羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

カーネーション

2011年11月16日 13時12分37秒 | Weblog
 今回の朝ドラの主人公は、お行儀が悪いほどに闊達だ、と言われているとかいないとか。
 戦後66年かけて失ってしまった人情の機微がよく描かれていると思って見ている。
 母が踏んでいたミシンの音が、懐かしさとともによみがえってくる。子供の頃は手縫いの服や、手編みのセーターや手袋やマフラーを身につけて育った。裁縫や編み物をする時の母には、声がかけられなかった。真剣に一途に作り上げる気迫が背中からあふれていた。
 戦後、多くの女性たちは、文化服装学院に通って、洋裁をマスターすることが憧れだった。既製服などない時代だから、自分で作ることが現実問題としておしゃれの一歩なのだ。
 婦人雑誌は今とは異なって、服装や髪型やお化粧以外に、服を作る時の型紙の取り方も載っていた。
 生地屋に出かけるのが楽しみで、どんな服に仕立てようか、とアイデアを練る時間は、当時の女性たちにとって至福の時に違いない。

 ドラマは母の十代の時代を見せてくれている。その意味からも見るのが楽しい。
 和服の着せ方も美しく、当時の日本の服飾にも興味がわく。
 そしてなにより音楽である。龍馬伝の佐藤直紀さんが、ここでもいい味わいを出している。私にとってこのBGMを聞くのもドラマの楽しみなのだ。むしろ音楽を聞きたくて見ているのかもしれない。

 突発性難聴を煩って既に8年が過ぎた。最近ではすっかり忘れているが、右耳の高音部は治りきらずにいて、この音域は鬼門でもある。しかし、音楽というのは低音から高音まで幅広い音域を網羅している。クラシックに限らず西欧の音楽は、低音部がしっかり鳴っていて倍音に厚みとふくらみがある。
 たぶん高音部だけで心の細やかな震えを象徴する音楽の場合でも、短い時間で低音が鳴ってくれるので、耳に障ることは少ないことに気づかされた。
 なにより、甘すぎずどちらかといえばロマンティシズムに流れすぎない佐藤さんの曲が好きなのだと思う。それでも充分に大人の情緒を醸し出しているのだから。
 
 さて、さて、最近はやってくれるNHKだが、今週末の土曜日から始まる「蝶々さん」がどのようなドラマなのか、こちらも楽しみだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする