蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

企業が「帝国化」する

2014年08月15日 | 本の感想
企業が「帝国化」する (松井博 アスキー新書)

著者は、アップル、グーグル、マイクロソフト、エクソンなどの企業は「帝国」化しているという。

著者による「帝国」の定義は次のとおり。
①ビジネスの在り方を変えてしまう(ような企業)
②顧客を「餌付け」する協力な仕組みを持つ(ような企業)
③業界の食物連鎖の頂点に君臨し、巨大な影響力をもつ(ような企業)
この定義からは、単に市場を独占的に支配している大企業、くらいのイメージしかわかず、多くの人が持っている「帝国」のイメージ(帝国主義の定義から連想するもの)とは結びつかないと思う。

本書の結論として、「帝国」のような少数の強大な企業が支配する世界で生きていくための対策を述べているが、あまりにもありきたりな内容でがっかりした。
(読んだのは2013年9月頃)

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エンド・オブ・ウォッチ

2014年08月15日 | 映画の感想
エンド・オブ・ウォッチ

ロスアンゼルスを舞台としたパトロール警官のコンビの活躍を描く。警官たちが自分の服やパトロールカーに装着したカメラやあるいは彼らの手持ちのカメラで撮影したかのようなシーンが多用されているのが特徴。

主人公二人は、(多少乱暴気味ながら)使命感が強く真面目にパトロールをするし、ストーリーもヒネリを効かせた感じはなくて、良く言えば正統派警察映画、悪く言えばありきたり。
それだけに、次々にショッキングな事件が発生するロスアンゼルスって、なんか中東のテロが頻発する地域のような治安状態なんだな、と思ってしまった。

ボーナストラック的なラストシーンがとても良かった。このような構成は初めて見たが、暗い気分で終わりそうな映画の印象をガラリと変えてしまい、「最後まで見てよかった」(実は、DVDで見たこともあって、途中で見るのを止めそうになった)と思わせてくれた。
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経営センスの論理

2014年08月15日 | 本の感想
経営センスの論理(楠木建 新潮新書)

この本によると、著者は運動が嫌いで、横になって本を読むのが大好き(それも半日とか一日レベルの長さで)、長年英語を使ってきたけどイマイチしっくりこない、らしく、(ちょっと私自身に似ているので)共感?を持てた。ただ、本の内容は、どこかで聞いたことがあるような話ばかりだった。

どうも、マネジメント系のビジネス書や教科書を読むと、学問とか科学というより、宗教っぽい方向に流れていくことが多くて、この本もそういった感じだった。
「社員でストーリーを共有しろ」って、「何も考えずにオレについてこい」と言っているのと大差ないように思う。
まあ、マネジメントって大半が人間関係の調整みたいなものなので、そうならざるを得ないとは思うけど。

ところで、運動が嫌いというわりには、本書にはスポーツに関する例え話が多かった。
(やるのは嫌いでも見るのは好きらしい)
そうしたスポーツに関する話題の中で次のは興味深かった。(P171~)
***
聞いた話に基づく推測だが、金メダル集中度4位の韓国もポジショニングの戦略が色濃い気がする。日本に来ている韓国人の友人が言うには、「日本の中高生が運動部でスポーツを楽しんでいるのには驚いた。韓国のクラブ活動では、勝てる種目をやる、やる以上は勝つ、勝つためにやる、という目標が明確で、もっとストイックだ。そういう人しかそもそも部活をやらない」。
一方の日本はというと、オリンピックの成績の背後には、能力重視の戦略があるように思う。とりあえず好きなことをやる。で、頑張る。コツコツと努力する。時間をかけて能力をつければ、オリンピックに出られる(国としては、能力がある順にオリンピックに出す)。能力が発揮できればその結果としてメダルが手に入る、という考え方だ。(中略)
ということで、戦略論に無理やりこじつけてオリンピックの成績について考察してみたが、こじつけついでにもうひとつ。日本の金メダル集中度の低さが能力重視の戦略の現れだとすると、それは同時に日本の成熟を示唆しているという気がする。
ビジネスでも新興業界の若い会社の方が、戦略はポジショニング志向になる。これに対して、業界や企業が成熟してくると、ポジショニングだけでは違いが維持しにくくなる。成熟とともにポジショニングから能力へと戦略の軸足がシフトする傾向にある。
***
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カテリーナの旅支度

2014年08月15日 | 本の感想
カテリーナの旅支度(内田洋子 集英社)

よく、続編を作るのは難しいし、成功することも少ないと聞く。
初めからシリーズ化する予定のものは話が別で、例えばSTAR WARSはエピソード5か6が一番面白いと思うけど、後から付け足した感じのエピソード1~3はイマイチだったような気がする。
ある著者の作品を初めて読んだ時にはとても面白かったのに、2冊目もさらに良かったということはめったにないのも、似たようなものだろうか。期待値が上がり過ぎてしまうんでしょうね。

著者の作品で初めて読んだのは「ジーノの家」。これはとても良かったので、本書も期待して読んだのだけれど、やっぱり、ちょっと落ちるかな、と思ってしまった。
イタリアの各地で暮らした著者が、そこで出会った人の思い出を描くエッセイ集。「ジーノの家」もそうだったが、「これはフィクションでは?」と思えるような内容があって、多少は脚色もあるのだろうか。

表題作の「カテリーナの旅支度」は、やり手の女性経営者カテリーナが、引退後、ヒマを持て余して著者を誘って旅行をした時の話。
カテリーナは綿密な旅行計画を立て、費用を切り詰めて、計画通りに名所を巡って、帰ると記録をしっかりファイリングする。
このようなカテリーナを著者は批判的な見方で描く(旅行は気ままに、ちょっと贅沢を楽しみたい、というのが著者の考え)が、私などは、どちらかというとカテリーナ的旅行の方がいいかな、なんて思ってしまう。ビジネスに毒されているということでしょう。
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