日銀マンだった金子兜太さんは、海軍を志し主計中尉としてトラック諸島に送られた。
曰く『笑ってしまうほど軽薄な決断』
地獄の戦地で「この戦争はダメだ」と確信したという。
無謀な国家運営はなぜ止まらなかったのか。
本日の「春秋」は、この話から始まっている。
《一端にあったのが、日銀による戦時国債の巨額引き受けだ》
と話は続く。
これを読んでなるほどと思った。
父の実家のすぐ隣に郵便局があって、有無を言いわせず、無理やりに戦時国債を大量に買わされた。
敗戦と同時に、紙の束は焼けこげた残滓となった、と聞く。
父方も母方の家族も「この戦争は負ける」と早くから気づいていたという。
それでも戦時国債を買うことで戦争に加担した、と亡くなる間際に父は言った。
「春秋」の話はこう続く。
《本来は無理筋の戦費支出が、国債で賄えてしまった。異次元緩和が政府の大盤振る舞いを許す現状も、時にダブって映る。(中略)財政規律を無視すれば行く末を誤る。功罪は冷静に見極めたい》
金子兜太さんは復員後、生活のために日銀に復職し定年までつとめ上げたそうだ。しかし、金子さんといえば、命を懸けた「俳句」である。
『朝はじまる海へ突込む鴎(かもめ)の死』兜太
昭和は まだ 終わらない。
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