羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

時空を超えて“をどる行為”の真髄をありがとう!

2014年02月21日 19時12分33秒 | Weblog
 浅田真央さんのフリーは、本物の感動をもたらしてくれた。
( 朝日デジタルの号外で、おさらいもできます。)
 
 悪夢のリンクで、素晴らしい演技を魅せた真央さんもすごいが、佐藤信夫コーチもすごい。
 おそらくコーチご自身の命をかけた母語による言葉は、リンクへと彼女を引っ張り上げたに違いない。かけた言葉は想像するしかない。しかし、その言葉は金よりも重い価値があることを、暗黙のうちに教えてくれる。
 御年72歳を襲った想定外の出来事は、72年の経験だけではどうにもならない状況だったはず。
 半世紀ほど年の離れたコーチは、彼女に残されている人生の長さを、当然のことに考えたはずだ。 
 今、この状況のなかで、フィギュアスケートだけが人生ではない、と、言えるならどれほど楽だっただろう。
 コーチの胸の内は想像にあまりある。
 賽は振られた。腹を切る覚悟をもって、リング上へと誘ったに違いない。
 失意から立ちあがらせる場は、同じリンクの上にしかない。
 商業主義に負けるな、マスコミに負けるな、政治に負けるな、潰されてたまるか!と、思った人は多いと思う。
 しかし、それよりも、そうした下世話なことを超えた力が働いたとしか思えない結果が産まれた。

 私は思う。
 歴史をひもとけば、日本人が長年に渡って培ってきた“舞い踊る伝統”が、真央さんの氷上の舞に昇華した瞬間に立ち会えたことは幸せだった。
 洋の東西、時空を超えて、純粋に“をどる行為”の真髄を開いてみせてくれた瞬間に立ち会えたことは幸せだった。
 
 2014年2月22日付け朝日新聞「天声人語」は、ラフマニノフの調べを奏でつつ、なかなかに味わい深く綴られていたことを最後に記しておきたい。
 
コメント
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