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羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

はじめにリズムありき

2017年09月03日 07時25分17秒 | Weblog
 認知症に音楽療法がよいと言われている。
 たしかに昨日に母の様子を見ていると、音楽、とりわけ上下動を基本としたリズムが心身によい力を与えてくれることがわかったような気がする。
 耳が遠くなって微妙な音程・音色・ニュアンスの違いは聞き取りにくくなっているはず。
 しかし、太鼓や鉦、その他のリズム楽器が刻む音には、とてもよく反応する。
 席もいちばん前だったこともあって、遮るものがなく動きがよく見える。
 なにより、からだに直接、音の波が伝わって、まるごと全身でリズムを受け止めることができた。

 原初 はじめにロゴスではなく、原初 はじめにリズムありき!
 命の鼓動を呼び覚ます律動こそが生きる実感そのものなのだ。
 和太鼓の腹に響く音は、全身を奮い立たせる。
 和太鼓のリズム、阿波踊りのリズム、安来節のリズムに、自然に溶け込む感性が開かれたに違いない。
 
 耳だけで聞くのではない。
 目で動きを堪能する。
 子供からお年寄りまで、さまざまな年代の男女が入り交じって繰り広げられる演者の息づかい、躍動する身体、音の襲来に消えかけていた命がゆり動かされる。
 喜び以外の何ものでもない。
 枠がはずれる、箍が緩む、理性にはちょっと引っ込んでいてもらう。
 そうしたことって大事である。

 事細かな説明はいらない。
 理屈もなしに命そのものと対話する。

 長いこと忘れかけていた音の世界が、私にとってもこれまでとは違った衣をまとって現れた。
 言語による発信も大事だが、身体非言語が発する鼓動の大切さを実感させてもらった。
 外からもたらされるリズムに、からだのリズムが共振する楽しさ。

 はじめにリズムありき。

 リズムに合わせて、どんなからだの条件であっても、人は生き、人は喜び、人は楽しむ。
 そうした機会をうばってしまってはいけない、とつくづく感じた。

 それにしてもさまざまな種類の太鼓は、日本人の脳が生み出した最高傑作ではなかろうか。
 浅草、宮本商店の「太皷館」を再び訪ねたくなった。

 無事に秋祭りを終えられたスタッフのみなさんに、ありがとう、と声を大にして伝えたい。
コメント
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