日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「先生の『しごきに耐える』かなあ…。『しごき』じゃないんだけれども」。

2013-07-10 08:34:12 | 日本語の授業
 晴れ。
 昨日は雨が降りませんでした。一雨来ると少し凌ぎやすくなる…はずなのですが、昨今はそうはいかないようです。「いいお湿りでしたね」なんて言葉は、もう死語になっているのでしょうか。

 さて、一昨日、怪我をした学生のことです。数年前には、「家を出る時に転びました」と(怪我もしていません。転んだのがショックだったからというのです)、二時間も遅れたスリランカの学生の言い訳がこれでしたから、今回も、「あれだけ身体を打っていたからなあ。自転車に乗ってくるのはちょっと無理かもしれないな」などと思っていたのですが、豈図らんや、きちんと来ていました。

 変わりましたね。これは、以前の学生達の大半が工場などでしか働けなかったのに比して、彼らはレストランできちんと働けいている。つまり職場でも厳しく訓練されているからかもしれません。とはいえ、肩にも、足にも、腰にも、サロンパスを貼り回しているようでしたが。

 おまけに、授業の時、笑うと、塞がりかけた人中の傷がまた開いて血が出たりするのです。だから、「笑うな、抵抗するな(だれかがからかうと、直ぐに言い返そうとするのです)」と言っているのに、やはり、言い返さずにはいられないようで、その度に「痛いです」と顔をしかめます。

 中国人の女性は手加減しませんからね、「痛いのォ」と言いながら、肩を叩こうとしたりします。その度に「先生、Kさんは、本当に悪いです」と訴えられてしまいます。そのくせ、どうして転んだのという問いかけには答えようとしません。だいたい、あのとき驚いてそばに集まっていた連中からして、笑うのですから。本人はばつが悪そうな顔をしているだけ。というわけで、どうして自転車で走っている最中に倒れてしまったのかは判らずじまいです。

 さて、学校です。
 今、一番肩の力が抜けない「Dクラス」です。
 昨日も、一人のスリランカの学生が来た時に、「どうして、先生は怒っているのかわかりますか」と聞いてみると、彼は困った顔をして、「わかりません。…先生、私たち、騒いでしません。静かです」。

 ムッ。そんな私を見て、「先生、本当です」。たたみかけるように言い募ります。そこで、「ムッ」と言ってみました。「…ええ。…私たち。そう、うるさいね。…うるさいの」だんだん声が小さくなります。そこで、解放。

 そして、授業が始まりました。(スリランカ人の学生のうち)一人が、何か言おうとすると、私の顔にサッと目を走らせて、「静かに」と言います。うん、うん。よし、よし。けれども、一人はどうしても、黙っていることができません。とはいえ、一人ではおしゃべりができませんから、自然、言おうとして相手がいないのに気づき、目を泳がせて仕舞いになるを繰り返してしまいます。

 その結果です。授業が終わった時に、「下のクラスに移りたい…」。「今のクラスの授業は、判らなくなりましたから…」。それはそうでしょう。騒いでいるうちに、教師の説明が終わっていることもあります。それに、復習ができていないので、前の単語も忘れていれば、置き換え練習もままならなくなります。単語レベルで「わからない」が始まっているのですから。ただ「初級Ⅰ」の「第一課」からであれば、単語がわからないと騒いで聞く必要もなくなるでしょう。「勉強しなければ、どのクラスに行っても同じです」とは、言ったものの、それが判るくらいなら、こうはなりません。暖簾に腕押しでした。

 とはいえ、どうして、私たちがこんなに怒るかというと、「日本語を早く上達させたい」、「アルバイト先で嫌な思いをさせたくない」、「早く日本に馴染ませたい」などという思いがあるからなのです。その意を汲み取れずに、楽な方、楽な方へと流れていけば、それで終わり。来た時と同じ状態のままで、卒業することになってしまいます。

 以前、中国人の学生が多くいた頃には、早く「上級」の教科書をやり上げてしまい(一級の合格させてしまい)、DVDを使ったり、中学や高校の教科書や参考書を利用したりして、少しでも多く一般知識を身に付けさせようと懸命になっていました(中国人の学生は社会学系の知識が乏しい場合が少なくなかったのです。これは政治体制の問題で、「寄らしめず、知らしめず」が徹底していたからかもしれません)。とはいえ、私たちから見れば、ごくごく普通の知識です。日本人なら、おそらく、小学生でも、興味があれば知っているようなことなのですが。

 本来なら、スリランカやインド、バングラデシュなどの国から来ている学生達も同じように、早くからそう言う知識を入れてやっておいた方が良いのでしょう。けれども、漢字がネックになって、なかなか早く「上級」まで至れません。もちろん、だんだん、ヒヤリング力が増しているので、ついには、漢字よりも知識だということになってしまうのですが。

日々是好日
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