めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

誰もが前に進んでいた時代から、誰もが不安を感じる時代へ

2018-12-11 08:08:04 | 日本人

戦後、日本社会は想像もしない程の高度成長と成り
毎年右肩上がりの景気と共に、人々の暮らしも、
増え続ける収入を、如何に消費に充てるかと言う
笑いが止まらない状態でした。
新たなる産業が生れ、国内総生産はうなぎのぼりと成り
国民生活は、更なる豊かな暮らしを求めて、誰もが、
消費経済社会を幸せな世界の象徴と喜び称えました。

戦争で生活の全てを失い、着の身着のままで明日をも
考えられない毎日に於いて、経済力を増す事が、全ての
問題を解決してくれると、日本人の脳に刻まれたのです。
その為、日本人は、この豊かさがいつまでも続くものと
思い込んでしまったのです。
しかし、バブル崩壊は、そんな日本人の夢を打ち砕き、
今に至るまで、日本人の生活は、一向に幸せと言えず
経済的に豊かと言われる人達であっても、心の不安は
隠せないのです。

経済の高度成長がもたらしたものは、便利で豊かな
暮らしだけでなく、日本全体に、様々な問題を起こし、
負の遺産だけでなく、国民の心と身体の健康も
蝕んできたのです。
日本の自然を破壊しただけでなく、石油化学薬品による
環境汚染は、日本人の体内汚染をも引き起こし、便利で
生活を楽にすると言う様々な日常品は、接触したり
食物と共に取り込む事に依り、日本人の身体を蝕み
膨大なる患者を生んでいます。

安全とされる食物添加物や洗浄薬品は、後に成って
次々に危険性を知らされるも、更なる薬品開発により
日本人は、まるで、モルモットの様に実験台とされ、
多くの国民が、様々な難病に苦しむ様になっています。

経済成長は、国民の為と言うより、一部の人達の利益を
得る為に行われたと言っても過言ではなく、ただ、
便利で豊かと言うだけで、国民は、健康を害し、消費を
促されて来たのです。

この見てくれの便利さ豊かさは、国民生活を豊かにするも
国民の心を幸せに安心させるには至っていないのです。
利益が優先され、国民の心と身体が二の次と成っている
経済成長は、バブル以前と全く変わっていないのです。

多くの国民は、自分の為と言うより、この国で生きて行く為
食べて行く為に必至に働き、自分自身を満足させると言うより
経済的に役に立つと言う事で社会に認められるだけの、
働けど働けど、一向に自分自身の存在価値を認められない
不安で欲求不満の生活を強いられているのです。

例え、豊かな生活を手に入れたとしても、それは、社会との
比較であり、本当にその生活が自分達にとって必要であり
自分達を満足させるものとは言えず、他人と比較して
豊かなのだから幸せなのだと、自分を納得させる事しか
満足を得られないのです。

この事は、全ての国民に共通の感覚とも言え、常に誰かを
上まわる事でしか、安心を得られないのです。
特に対人関係は益々希薄と成り、お互いに相手を認める事も
認められる事も無い、ただ、利害関係のみで成り立っている
人間関係が増えているのです。

人の価値は、自分にどれだけ利益をもたらしてくれるかが重要で
利益をもたらさない相手は、自分にとって価値の無い人と
考える人が多く成っているのです。
この事は、もし利害関係が無くなり、利益が無くなれば、途端に
人間関係は損なわれ、お互いに全くの他人と成ってしまうのです。

その為、近頃の日本人は、誰もが、孤独を感じる様に成っていて、
その寂しさ故、人恋しさに集まると言う若者達も多いのです。
SNSを通して、常に、誰かと繋がっていないと安心できず、
それは、特定の人ではなく、ただ、ネットの上での繋がりで
十分と言え、多くの人が、自分の存在を知ってもらおうと、
様々な情報を載せる様に成っているのです。

しかし、この関わり合いは、単に、自分の存在が知られている
という、この世に存在している意味と自信を確認したいだけに
留まっていて、人として本当に心が満たされるものではないのです。
社会に於いても友達関係に於いても、生きて行く為に利用する相手は
多く居たとしても、本当の自分自身を認めてくれる人は少なく、
日本人の多くが、例え多くの人々が集まる都会に在ったとしても
常に孤独を噛みしめる事と成るのです。

近年、日本人が日本人の心を理解できず、お互いに相手が何を思い
何を求めているのか理解できない人が増えています。
自分の欲望に関しては果てしないとしても、人の気持ちが理解できず
一方的な考えで相手の心や身体を傷つけたり、また、相手を無視し
関わらない事で心に大きな苦しみを与えている事も少なくないのです。

どちらにせよ、多くの日本人が、対人的に如何に他人と関わり合うか
小さい頃から学んでこなかった場合が多く見られます。
それでも、社会の大人の要求を満たす子供は、大人たちに重宝され
自分の思うが儘に育つ事が出来、現代社会の中心と成れる力を
持つことができました。しかし、これとて、大きな問題が有り
自分自身の行動や言動が否定されないで育った事に依り、何でも
自分の主通りできると言う錯覚を起こしやすくなっているのです。

現代社会で多く問題と成っているハラスメントやいじめ、差別は
人の気持ちを理解できず、社会的に上の立場と成った、他人の気持ちを
感じる事が出来ない人達の問題行為と言えます。
この事は、社会的に地位が上がれば上がる程、その影響は大きく
社会を動かす様な立場の人が、この様な育ち方をして来ると
例え、地位が高く人々の願いを叶えられる立場にあろうと、
自分の利益しか考えられず、多くの人々を落胆させてしまうのです。

日本社会は、経済的に発展したと言え、人間社会としては、後退して
しまったと言わざるを得ないのです。
自分の利益の為には、他人を傷つけてもなんとも思わない人が増え
社会的にも、その様な人が増えてくれば、悪循環と成り、至る所で
様々なハラスメントが発生するのです。

この事は、日本人が、長い歴史の中で学んだ、自然や人間との
関わり合いを失ってしまった事が原因と言えます。
多くの人が幸せに生きて行く為には、人を生かし人に生かされる
自然を生かし自然に生かされると言う関係を築くことが大切です。

経済的に豊かな生活は出来ても、自分の心に安心を与え認めてくれる
周囲の人がいなければ、人は、次第に萎えてしまうのです。
お互いに助け合い認め合う事で、其々の個性が生かされ価値観が
満たされるのです。

自分だけの利益や欲望で、他人の物を奪い取ったり心を傷つければ
必ず、同じ報いを受けると言う事を知っていなければ成りません。
その最も醜い行為が戦争と言えます。人が人を殺める事を良しとする
人間としての最も醜い行為と言えます。

しかし、多くの人は、自分が行っている事はそれほど人々を苦しめたり
傷つけるものでは無いと思っているのですが、人の気持ちは、千差万別
と言えるものであり、ほんの些細な事でも、大きく傷ついたり苦しんだり
してしまう人は多く居るのです。

その自分とは違う心を知る力が求められるのです。
それには、同じ空間で対峙して、五感で感じる事が重要です。
相手の気持ちを、全身で感じられる事が、多くのトラブルを回避して
お互いの喜びを得られる方法と言えるのです。
喜びを経済力で置き代えたり、自分の身勝手な考えで表現すれば、
必ず誰かが傷つくと言えるのです。

日本社会で、高度成長期も現在も、最も足りないと思われる事は、
日本人の対人的センスと言えます。
知識は多くとも、現実で直接感じる能力に欠けるのです。
テレビなどで、博学を見せつける番組は多く有りますが、それは、
単なる情報で有って、例え何でも知っていても、対人的に
相手の気持ちを幸せに出来なければ、単なる宝の持ち腐れです。

豊富な知識も、その時その時で、反射的に最も的確な答えが在り
それは、情報に乗せられる答えではないのです。
人は、誰一人同じ考えを持っていないとも言えるのです。
しかし、社会生活をスムーズにトラブルなくする為に、多くの人が
共有する考えに従っているだけと言えるのです。

確かに、多くの人が認める答えは社会生活に於いて正しいと言えますが、
その答えが、そのまま自分の考えとするのは早計と言えます。
人は、生まれてから様々な環境で育ち、其々が、誰とも違う感性を
育てて来ているのです。その気持ちが有って認められてこそ、
多くの人の意見にも同調出来るのです。

いまや、個人の考えが益々打ち消され、社会的な考えや価値が
心に植え付けられる恐ろしい時代と成っているのです。
心の中では、間違っている事としても、誰もが正しいとすれば
従わざるを得ない社会と成って来ているのです。
しかも、その答えを決める人達が、社会を牛耳る人である事が
一番の問題と言えるのです。

利益を得る為に大成に従う事で少数意見を破棄し、考えの違う
一部の人達を弾圧してきた歴史は、日本のみならず世界中に在り
人類の歴史の恥部といえます。
人の住む社会と言うのは、様々な考えが認められた上で、全体の
利益とする考えに従うのです。

国民の思いが、リーダー達の考えに遮られ、独裁的な政治が行われ
国民生活がないがしろにされているのが現代社会と言えます。
一見、自由主義社会であり民主主義の様に見せて、実際は、
国民に多くの足かせを履かせているのは、非常に狡猾なやり方で
多くの国民がどんなに頑張っても幸せに成れない理由とも言えます。
情報を管理し、国民生活を管理し、自分達の思い通りの社会を作る
そんな恐ろしい時代は、二度と繰り返してはならないのです。



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