石垣島宮良川上流部
コロナの歳だったと今年を思い返している。コロナは政治と科学の関係を問い直した。例えば、菅氏が老人8人で忘年会をした。これは科学的におかしい為言い訳が出来ないところに追い込まれた。最初はごまかそうと、マスク会食であるとか、人数を問題にしていないとか、対策のある店だったとか、ところが科学の前には、政治家の言い訳は全く通用しなかった。
それで思い出したのだが、感染症専門家会議が登場である。クルーズ船内のデタラメな感染症対策のときだった。政府の専門官がマスクもしないで、クルーズ船に乗り込んだり、船内の換気装置が実は感染を広げていたりと、科学的知識のないものにはコロナ対策をできないと言うことが明らかになった。
その後は政府は専門家会議の意見に従い感染症対策を取らざるえなくなった。ところがこの専門家会議は、法的には今問題になっている学術会議以上に、政府に対して意見を言える根拠がなかった。政府には感染症危機対策がなかったのだ。
そこで突然、政府は専門家会議を廃止にした。驚いた国民に対して、廃止ではなく、政府に従う部会にしたと言い訳の説明をせざる得なかった。国民にしてみれば、コロナへの恐怖に取り巻かれているときに、一番頼りになるのが専門家の意見で存、素人政治家の言うことなど誰も信じられなかったのだ。
そのご、政府の無能はアベノマスクの配布に表われた。政府はPCR検査の数を増やすことも出来ず、アベ総理大臣がどこが詰まっているのか分からないという始末であった。政府のやることなすこと、思いつきのようなもので、学校の休校も決めた。
コロナ対策を実質取りしきる専門家会議としては、アベノマスク配布の責任まで取らされるのでは、たまらないと考えたのだろう。国民の行動を決めるかのような思い立場にもかかわらず、法的根拠を持たないと言うことに、学者として疑問を持ったのだろう。
このコロナ蔓延の最中、日本学術会議の任命拒否事件が起きた。菅氏はこれが大問題になることは自覚していたという。なぜ、国民が未曾有の大災害の中にいるときに、あえて、学術会議問題を起したのか。感染症専門家会議が国民を誘導する姿に、おそれをなしたのではないか。
国民が政治家よりも、科学者の主張に従うと言うことを変えなければならないと考えたのだろう。政治家が国民を指導するものである存在であることを明確にしたくなったのだろう。国民の安全保障は総合的なもので、コロナに対しても、経済を無視してはならないと言うことなのだろう。
もし、政治家が最善の行動が取れるとすれば、「65歳以上の外出禁止・若者との接見禁止令」である。65歳以下のものはいままで通りの生活をする。これコロナ蔓延の初期段階で、イスラエルの学者が提案した考え方である。出来ることであれば、今でもこれが一番のやり方だと考えている。
出来ないことだ。世界中のほとんどの政治家が自宅から出れなくなる。それが出来れば世界も、日本も良くなることだろう。65歳は在宅勤務に限る。これが科学の判断だと思う。つまり、科学は助言機能を働かすものだ。その助言をうまく取り入れて、政治家は政治を行う。
アベ政権があわてたのは、国民はコロナ蔓延の恐怖の中では、政治家よりも科学者を頼りにする姿だったのだろう。これでは、憲法の改定は出来ない。9割の憲法学者がアベ政権の憲法解釈を間違っていると、学問的に、科学的に、断罪している。
学問を政治の下部にしなければならないと、学術会議の位置づけの変更を考えたのだろう。ところが、一筋縄に行くわけもない。そこで任命拒否事件を起そうとした。共産党系と思われる学者を排除することは、世論を味方に出来ると踏んだに違いない。アベ政権支持層は岩盤と見られた。
この汚い手法による学問の否定は成功するかに見えた。報道も、とくにNHKなどはこの問題では政府補完していると思える姿勢に見えた。報道自体をほとんど行わなかった。かなりの圧力が起きていたに違いない。
菅政権の本質である人事政治がNHKのような人事権を政府に握られた組織では、公共放送の中立性を失うと言うことである。政府のの顔色をうかがい続ける組織には、大きな影響が起こると言うことだろう。政府はいくらでも人事を動かせる。
しかし、国民はまだ学問の科学性を、政治家の思惑よりも重要だと考えている人が多数派のようだ。それが菅政権の支持率低下に現れ始めた。経済重視の政府のコロナ対策が破綻を始めたのは、感染症対策部会の助言に従わない政府の姿勢にあると考え始めたのだ。
勝負の三週間に敗北した政府はゴーツートラベルの中止を決定した。しかしこの科学性の乏しい、場当たり的な対策では間違いなく、感染者の増加は抑えられないだろう。問題は移動よりも65歳以上の老人対策である。どうやって効果的に老人を隔離するかである。これが出来なければ医療崩壊は防ぐことは出来ない。
今回のコロナ蔓延で、ウイルス学と感染症学はすごい進歩をした。原発事故が起きて、やっと原発の安全性が見直されたことと同じである。10年前の高病原性鳥インフルエンザの流行時には、交差免疫すらまともに取り扱われなかった。
学問の成果に基づき、次の感染症の蔓延に対して、政治は対策を取らなければならない。