蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

経営センスの論理

2014年08月15日 | 本の感想
経営センスの論理(楠木建 新潮新書)

この本によると、著者は運動が嫌いで、横になって本を読むのが大好き(それも半日とか一日レベルの長さで)、長年英語を使ってきたけどイマイチしっくりこない、らしく、(ちょっと私自身に似ているので)共感?を持てた。ただ、本の内容は、どこかで聞いたことがあるような話ばかりだった。

どうも、マネジメント系のビジネス書や教科書を読むと、学問とか科学というより、宗教っぽい方向に流れていくことが多くて、この本もそういった感じだった。
「社員でストーリーを共有しろ」って、「何も考えずにオレについてこい」と言っているのと大差ないように思う。
まあ、マネジメントって大半が人間関係の調整みたいなものなので、そうならざるを得ないとは思うけど。

ところで、運動が嫌いというわりには、本書にはスポーツに関する例え話が多かった。
(やるのは嫌いでも見るのは好きらしい)
そうしたスポーツに関する話題の中で次のは興味深かった。(P171~)
***
聞いた話に基づく推測だが、金メダル集中度4位の韓国もポジショニングの戦略が色濃い気がする。日本に来ている韓国人の友人が言うには、「日本の中高生が運動部でスポーツを楽しんでいるのには驚いた。韓国のクラブ活動では、勝てる種目をやる、やる以上は勝つ、勝つためにやる、という目標が明確で、もっとストイックだ。そういう人しかそもそも部活をやらない」。
一方の日本はというと、オリンピックの成績の背後には、能力重視の戦略があるように思う。とりあえず好きなことをやる。で、頑張る。コツコツと努力する。時間をかけて能力をつければ、オリンピックに出られる(国としては、能力がある順にオリンピックに出す)。能力が発揮できればその結果としてメダルが手に入る、という考え方だ。(中略)
ということで、戦略論に無理やりこじつけてオリンピックの成績について考察してみたが、こじつけついでにもうひとつ。日本の金メダル集中度の低さが能力重視の戦略の現れだとすると、それは同時に日本の成熟を示唆しているという気がする。
ビジネスでも新興業界の若い会社の方が、戦略はポジショニング志向になる。これに対して、業界や企業が成熟してくると、ポジショニングだけでは違いが維持しにくくなる。成熟とともにポジショニングから能力へと戦略の軸足がシフトする傾向にある。
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