羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

悪いところをもたったまま

2013年01月19日 11時38分19秒 | Weblog
 これまでに本等々でも書いているが、野口三千三先生の「クリエイティブ・イルネス」病を得てそれが治ることで創造的な仕事を成し遂げる話。
 主には精神的な疾患について言われる事が多いが、必ずしもそれだけでなく内臓疾患にも言われる。
 もっと拡張すれば、野口体操の「上体のぶらさげ」の理論は、野口先生の体育教師を辞めなければならない、とまで言われた腰痛症によって考えられた。
 先生の場合、腰痛症に加えて「胆石胆嚢炎」、「肝内結石」、といった内臓疾患からも独特の身体観が生み出さえれた、といえる。
 このことは『野口体操 マッサージから始める』ちくま文庫版に付録として掲載した坂本龍一氏との対談で話させてもらった。

 さて、私、恥ずかしながら正月三日に、もしかするとひびくらいだったかもしれないが、「肋軟骨骨折」をしてしまった。年賀はがきを出しに行った帰り道、「これからの野口体操はどのうような方向ですすめたらいいのか」「あとを誰に託すか」「それとも墓にもっていくのだろうか」、などと考えているうちに躓いて、右胸を打ったらしい。自分ではどんな風に転んだのか、はっきりした覚えがない。右膝の外側は痛かった。しかし、胸ほどではなかった。右小指は、わからないくらい擦りむいていた。右頬も打ったらしいが、傷一つできなかった。

 一瞬、立ち上がれなかったが、ゆっくり歩いて帰宅。
 かえってすぐに氷で冷やし、その後は残っていた「経皮鎮痛消炎剤」を右胸に貼っておいた。
 翌日は、相当に改善されていた。そのまま冷蔵庫に保管してあった消炎剤を貼り続けた。
 ところが一週間経っても、変化がない部分があった。近くの整形外科にいってレントゲンを撮ってもらうと、肋骨の骨には異常が見られなかった。
 実は、肋骨の軟骨部分は、レントゲンに写らないらしい。そのことをもって「軟骨骨折」と診断を下すようだ。
 結局、自宅で貼っていたと同じ「経皮鎮痛消炎剤」を貼り、胸用のコルセットをつけられた。

 コルセットは就寝の時につけるように言われた。そうしてみると寝返りの際などとても具合がよく、それから二週間ほど、連日のこと同じ治療を続けていた。
 インターネットで調べてみるとスポーツや転倒で起こるらしく、「治療法は、放置」とか、「全治3~4週間」と書かれていた。

 その間、診察に通ったが、その度に診察は「コルセットをちゃんとつけているか」とか「かぶれがないか」を診るだけだった。
 たしかにかぶれたり、喘息が起こったり、副作用が出る場合もあるらしい。この件もインターネット検索をしてみると、甘く見てはいけないことがわかった。

 おかげさまで15日目にコルセットもとれた。
 日常生活の動きに支障は出なかった。ただ仰向け姿勢から起き上がる時に痛みは感じただけだった。
 野口体操の「おへそのまたたき」と「腕立てバウンド」だけは、さすがに痛みを感じて避けたくらいだった。それでも痛みがあるということは、治っていない証拠なので、しばらくコルセットと湿布を貼ることはけいぞくした、というわけ。
 昨日から痛かった動きも出来るように回復している。

 さて、思うに『悪いところをもったまま体育教師を続けるにはどうしたらよいのか』
 野口先生のことばが、支えになって、動揺する事もなく淡々と授業をし続けられたことは、おかげさまなのだ。野口体操に出会わなかったら、からだの怪我や病気に対して、落ち込み、イライラし、できることもやらずに、引きこもってしまったかもしれない。
 考え方も大事。からだとの対話も大事。からだの痛みをどのように捉えるのかも大事。いちばん大切な事は、いたくないような動き方を、その時々に探りながら動き続けること。
 からだとの動きとの折り合いの付け方、からだから発せられるメッセージを聞き取る感覚、ことばにならない僅かな信号を受け取る力。

 それが出来なかったから、つまずき転んだんでしょ、といわれればそれまでで、返す言葉がみつからない。
 そんなもんでしょ、と開き直って、普段とかわらず仕事と日常の家事をこなせたら、いいじゃない!
 体操のお蔭で、このくらいですんだ、と思いたいです。
コメント
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