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日本の存立危機事態とは

2015-06-29 04:13:43 | Peace Cafe

皮肉なことだが、日本の存立危機事態とは、安倍政権の成立だと思う。国会は95日間延長された。ぜひとも有意義な議論を展開してもらいた。今までの国会での議論は有意義な議論が行われているとは、誰も思わないことだろう。議論をしているふりをしながら、問題の周辺で空転しているように見える。一番の原因は集団的自衛権というものが、憲法違反というのは、総理大臣ですら本音では考えているように見える。憲法を改定して、集団的自衛権の行使のできる法律を作りたいというのが、本筋であると従前より主張してきた。しかし、それはなかなか難しそうなので、まず当面の対策として、憲法解釈を変更して、集団的自衛権を行使できるということにする。その根拠は、憲法より上位に国連憲章というものがあり、世界の軍事的行為を規定するものとして、集団的自衛権が認められているということのようだ。日本国憲法の解釈を国連憲章に従って解釈すれば普通の国になるということの説明をするが、意味不明である。

そして、集団的自衛権が行使できるときは、3つの要件がある事態としている。。(1)日本と密接な関係にある他国が武力攻撃され、日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態(存立危機事態)(2)我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使——の新たな3要件ということのようだ。この新3要件がなぜ、集団的自衛権につながるかの説明に、ホルムズ海峡の機雷の除去が出てきた。国民を守るということは、石油が日本に来なくなる事態を、取り除くこともそのひとつだという説明である。つまり、国民の暮らしの経済を守るためには、軍事力を行使できるという意味になる。日本が経済封鎖された場合、経済封鎖した国を攻撃することも、日本国民の暮らしを守るということだと説明されている。この説明をよく考えてみれば、いつでも経済のためには戦争はできるということになりそうである。北朝鮮が日本を攻めてきたとしても、それは、経済封鎖をしている日本としては、北朝鮮の権利として、覚悟しなければならないということなのだろう。

これらの説明がことさらに分かりにくいのは、アメリカの意向を忖度して、この法律を作ろうとしているからである。アメリカに隷属することが日本政府の長年の習い性になっている。アメリカに評価される事が、自分の立場を守るということになる。アメリカに逆らった。鳩山由紀夫氏、田中角栄氏が総理大臣にまでなった人ながら、どのような末路をたどったのか思い出してみればよくわかる。もし、その昔にこの法律ができていた場合、朝鮮戦争のとき参加することになったのだろうかと思う。アメリカの要請はあったのだ。ベトナム戦争のときもうそうだ。韓国のように参加したのか。そしてアフガン戦争では。イラク戦争ではどうなったのだろう。現在時点でいえば、イスラム国の攻撃には加わることができるのだろうか。こうした過去の事例を取り上げて、明確に議論してほしい。それが具体的でわかりやすい議論であろう。

アメリカが北朝鮮がミサイルを撃とうとしているという情報を日本に向けて出す。ミサイル基地の先制攻撃の要請が来た。北朝鮮は建前は気象衛星の打ち上げと主張している。この時に日本の自衛隊は、集団安全保障に基づき、北朝鮮のミサイル基地を攻撃することができるようになる。果たして日本の安全は高まるのであろうか。世界情勢がより危険が度が高まっているという情勢判断である。中国の武力的圧力の増加ということが言われる。中国と領土問題になっている尖閣諸島を国際司法裁判所に提訴することが、日本人の安全を高めるのではないのか。わざわざ棚から下ろしたのは石原氏のやったことだ。その意図は憲法改定である。中国のアジア進出をさえぎるために、わざわざ中国との対立を高めたのだ。日本人の生命を守るためには、どういう選択が正しいのか、正面から議論してもらいたい。


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3 コメント

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憲法解釈 (相田博)
2015-06-30 20:31:34
集団的自衛権は憲法違反ではありませんし、安倍首相もそのようにお考えになっています。そうでなければ、安保法制などに取り組むはずがありません。

憲法学者には、昔、東大教授の憲法学の重鎮の某恩師がいて、その教授が集団的自衛権や自衛隊は憲法違反という立場をとったので、憲法学者の多くはみなそのような考え方になりました。
そのような考え方でなくては、教授、助教授のポストが与えられず、与えられた人はみな憲法違反と考える研究者ばかりでした。結果的に、学会意見は憲法違反が多数派を占めることとなったのです。

≪憲法≫
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第2項で戦力を保持しない、交戦権は認めないとなっていますが、最初に、『前項の目的を達するため』とあります。
この意味は第1項の『国際紛争を解決する手段としては』戦争を放棄するということです。
戦争放棄は限定的に書かれており、「国際紛争を解決する手段」以外の「自衛のための手段」としての戦争、戦力保持については何も書かれておりません。
自衛権には個別的自衛権と集団的自衛権がありますが、自衛権と名前が付けられるのものは、憲法では規定していないのですから、両方とも憲法違反であるはずがありません。
これが素直な解釈です。

「経済のためには戦争はできるということになりそうである。」当然ではありませんか。それでは笹村さん何を守ろうとするのでしょうか?
生命だけですか?
経済は生活の基本です。自由、独立、主権、そして文化、伝統の基礎です。これを守らなくてどうするのですか。
中国に侵略され、人権弾圧、宗教弾圧、政治弾圧を受けているチベットや新疆ウィグル自治区などでは、人々が命を懸けて抗議しています。命さえ助かればそれでいいというのは当初だけで、弾圧が長年続くと耐えられずに命を懸けて戦うのが今までの世界の歴史です。

北朝鮮のミサイル攻撃については、日本に対する攻撃なら当然日本は事前に先制攻撃する準備を進めるべきです。アメリカに対する攻撃ならアメリカは自分で攻撃するでしょう。
笹村さんは、日本が集団的自衛権を行使しない国ならば、北朝鮮のミサイル攻撃の威嚇もないとお考えなのでしょうか?
威嚇されたら日本は、北朝鮮の言いなりにならざるを得ないのではありませんか。

尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も明らかに日本の領土です。それなのに国際司法裁判所に事項支配している日本が訴えると言うのは変な話です。そんなことしたら、領有権について中国と対等になってしまいます。
そもそも、中国が国際司法裁判所に出てくるわけありませんし、その判決にも従わないでしょう。
いつも笹村さんは中国を利する提案をされるのですね。


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一点気になった。 (笹村 出)
2015-07-01 04:31:07
経済のために戦争をするのは当然だと書いてある。
今の右の人たちには、そういう考えの人がいるのかと驚いた。
経済のためと言ってもグローバル企業は、国を超えているのだ。
グローバル企業の利益のためには、これが今の政府の目的ということになるのだろうか。

またいつもの人が名前を変えて書いているような感じだが。
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存立危機事態 (小野翻陽斗)
2015-07-11 15:39:29
今の日本が既に、存立危機事態であると考えます。投稿者のお説の通り、経済的にも、モラル的にも、子供たちやお年寄りの将来についても、です。だからこんな法案でも通すんでしょう?

ですので、法案通りなら、とっとと武器を取って、国民の平和と健康な健全な暮らしの為に政府を倒すべきです。その後のカオス鎮静に、国連軍やら多国籍軍が進駐してくれます。

と、読めて仕方がありません。何で、法文なり法律に解釈が必要なのかの典型として呈示します。時々ですが、人にも拝一刀?のU+203C介錯がひつようですが。

半分ジョークで半分本気です。
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