蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

カテリーナの旅支度

2014年08月15日 | 本の感想
カテリーナの旅支度(内田洋子 集英社)

よく、続編を作るのは難しいし、成功することも少ないと聞く。
初めからシリーズ化する予定のものは話が別で、例えばSTAR WARSはエピソード5か6が一番面白いと思うけど、後から付け足した感じのエピソード1~3はイマイチだったような気がする。
ある著者の作品を初めて読んだ時にはとても面白かったのに、2冊目もさらに良かったということはめったにないのも、似たようなものだろうか。期待値が上がり過ぎてしまうんでしょうね。

著者の作品で初めて読んだのは「ジーノの家」。これはとても良かったので、本書も期待して読んだのだけれど、やっぱり、ちょっと落ちるかな、と思ってしまった。
イタリアの各地で暮らした著者が、そこで出会った人の思い出を描くエッセイ集。「ジーノの家」もそうだったが、「これはフィクションでは?」と思えるような内容があって、多少は脚色もあるのだろうか。

表題作の「カテリーナの旅支度」は、やり手の女性経営者カテリーナが、引退後、ヒマを持て余して著者を誘って旅行をした時の話。
カテリーナは綿密な旅行計画を立て、費用を切り詰めて、計画通りに名所を巡って、帰ると記録をしっかりファイリングする。
このようなカテリーナを著者は批判的な見方で描く(旅行は気ままに、ちょっと贅沢を楽しみたい、というのが著者の考え)が、私などは、どちらかというとカテリーナ的旅行の方がいいかな、なんて思ってしまう。ビジネスに毒されているということでしょう。

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