蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

紳士の黙約

2024年07月21日 | 本の感想
紳士の黙約(ドン・ウインズロウ 角川文庫)

サンディエゴの海沿いに住むサーファーで探偵のブーン・ダニエルズは、サーファー仲間から妻の浮気調査を依頼される。一方、伝説的なサーファー:K2が近所のダイナーで殺害される。犯人として逮捕されたコーリーの弁護士に(刑を軽くするための)調査を頼まれる。コーリーの行動には不審な点があり、ブーンは引き受けるが、サーファー仲間からは白眼視される・・・という話。

「夜明けのパトロール」に続くシリーズ第二弾。といっても出版されたのは10年以上前。「夜明けのパトロール」がとてもよかったので、続編を読もうとしていたのを、なぜか最近になって思い出して読んでみた。
ミステリとしての事件解決もまあまあ面白いのだが、ブーンのキャラ(少々ハードボイルド過ぎて現実味が薄いが・・・本作でもなぜブーンがコーリーの調査を引き受けるのかはイマイチ理解しがたい)や、サーファーとしての暮らしぶりの描写の方がむしろ魅力的。

アメリカの西海岸を舞台にした小説や映画は数多いが、最近はほぼ例外なくメキシコの麻薬カルテルが(多くの場合、主人公の敵の黒幕として)登場する。
フィクションなのだ多少オーバー気味表現になっているのかもしれないが、日本の反社的な組織に比べると資金力や暴力のレベルが格段に上のように思われる。気に入らないヤツがいれば、即誘拐して拷問して殺す、みたいなイメージ??
現実世界もこれに近いかもしれない、と思うとなんとも恐ろしい。

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