めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

華やかな春の喜びに水を差す目黒川

2016-04-06 13:30:38 | お花見

これまで、目黒川の桜の美しさを書いて来ましたが、
今回は、あえて、目黒川の問題を取り上げたいと思います。

私が、目黒河畔に住むようになって、早、30年を過ぎますが、

その間、目黒川は大きく変化を遂げました。
最初の頃は、護岸は水面近くまで土手と成っていて、春ともなると
野水仙に始まり、タンポポ、土筆、菜の花と、春の草花が咲き乱れ
都会の川とは言え、まだまだ多くの植物に溢れていました。
子供も、そんな環境が大好きで,土筆を沢山摘んで、お浸しにしたり
タンポポの花でネックレスを作ったりと、春の自然を楽しんでいました。

しかしながら、その後数年で、河川の大改修工事が始まり、土手の

緑は全て無くなり、垂直のコンクリートや鉄板の護岸と成りました。
更に、立派な枝を目黒川に広げていた桜は、ことごとく切り取られて
その後に、一握り程の太さの、見るからにキャシャな桜の木が植えられ
以前の河畔の風情は全く無くなってしまいました。

確かに、歩道は整備され、川の周りにはしっかりとした手すりが作られ

見た目清潔で快適な都会の公園と成っていました。
しかし、それから20年以上に渡っての目黒川は惨憺たるもので、
季節季節の桜の風情は有りますが、それも、街とも川ともマッチせず、
周辺の人々も、単に生活道路として利用しているに過ぎませんでした。

それから30年近くになると、ようやく、桜の幹も太くなり、大きく広がった

桜の枝が川面を覆う様になると、人々の目も次第に川の風情に引きつけられ
雑誌やメディアに取り上げられる様になって、急に全国的に有名になったのです。
特に、ここ4~5年の観光客の増加は著しく、桜の木が大きくなり
川面に掛る大きなピンクのトンネルは、日本だけでなく世界中に発信され
今では、様々な国から桜を見る為に日本を訪れる人達の観光コースに
取り入れられる様にまでなったのです。

と言うものの、様々な問題が出て来た事も事実です。
急激な観光客の増加に伴い、受け入れ態勢が整わず、ゴミ問題、騒音、
宴会によるトラブル等、許容量を超えた問題が噴出しているのです。
中でも、以前からの問題ですが、一番の問題が、目黒川なのです。
流域を大幅に改修して、災害が起こりにくい、流れが滞らず、安全な
川にしたと思ったのでしょうが、実際は、目黒川は、目黒下水道に
成ってしまったに過ぎないのです。

このことは、目黒川に限らず、全国の河川改修事業に共通の事であり

日本の近代化の中で、陰に隠れた問題でもあるのです。
観光客の方々の歓声の中に、頻繁に聴かれる、汚い~!!という言葉は
見た目表向きの利益ばかりを考えてきた日本の行政の汚点でもあります。

海外からも大勢の方達が目黒川を訪れています。

しかし、彼らの言葉の中にも、ビューティフルと言う言葉に混ざって、
水面を見つめ、ダーティと言う言葉が聞かれます。
桜と言う、日本人が愛して止まない日本の美と共に、見るからに汚く
頻繁に悪臭を漂わせる川を見せる事は、日本人にとって、恥でもあり、
悲しい事でもあります。

急速な近代化の代償とは言え、先祖から受け継いできた美しい日本を

これ程にも傷つけ汚している私達は、胸を張って世界におもてなしが
出来ると思えません。
今や、日本の成長を目指し、近隣の諸国が大幅な国家成長を
見せています。
私達が経験したバブルの状態が始まっている国も有ります。
案の定、山も川も海も、かなりの汚染が進んでいるのが現状です。

今こそ日本は、そんな国々に対して、美しい国を取り戻すお手本を

示さなければなりません。
近隣諸国の中には、我が国の高度成長に勝る国々も有ります。
かつて経済力を誇った日本は、新製品を次々に産み出し、
世界の産業をけん引してきました。
でも、今や日本に頼らなくても、優れた製品を作れる国々が増えました。
私達の国は、もはや、工業製品で優位に立つことは難しくなっているのです。

毎年、多くの海外の方々が日本を訪れ、日本を称賛しています。

彼らは、日本の優れた技術や工業力を求めて来るだけでなく、
日本にしかない、春夏秋冬の美しい自然と、日本人が育んできた文化を
学びに来ているのです。
桜を見る事も、日本の文化を知る上で、彼らの心に大きなインパクトを感じ
大自然と融合した素晴らしい日本人を褒め称えるのです。

しかし、そんな美しい大自然が、至る所で汚れ傷付いている事に

私達以上に心を痛めているのです。
私達日本人は、多くの海外の方に、素晴らしい日本を紹介したいだけでなく
彼らの心を癒す美しい自然を提供しなければならないのです。

毎年、ますます有名になって、多くの観光客を呼ぶ目黒川の桜並木は、

これから、多くの古木が寿命を迎え、その数は3割を超えています。
また、新たなる若木を植えて、目黒川の美しさを保ち続けなければ
成りません。
本当に美しい目黒川の桜風景は、私達日本人の心を癒すだけではなく
世界中から訪れる海外の方々の心も癒さなければなりません。
目黒川が、本当に清流と呼べる様、下水道から生き物たちの故郷と
変わって行く事を心から願いたいものです。


桜に目を奪われて見落としがちですが、目黒川は暗青色に汚れ
黒い汚物が頻繁に流れています。



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