羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

第20回 東京国際ミネラルフェア

2007年02月27日 19時49分45秒 | Weblog
 東京国際ミネラルフェアが、今年も開催される。
 期間:6月1日(金)から5日(火)
 場所:東京新宿センチュリーハイアット東京+新宿第一生命ビル1階のスペースセブン会場。
 開催時間:10am~7pm 最終日は10am~5pm

 ある日のこと、野口三千三先生は「外国に出られないから東京で開催してほしい」と、懇意にしていた石の業者さんにはなされた。
 当時は、ミネラルというと「水」のことだと思う人ばかり。
 鉱物・隕石・化石といった趣味は、市民権を得てはいなかった。
 欧米ではミネラル趣味は、歴史が長い。
 ロシアなどでは「家の石」まであるそうだ。日本の家紋のような働きをするらしい。たとえばロシアの大統領がニュースに登場する場面を見ると、おそらく執務室だろうか、孔雀石で枠をとっている暖炉があり、孔雀石の色にあう金色の装飾、そしてテーブルの上にも孔雀石に彫刻が施されている文具など、見事な石が目に入ってくる。宮廷ではフランス語で会話されていた、西欧文化の香りが色濃く残るロシアが垣間見られるのである。そしてロシアは鉱物資源が豊富なのだ。
 
 とにかくヨーロッパ文化は「石の文化」といわれるだけに、ミネラルは人々の暮らしにすっかり根付いている。

 さて、日本だ。
 第一回のミネラルフェアに、野口先生とご一緒したのは20年前だった。
 それから毎年通って、その間、状況が許されるときには、「野口三千三授業記録の会」で、初心者の方々に野口先生流「石の楽しみ」を伝授してきた。
 5日間、特別展会場に陣取って、「双眼実体顕微鏡」や「3D写真の見方」や「鉱物の蛍光現象」などを紹介した。

 いちばん凄かったのは、野口三千三先生がなくなってからだが、「砂」を紹介したときだった。佐治嘉隆さんが撮影した「世界の砂」の写真を、3・4メーターほどの壁面いっぱいになるパネルを作って、展示したこともあった。「砂のシンフォニー」と題したような記憶がある。たかが砂に過ぎない。しかし、世界の砂は見事に多彩な表情を見せてくれるのだ。それらの写真を、ほとんどの方が、口を半ばあけたまま見とれておられた。

 さて、今年20周年ということで、楽しいおまけがある。
 チケットに「抽選引換券」がついていて、抽選に当たった方に、毎日素晴らしい石がプレゼントされるのだ。すでに外国の業者からは、驚くほど高価な石が提供されているという。大盤振る舞いなのである。

 今日は、朝日カルチャーのレッスンの後に、久しぶりに東京国際ミネラル協会に立ち寄って、理事のお二人に様子を伺ってきた。
 今年のテーマは「オパール」。展示される石の写真を見せていただいたが、見たこともないようなオパールだ。

 初夏は、ミネラルの季節だ。
 野口三千三先生が亡くなってしばらくは、この会場に出かけると、先生がそこにいらっしゃるような錯覚にとらわれた。近い年齢の方や似た風貌の方を見かけると思わず声をかけてしまいそうになった。
 
 生前ご一緒するのは、楽しかった。先生と会場を回ったり、それぞれが気に入った石を見つけて、お互いに情報交換をし合う。野口先生は手に入れた石を「これを見ろ」とばかりに自慢なさって、その様子がかわいかったのだ。

 あれから9年。野口先生によって開かれたミネラルの世界は、それまでの時間感覚とはまったく異なる次元へと誘ってもらえた。人間の歴史時間は、地球の時間からすると、比較にならない。地球時間が示す価値観は、ちっぽけな人の意識を軽々と超えていく。気がつくと、それまでの価値観が、変えられてしまうといっても過言ではない。

 さて、今年はどんな石に出会えるのだろう。
 ミネラルフェア会場は、不思議なことに、何年過ぎても教室以上に野口先生を思い出す空間なのだ。
コメント
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