羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

出会い

2018年02月11日 08時39分44秒 | Weblog
 昨日、2月10日土曜日のレッスンでは、日本の御札をしみじみと見ていただいた。

「御札ですか」
 なんで体操に? 狐につままれたような空気が流れた。
 ルーペのほかに、電源にコードを差し込んだ小ぶりの機材をみて、何が始まるのかと少しだけ身を乗り出してくださる。

 そこで順を追って、見ていただくことにした。
 第一声が「えッ」透かし以外にあるんですか?」
「あるんです!

 流石に「御札」である。
 ここまでくると、身を乗り出して、関心を示す人が増えた。

 まず、一つ目は、極小のローマで「NIPPONGINKONIPPONGINKONIPPONGINNKO・・・・・・・・・・・」の綴りが、予想のつかないところにたくさん散りばめられていること。
 直線であったり、波形であったり、楕円形であったり、と裏表に挿入されている。
 少なくとも8倍以上のルーペをつかわないと、裸眼では全く見えず、探し当てられない。
 一万円札、五千円札、千円札、全てに描かれている。
 時間を十分にかけられれば、それぞれの方に探してもらえたが、それも出来ないので、あらかじめ場所をお教えしてしまった。
「こんなところに?!」
 予想もつかないいくつもの場所に、文字は隠されている。

 次は、蛍光発光である。
「紫外線照射器」の出番である。
 岩石・鉱物の同定に使われる「紫外線照射器」で、御札に紫外線を当てると何箇所もの文様が美しく輝く。
「中国では、どんなに小さい商店でも、照射器を用意していて、高額紙幣を受け取ると発光するか、確かめるんです」 
「日本では考えられませんね」
 声には出さなかったが、皆がそう思ったことが伝わってきた。
 偽札をつかまされない用心をしているお国柄を、思わぬところで知るとこととなった。
 思わず発言されたSさんの言葉に、一層のこと御札への関心が増した。
 日常的に買い物をするといった御札との付き合いしか考えていなかったが、日本の高度な印刷技術を目にして、御札には日常を超えた「御札意味」があることを少なからず実感してもらえた、と思っている。

 一晩明けて、2018年2月11日付け 朝日新聞2面 『いちからわかる!仮想通貨」』の記事が目に入った。
“価値の裏付けのない電子データ 円などの法定通貨との違いは?” 見出しがある。
 仮想通貨と日本円などの法定通貨の違いの話だが、昨日のレッスンを受けた朝日新聞読者の方は、少なからず興味を持たれたのではないだろうか(希望)。

「これが体操?」
「これが野口体操なんです」
 いやはや、といったところかもしれない。

 先々週、先先々週に、通貨をテーマにして「野口貨幣コインコレクション」を見ていただいた軽い補足のつもりだったが、実は、次世代への関心の扉を開くことができたかもしれない。
 今、現在、自分には直接関係がなくても、将来はわからない。
 平成も終わりを告げる今年、にわかに「仮想通貨」なるものが世間をおどろかせ、理解の域を超えた現象だけに高齢者をむやみに不安に陥れるか、無関心のまま過ごさせるかの事態を招いている。

 私とて、野口三千三の野口体操に出会わなかったら、日本円の法定通貨である「御札」に潜んでいる様々な隠し事を知ることなく一生を終えていたと思う。
「知ったからどうだって言うの?」
「それはその人にお任せするしかありません」
 しかし、このことを手掛かりに、例えば、堅い話、国家が偽札を作る時と理由、個人が偽札を作る理由等々、考えることに発展させられる。
『いとおかし』なのである。

 このこと以外にも、一般にはあまり知られていない「おもしろきこと」を、野口体操で楽しませてもらった。
 紫外線に関われば「岩石・鉱物の蛍光現象 石の世界」、「装身具の世界」「独楽世界」・・・・・あげたらきりがない。

 それらは少し掘り下げただけでも、人を知ることになる。社会を知ることになる。自然を垣間見ることになる。
 こんな体操を創発した野口三千三の頭の中は、どうなっているのかなー、と今頃になって不思議さへの興味を惹かれる。
 これがいちばん強いかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする