昨日、山形県漁港漁場協会通常総会が由良のホテルで開催された。由良は日本渚100選に選ばれた景勝地で白山島と日本海に沈む夕陽は絶景である。わが家から由良まで車で約数十分、快晴で風も無く、気温27℃絶好のドライブ日和である。
先ず国道112号線を南下する。4車線化された真新しい出羽大橋を過ぎると、クロマツ林のトンネルが続いている。庄内砂丘の松林帯の幅は広く、所々に民家やビニールハウスはあるもののうっそうとしたクロマツ林は続く。飛砂から平野を守るため、先人が植林した人工林である。クロマツ林の中に作った庄内空港の滑走路の下をくぐり、湯野浜温泉へと繋がる。速度制限の標識がある。見落とすと速度違反の切符が待っている。
湯野浜温泉街当たりでクロマツ林と別れ、温泉街の海岸沿いに112号線は続いている。加茂港のあたりで112号線は東に折れ藤島方面へと向きを変えるのだが、由良へは県道50号藤島・由良線が引き継ぐ。沿岸沿いを走る県道50号線は曲がりくねり、急カーブの連続であるが、日本海と陸地のコントラストは絶景である。一躍有名になった「クラゲ館」もこの沿道にある。道幅の広い所に車を止め、写真を撮る人や磯釣りを楽しむ人が散見された。私も車を止めシャッターを切った。浜辺を散歩するアベックの向こうを漁船が通っていく。
来年の初秋に「全国豊かな海づくり大会」が開かれる。行幸啓も予定されており、庄内の海に全国の目が注がれる事になる。
新庄酒田地域高規格道路整備期成同盟会の総会が新庄市で開催された。昨年も参加しているのだが、今年は酒田港の好調が背景にあり、この道路の進捗次第では更なる物流の増加が期待できると思われることから、地域活性化への切り札になる現実味を帯びた期待の持てる道路となった。
酒田港のコンテナ貨物取扱量が昨年度最高を記録し、国際コンテナ定期便に中国直行便も加わり週5便体制となった。この急成長は当分続くと見られ、倍々ゲームの様そうを見せ始めている。港湾整備の遅れが心配である。
新庄酒田道路は約50キロ。すでに新庄南バイパス4キロは供用されており、更に升形までの2,4キロが本年度開通予定で、津谷・古口間2,2キロは29年度開通予定を含めた新庄古口道路10,6キロは事業中である。高屋道路3,4キロの事業中を除く古口・草薙間11キロは整備区間であって、工事の見通しは立っていない。さらに草薙・立川間も同様に整備区間であり、立川・廻館間は更に下位段階の候補路線であり整備区間すらなってない状況である。
廻館・新堀間は29年度開通予定で、新堀・酒田間は酒田中央JCTを含めて本年度開通予定と公表されている。併せて12,7キロの見通しは立っている。わずか50キロの高規格道路の内、開通予定が21,3キロ、事業区間が21、6キロで残り7キロ余りの候補路線は相当先送りになりそうである。経済は生き物と言われている。庄内・最上の復権をかけた戦いにボルテージを上げたいものだ。
庄内南部と内陸を結ぶ大動脈六十里越街道は、新緑の美しい時期を迎えた。所々に残雪を残し、豪雪の片りんを残してはいるものの今は、穏やかな街道で車の往来も多い。標高700mの峠道の冬季間は、ドライバー泣かせの厳しい難所である。「全ての吹き寄せる所、月山なり」と言われるように、吹雪の時は、自分の車が道路の何処を走っているのか分からない状況に襲われる事もしばしばである。
六十理越街道は出羽三山の参詣道路として開かれた街道とみられ、奈良時代のころから続く古道である。現在の月山道路として近代化に着手したのが昭和48年で、昭和50年には月山第一トンネルが貫通している。昭和56年には月山道路(月山花笠ライン)として31キロ全線が開通し、山形自動車道酒田線の補完道路として、役割を果たしている国直轄道路である。
山形自動車道酒田線のミッシングリンク解消として、改良を望む声はあるものの莫大な工事費がネックとなって実現が見通せない。六十里越街道の自然は昔のまま。広大な広葉樹林の芽吹きいっぱいの中、今日も街道を快適に車を走らせた。
庄内開発協議会27年度総会に出席した。酒田市が会場で午後1時半の開会である。午前中、県議会会派総会で会派総会長を任命され議事の進行をしていた。庄内は人口減少や商業販売額の落ち込みが激しく危機感を持っていたので、総会には是非出席して、悩みを共有したいと、昼食もとらず時間までに会場に入った。
出席した県議は3名だった。受付で元県庁職員の開発協事務局長が「○○県議にあいさつをお願いしていたのですが、議会で欠席ですので代わりにあいさつをお願いしたい」と言うのだ。「会議は私も一緒で終わりました」と告げ、「頼んだ人に悪い」と断った。席に着いて間もなく、また「頼む」と言ってきた。少々むかっ腹がたった。出席した県議の中からお願いしますと言われれば、相談も出来る。こんな事すら配慮がない開発協は知れたものだと直感した。
案の定、ひどい総会だった。庄内4自治体の陳情、要望を羅列した山形県庄内地方重要事業要望書は100ページにもなる分厚いもので、質疑もなく採択された。たまりかねた酒田市長が「山形新幹線の庄内延伸を申し上げているが、近く実施される知事要望会で、この事について、榎本会長からどう伝えて頂けるのですか」と発言があった。
榎本会長は「私は2件です。日沿道の促進と庄内空港には山形空港の20分の一の350万円の予算しか措置されていない。増額するようお願いするつもりです。後は、各自治体の首長が要望している事を言って下さい」というものだった。
何のための庄内開発協なのか。庄内空港実現に向けたようなエネルギーはないのか。庄内全体が落ち込んでいるこの非常時に何で会場からの意見開陳を求めないのか。庄内を浮力させる智恵を出し合おうとしないのか。
庄内開発協の形骸化はそのまま庄内に投影する。
昨日の読売新聞「エコノ考」に、都市と農村のつなぎ役と題して、飯豊町の農家が東京・高円寺で産直米の即売会が紹介されていた。JR高円寺駅前の「純情商店街」が即売される飯豊産米を「純情米」と名付け、コメ袋は高円寺の夏の風物詩となった阿波踊りが描かれていると書き出している。
このつなぎ役をしたのが10年ほど前のJA青年部が都内の小学校に出向き、バケツ苗を育てた稲作りに始まり、都会の小学生の農村訪問に発展し、商店街と飯豊町の連携に育ち、移住にまで進化した様子が描かれている。確かに都市と農村はつながったように見える。こんな事例は全国にたくさんある。
しかし、農政は転換期を迎え農協法の改正は、農協組織の見直しが最大の焦点で、TPP反対集会を先導する今のJA全中のやり方で消費者の共感をは得れない。閉鎖的な農協は若者や地域社会に経営を開き、自ら変わらなければいけないと述べている。
TPPに参加すれば農業は良くなるのか。問題はあるにしても農協組織が崩壊すれば農業が良くなるのか疑問である。TPP加入に身の危険を感ずる農家の声を誰が代弁するのか。農家自らの考えを述べると消費者の共感は得られないとすると、少数派の農家は黙って消えるだけになる。農政に振り回され、農協を土台としたコメの減反も4割になった。農協を都合よく使い、振り回した結果もう要らないと考えるならば、大量の犠牲者を生む事になる。
「百姓は生かさず殺さず」言いえて妙である。