めた。背中が割れ、羽の付いたセミが出てきた。始めは白色だが、しばらくするとセミの色になる。空蝉を残し明日は「ジージー」うるさく鳴くのだろう。
石破首相は、コメ安定供給に関する関係閣僚会議で「コメを作るなではなく、農業者が増産に前向きに取り組める支援に切り替える」と表明し、50年間も続いてきた減反政策を増産政策に切り替える事を表明した。
昨年以来コメ需給のバランスを崩し、価格が2倍以上に跳ね上がった。有権者の消費者を意識した場当たりのパホーマンスに見える。長年コメの半分を減反した政策に苦しんだ農家をそっちのけの議論に説得力はない。2018年に国は減反政策は止めた事になっているが、実態はJAを通し各県に生産目標示し減反政策は続いていた。
増産になれば米価は下がる。休耕していた圃場の水利整備、圃場企画の見直しは待ったなしだ。餌米を飼料にしてきた畜産農家の方向転換も大変だ。農地の所有者の問題もある。
令和のコメ騒動は日本の在り方に一石を投じた。
山形県の山形市、新庄市の7月の月間降雨量が8ミリと観測史上で最小の雨となった事が山形新聞のトップ記事になっていた。水不足と異常気象の高温は全国的でありの真夏日が連日の報道で物語っている。稲を含めた農畜産物の被害も目を覆うニュースばかりである。雨水の大切さを改めて身に染みて感じている。
その中で私の住む酒田市も例外なく晴天続きである。そして、7月の雨はほんの少しだけだった。でも、猛暑日にはならなかった。「全国で40度などと騒いでいるが酒田は助かった」と喜んでいた矢先の7月31日は台風の影響と思われる南東の風が吹き、フェン現象も重なり最高気温が37度Cとなった。
稲は田植えから83日経って、丁度出穂の時期になった。稲の一生で一番大切な時で、水が必要な時期でもある。「それー」とみんなが一斉に田んぼに水を引くので水の出が悪い。我田引水の言葉が頭をよぎる。私は何とか時間をかけて水を張ることが出来た。稲穂が葉っぱから顔をだし「こんにちは赤ちゃん」と産声をかけそうな気持になる。
酒田市西京田工業団地に2023年にオープンした平田牧場の「平田牧場京田ミートセンター」を視察する機会があった。平田牧場は豚を育てることから、販売、飲食までを一貫した事業として手掛ける会社で、酒田を代表する食肉会社である。店舗は東京を含めて全国に展開している。豚肉の旨さの多様性を引き出す専門店としてブランド力を持っている。
平田牧場の歴史は古い。保存料や着色剤や食料添加剤を一切使わない無添加ソーセージを開発した先駆者でもある。これが生協クラブを中心に大きな広がりを見せ、大きく育った食肉会社でもある。
一方、増え続ける余剰米のコメを豚の餌に配合した事も先駆的で「餌米で育てた豚肉は旨い」と評判になった。それが大きな農政のうねりとなった。水田を荒らさない餌米の作付けは年々拡大しコメの減反政策に大きな役割を果たしてきた。豚肉を一口食べるにも多くの人が関わって、努力している事を忘れてはならない。とにかく「平牧」のとんかつは旨い。
気象庁は山形県を含めた東北南部、関東甲信、北陸が梅雨明けと見られると発表した。東北南部は平年より6日、昨年より14日早くなったらしい。梅雨時は雨らしい雨も降らずに、梅雨明け宣言と同時に真夏日の連続となった。週間予報に当分雨の予想はない。
南北に長い庄内浜は18日一斉に海開きとなった。遊佐町の釜磯、西浜海岸でも海開きが行われ、19日までには鶴岡、酒田、遊佐の3市町村にある11か所の海水浴場全てがオープンする。その中で最大規模で集客力のある湯の浜海水浴場では、湯浜温泉街が中心となったセレモニーが行われ、地元保育園や小学生の子どもたちが中心になって準備体操の後に海に入った。
私の若い頃は内陸からやってくる海水浴客で100万人を超えたと発表され、浜はごった返していた思い出がある。特に湯浜は泊り客も含めて賑わい、浜には多くの浜茶屋が登りを立てて誘客していたことを思い出す。ところが近年、プールの普及が進んだのか、熱中症予防が普及したのか浜辺に魅力がなくなったのか庄内浜はすっかり様相が変り、海水浴客は目に見えて少ない。
湯の浜海水浴場に10軒ほどあった浜茶屋は、今年たった1軒「さかえや」のみとなってしまった。炎天下の浜辺は熱中症の予防も含めてか、若者や家族連れの客が珍しいほどとなった。浜茶屋のかき氷は夏の風物詩、もう昔話になった様な気がする。
山形県の風力発電の歴史は古い。現在の山形県庄内町立川の清川ダシと呼ばれる強風は農作物被害に泣かされていた。その風を逆手に取り山形大学と協力し1979年に1キロワットの発電をして農業用ハウスに利用したが、翌年には強風に耐えきれず羽が破損してしまった。
1988年の「ふるさと創生事業」で再び風による町おこしの機運が高まった。1993年にはアメリカのウインドウパワー社製の技術を取り入れた風車、直径18メートル出力100キロWの風車3基導入した。
以来風力発電の進化は高出力のものが開発され、風の強い庄内海岸や秋田海岸には無数の風車が並び電力を供給している。それが風情となり車窓に飛び込んでくる。いつの間にか自然と調和した風景となっている。
洋上風力発電が遊佐沖と酒田沖に再生可能エネルギー生産の国策として計画されている。遊佐沖が先行している。計画によると高さ200mから300の着床式風車30基が計画され、発電量は45万kWと推定されている。2030年の運用開始に向けた準備が進められている。
事業規模は巨大で、裾野が広く風車の建設や組み立て拠点となる基地港湾の整備、可動後のメンテナンスなど庄内地域を中心に更なる人流拡大が想定される。落ち込んでいる酒田周辺地域の存亡にかかわる大事業の選択である。
参議院選が公示され、20日の投開票へ舌戦が始まった。マスコミは連日その様子を伝えている。「政治と金」「米価高騰」「就職氷河世代への支援」等の難しい問題にどう向き合うのか。それにトランプ関税が重くのしかかる。有権者の意志は20日に示される。
山形県の全県一区は、自民党、国民民主系の無所属、共産党、参政党、諸派の5人が立候補している。事実上、新人自民党と現職で国民民主党系候補の一騎打ちだと見られている。
告示初日に小泉農林大臣が自民党候補の応援で酒田に入った。それも「庄内みどり農業協同組合酒田ひがし支店」の田んぼの真ん中にある農協の敷地内での街頭演説会だった。異常に上がったコメ値段の対策について「備蓄米放出は農家を苦しめるためではなく、放置すれば中食、外食含め国産米から離れてしまう恐れがある。それを食い止める対策だった」と説明した。付け加えて「増産しても安心してコメ作りが出来、消費者も安心してコメが買える環境を整えたい」と語った。
コメ価格の高騰は長年の減反政策の失敗に起因する事への反省はなかった。コメ農家がお灸をすえるのか否かは20日にはっきりする。
天気につられて羽黒山にお参りする事になった。羽黒山・月山・湯殿山の出羽三山の合祭殿は羽黒山にあり、この社殿にお参りすれば三山全てをお参りしたご利益があると言われている。三山で一番高い山の月山は、芭蕉が詠んだ「雲の峰 いくつ崩して 月の山」高い山に雲が折り重なっている様子伝わってくる。月山は夏山スキーのメッカでもある。
羽黒山に着くと、世界各国の研修者とその家族七十名ほどが、国宝・五重の塔などを見学していた。サポートには羽黒高校国際コースの2年生がウエルカムボードを掲げ出迎え、髄神門や鏡池などを英語で解説していた。本来は山の下にある五重塔から羽黒山頂社殿までの1446段の石段を登りつめ、合祭殿までたどり着くのが修行だったがしかし、今はバスが山頂まで運んでくれるので年配のお参りも楽になったと言える。
合祭殿は神秘に溢れ、厳かである。賽銭を投げ入れ「家内安全身体堅固」をうやうやしく祈願した。
おみくじも引いた「大吉」だった。しかし、日常を鑑みると大吉は遠い世界に見える。出羽三山は機会があればお参りしたくなる神宿のひとつである。
アジサイはしっとりとした雰囲気が似合う花である。入梅雨を知らせる花の代名詞と思っていたが、今年は空梅雨のようで暑い日が続いている。そんな中で今年もアジサイは所せましと咲き誇っている。雨の好きなアジサイも雨を待っていられなくなったようだ。
花好きの妻が挿し木で増やし続けたアジサイは庭いっぱいとなりアジサイに囲まれた生活である。何種類かと尋ねると13品種にもなると言う。
アジサイは炎天下より薄暗い木陰を好むようだ。庭木の隙間を狙ってアジサイは植えられてきた。古いものは横にも広がりボリュウムも満点である。花の色は土壌の関係か狙ったようにはにならないとも言っていた。
何年も天塩にかけて育てたアジサイは今年も予定通り咲いてくれた。季節は巡ってくる。
添付した写真は5月9日に田植えし、35日たった昨日の稲姿である。約一か月で成長する様子が分かると思う。品種は「はえぬき」で山形県で一番多く作付けされている主力品種である。県試験場では長年品種改良を重ねおいしいコメを求めてきた。ブランド米はそこから生まれた。
連日報道される「小泉劇場」備蓄米の安売り合戦は米作農家の気持ちを少しも持たない非情なものに映る。需給バランスを崩した農水省の失態をお詫びしてから次の政策を打ち出すのが順序である。減反政策は「止めた」と言いながら生産目標を設定し各県に配分している。目標を超えた作付面積の端数も違法でもないのに、破れば「村八分」の力学が働く。
収穫時期になると国は作況指数を発表する。これが現場との乖離が著しい。農家はくず米をできるだけ除いて一等米として出荷する。国のデーターにはくず米も混合して収穫量としている。
一昨年からコメ不足は現場では感じていた。にも拘わらず放置した農林省の結果がこの米騒動である。コメの位置づけをはっきり示して、次の政策に移る以外には答えはない。「瑞穂の国日本」は何処に向かうのか。
山形新幹線の庄内延伸について吉村知事は「コミュニテイー新聞」の対談記事で「庄内延伸は大いにある」と述べた。夏休みに実施した「子ども知事室で」で山形新幹線を庄内まで延伸をしたらいいとの意見が出たので、私は「それは私も賛成。そうした声があるならどんどん大きくすれば、県も動きやすい」と答えていた。そして「実現すれば内陸地域と庄内地域が道路でつながるだけでなく、鉄路で秋田県とも繋がる事になる。地元から要望が出てくれば県はやりやすい」と述べ、山形新幹線の庄内延伸に新たな期待をしている事が分かった。
山形新幹線はそもそもフル規格ではなく、ミニ新幹線と呼ばれるもので、秋田県と山形県は新幹線ネットから外れていた事に始まる。山形県は福島駅から分岐して山形市まで板谷峠を超える鉄道でミニ新幹線と命名された。日本で初めてのミニ新幹線である。秋田新幹線はそれに続いた。秋田新幹線は日本海側の秋田市まで開通させたが、山形新幹線は山形市から新庄市まで県費投入で延伸をさせたが、庄内までは届かなかった。
山形新幹線の庄内延伸は長い間の要望だった。私も県議の現役時代3度も同じ質問をして、仲間議員から冷笑もされた。答弁は決まって「県全体の交通体系の中で考える」だった。やらないとは言っていないとは思っていた。今回の対談で実現が一歩進んだ様にみえる。あとは地元の熱意にかかる。
山形新聞・山形放送が主催する山形県勢懇話会は山形県を4ブロックに分けて、それぞれのブロックで年6回懇話会を開催している。国の中央で活躍している評論家や新聞記者・論説委員や著名アナリストの考えをナマで聞くことが出来る。会員制で会費を払って会員となる。庄内県勢懇話会には30人位の会員がいる。一時間半の講演の後に若干の質疑応答の時間もある。
昨日に開催された庄内県勢懇話会は共同通信論説委員・内田恭司さんで「窮地の石破政権の現状と今後の展望について」世論調査を元にして講演が始まった。内閣支持率・江藤農林大臣の更迭時期や小泉農相就任によるコメ価格制度の分析などにも言及があり、コメ値段の国民の納得感はいくらなのかの調査結果もあった。小泉劇場に振り回されるコメ価格の異常さにうんざりしていたので、講演後自分の考えを含めて質問した。
庄内はコメ所、庄内経済に与えるコメ価格の比重は大きい。コメ生産過剰対策は農地の半分を減反政策で価格カルテルを結んできた。農林省の作況指数の甘さから、コメ不足が発生し異常な値段となった。異常気象もあるが、くず米を除去する振るいの網目の大きさが指摘されているが見直そうとはしない。ここで一割ほどの減収になる。100万トン備蓄された米はたたき売りにあった。備蓄米はコメ値段を下げるためのものではない。今後のコメ値段の落ち着き先を尋ねたが、回答はなかった。
米の種は2年先の作付けを予想して今年発注する。今慌ててもどうにもならない。