蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

きいろいゾウ

2018年06月03日 | 本の感想
きいろいゾウ(西加奈子 小学館文庫)

小説家のムコ(武辜歩)は、配偶者のツマ(妻利愛子)と、田舎の古い家に住んでいる。小説はあまり売れないので、ムコは近所の介護施設で働いている。
ムコの小説が売れ始めてプロモーションなどのために上京することになるが、東京には昔の恋人がいて・・・という話。

西さんの小説で読んだことがあるのは「漁港の肉子ちゃん」のみなのですが、タイトルとはウラハラに??これがとんでもない傑作でした。
「他の作品も読もうかな」と思っていたのですが、ちょうど「サラバ」などで人気爆発してしまったので何となく遠のいていました。

「漁港の肉子ちゃん」は、現実的な場面と幻想的な場面のバランスがよいのが特に気に入ったのですが、本作はやや後者の方に比重があって、章の間に挿入される「きいろいゾウ」の童話と相まってファンタジーに近いかな?という感じでした。
というか、終盤までツマはムコの想像上の(=自分の小説の登場人物)キャラなのかと思って読んでいました。

本作で気に入ったのは登場人物・動物につけられたあだ名で、
近所の、いつもズボンのチャックが全開のアレチさん(名字が荒地なので)
近所をうろつく野良犬=カンユさん(肝油ドロップ缶をかぶっていたことがあったので)
庭に侵入してくるチャボ=コソク(姑息なしぐさなので)
妻鹿(めが)さんの飼い犬=メガデス
あだ名じゃないけど、「モッツアレラ・バッカ」という品種のチーズをツマが「モッツアレラ・ばか」と(わざと)言い間違えるのも面白かった。

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