山形県遊佐町にすごい男がいる。桝川鮭漁業生産組合組合長であり、山形県鮭人口孵化事業連合会会長も兼務する尾形修一郎である。遊佐町は鳥海山の伏流水が至る所で溢れ出ており、清流で名高い牛渡川がある。鮭の遡上で人工ふ化事業は江戸時代からともいわれている。彼はそれを引き継ぎ温暖化で危なくなった孵化事業を先進地の北見・宗谷管内に技術を学び2016年に指導を受けて先端技術の詰まった孵化場を完成させた。巨額の投資だった。「日本海を豊かな海にしたい」が彼の壮大な夢だった。
孵化場新設の4年後、孵化場は遡上する鮭の豊漁に沸いた。例年の2~3倍の鮭が帰ってきたのだ。すでに不漁に悩む各地の鮭産地から卵の融通が求められて700万個前後の卵を出荷して仲間を救った。全国さけます増殖振興会会長の鈴木俊一(現財務大臣)さんから表彰されている。
孵化場の新設に合わせて石碑も建立されていた。めじかの故郷 桝川孵化場が正面で揮毫は友人で元酒田副市長、書家の中村護さんである。裏面は尾形組合長の理念を私が短文で書いたのが石碑になっている。私の名前を刻みたいと以前からつぶやいていたが、昨日出来たと連絡あったので訪れた。恐縮の限りである。石碑は永久に残る重さがある。
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