日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「一雨毎の春」。

2013-02-13 09:03:44 | 日本語の授業
 晴れ。早朝まで降り続いていた雨は止み、もう陽が射し始めています。

 最近、よく雨が降るようになりました。いくら寒さが厳しくても、春が近いということでしょう。一雨毎に春の足音が高くなってくるような気がします。この辺りの「ウメ(梅)」の蕾も膨らんできたことですし。

 九州に戻っていた頃は、(九州では)「ロウバイ(蠟梅)」が終わりを迎え、土手には、一面に「ナノハナ(菜の花)」が咲き乱れ、家々の庭は「コウバイ(紅梅)」やら、「ハクバイ(白梅)」やらで美しく飾られてい、もう春真っ盛りといった感じだったのですが、戻ってみると、ここ行徳では、まだまだ…。

 関東の中では暖かい地方に属するとはいえ、まだそれほどの、春の華やかさは訪れていなかったのです。やっと冬の終わり、春の初めを伝える「ツバキ(椿)」が、終わりかけているかなというくらい。

 まあ、そうはいいましても、ツバキの花に時折訪れる「メジロ(目白)」や「ヒヨドリ(ヒヨドリ)の姿は、春を感じさせらるものですし、日の光もかなり強くなってきたような気がします。

 と、こういうふうに、季節のおとないを感じとろうと耳を欹て、目を凝らしているのは、この地に慣れ親しんだ人間だけ…。まあ、それも仕方のないことですけれども。

 世界では一年中同じような気候の中で暮らしているという人達も少なくないのです。またほんの一瞬の花の季節に喜びを見出しながら暮らしている人もいることでしょう。もし、これが日本人であったら、勝手に無常観に浸っていたりするのでしょうが、そういう感傷とは無縁の世界で生きている人達の方が、もしかしたら多いのかもしれません。人の生理と自然の移ろいとは無関係なのです、そこでは。

 四季がある程度はっきりとしており、またそれが人間の暮らしとかなり大きな部分で関係を持っているという気候区に住んでいる人間達だけが、花が散っただの、紅葉の色が薄いだのといって、不幸になったり、幸せになったりしているのかもしれません、あるいは。

 さて、そうはいいましても、目の前にいる学生達のことです。

 もう数ヶ月になるでしょう。ずっと立ち直れないでいる学生がいます。帰りたいといいながらも帰れない。日本にいたくないと言いながらも、いるしか術がないことはわかっている。考えれば考えるほど堂々巡りに陥り、それを自分でもわかっている。けれども、這い出ることが出来ない。

 結局は、まだ、どん底にまで落ちていないからなのでしょう。落ちてしまえば、道は四方八方に広がり、融通無碍であることがわかるのでしょうが、それまでは、どういう忠告も、耳には届かないようです。私たちに出来ることは、彼のことを気にかけている人間がここにもいるということを、何かの折りにでも伝えることくらいなのですが、それでもまだまだ暗いトンネルの中にいるようです。

 暗きより暗き道にぞ入りぬべき遥かに照らせ山の端の月   和泉式部

日々是好日
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