羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

見えるものを見たままに描こうとする執念・見えないものを見えるものに転換して描こうとするイマジネーション力

2018年04月01日 09時11分56秒 | Weblog
 特別展『人体 神秘への挑戦』科学博物館について、話をしているうちに、思い出したことがある。
 それは2014年3月〜6月、ちょうどこの時期に開催された特別展『医は仁術』である。
 100年に一度しかできない素晴らしい特別展だと、監修・企画・調整の鈴木一義氏が話しておられたこと。
 たまたま会場に入った時、数名の方に説明しながら、会場を回りはじめた鈴木氏に出会って、何気なくその後をついて話を伺った。
 贅沢なギャラリートークは、1時間を超えてしまった。
「漢方」は、日本で洗練され、深められた優れた医療行為であることが伝えられた。

 今朝、その時の和綴じ本形式で作られた解説書を探し出した。
 今回の「人体」の解説書とは全く趣が異なる。
 つまりそれを意識して和綴じ本にした企画者の並々ならぬ思いを改めて知ることができた。

 どちらも「見たものを見たまま描写する執念がある。同時に、見えないものも見えるものに視覚化するための飽くなき挑戦」の賜物だ。
 同じ人体を見ながら、双方の違いはイマジネーションの傾向の違いで、表現された世界は相当に異なって見える。

 ただし、西欧のリアリズム、微細なもの・見えないものまでも道具を使ってでも描き出す欲求度・熱量は、想像を超えて高いものがあることを今回も感じさせてもらった。
 DNA解析・ゲノムデータから復元された縄文人は具体的な例である。すでにゲノム情報を超えた先の情報も研究対象になっているという。
 見えるもの・見えないものを視覚化する先に、単独の臓器と脳の関係から、臓器同士の情報のやりとりによって生体が維持され「生きる」ことを支えていることの発見。
 ガン細胞と血管の関係。
 本日、午後9時NHKで放送される「毛細血管」の話等々。
 西欧のとことんリアリズムの姿勢が求めた先にある、次なる世界の扉がすでに開かれていることを、特別展ではさらりと示していた。
 その研究は、欧米人だけではなく、国境を超え人種を超えて、生命科学に関わる多くの人の共同研究によるものであることは、誰でもが知ることとなった。

「医は仁術」の解説書と「人体」の解説書を並べて見ていると、双方の文化の違いを否応無しに見せつけられる結果となる。
 しかし、良し悪しの問題・上下関係の問題を超えて、「漢方が目指す先の医療」と「西洋の医療がこれから進めようとしているあり方」双方を視野に入れることは「人間とは何か、自分とは何か、自然とは何か」野口体操の問いを続ける上で大切な要件なのではないかと、気付かされた。

 アルファベットの世界の捉え方、漢字のみの世界の捉え方、漢字とひらがな・カタカナの世界の捉え方、今はまだ混沌(カオス)の中にあることが、いずれ新しい道を見つけ出すのではないか、大風呂敷を広げている夢を見た。
 野口体操に引き寄せれば、生身の身体に根ざした「リアル」と「イマジネーション」の関係を読み解きたくなってきた・・・・・・わけであります。
「自然直伝」とは、よく言ったものだ!
コメント
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