羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

蘇州夜曲

2014年02月28日 13時10分12秒 | Weblog
 終戦が近づくにつれて変化する暮らしを丁寧に描いている「ごちそうさん」に、本日は、すっかり泣かされた。二度も見てしまった。
 何故、それほど泣かされたのだろう。
 一つは妹の希子が歌った「蘇州夜曲」である。李香蘭の歌は、一世を風靡した。二胡の演奏をはじめ、他にもアン・サリー一青窈何人かの人が歌っている。しかし、今日のドラマのなかの歌とピアノの伴奏、アレンジは、満州に向かう悠太郎の複雑な思いと家族の機微にぴったりで寄り添って、政府や軍に無力な人間の悲しみが伝わった。
 当時、「防空法」なるものがあって、戦時体制下で政府や軍の愚かさや非情さを描いている、と言う内容の記事に出会った。詳しく書かれているので、読んでみてください。

 実は、ある方がFBにこの記事をシェアしていらしたので、そこにコメントを書いたが、そのシェア自体がいつの間にか消えてしまっている。どうした現象なのか、よくわからない。
 コメントに書いたことは、因縁話である。
 母方の実家は、今は西新宿の高層ビル街に変貌を遂げた”淀橋浄水場”のわきにあった。近くには小学校もあり、当然のことに延焼被害を少しでも減らすために住宅疎開(住宅を予め引き倒しておく措置)の地域に当たっていた。昭和19年には、当時、幡ヶ谷にあった「東京体育専門学校」に赴任していた野口三千三先生は学生を引きつれて、破壊消防に当たっておられたと言う。不思議な縁を感じたのは、先生だけでなく両親も同様だったことを今日の「ごちそうさん」で思い出したのだった。
 空襲で焼け野が原になった新宿の街に、いち早く戻った祖父は、ころがる遺体に買い置きしてあった線香を一本ずつ手向けてまわったそうだ。
 着流しで通した祖父は、防空壕はつくらせない。バケツリレーで火を消す訓練は、そんなことでは追いつかないバカバカしい発想だとして家の者にはさせなかった。非国民と言われようが、自説を曲げなかったらしい。

 思うに、国会でも問題になっているNHKだが、ドラマ部門は頑張っているな!という印象だ。
 ウクライナ、シリア、スーダン、アフガニスタン、あちこちでおこっている内戦や政情不安やテロ等々、この時期にこうした内容のドラマをぶつけて来ることに、敬意を表したい。
 憲法の問題。自衛権の問題。武器輸出法案の問題。
 いろいろな問題が山積しているが、基本は「戦争はいけない」の一言である。
 ドラマを見終わって最初につぶやいた言葉は、その言葉だった。
 
 祥月命日も近い。十七回忌も近い。ここで、この時に、野口先生の敗戦後の思いに心を添わせて、野口体操の原点を見直してみたい、と思っている。
コメント
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