日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「『卒業文集』の作文書き」。

2014-02-19 07:39:36 | 日本語の授業
 「立春」を過ぎてから、ずっと厳しい寒さが続いています。二度の大雪に見舞われ(きっと、一度目は学生達、「見舞われ」ではなく「恵まれ」と思ったことでしょう)、雪が止んでからも、ずっと…寒い…のです。

 そして、今日も、家を出た時から、寒かった…。もちろん昨日とは違い、風はありませんから、自転車に乗りながら、むむむむむ…進めん…とぼやく必要はありませんでしたけれども。

 自転車で、(学校までの)いくつ目かの角を廻った時のことです、「寒雀(かんすずめ)」が羽を膨らませながら突っ立っているのを見つけました。すると、そこに大きな「斑猫(ぶちねこ)」がやって来たのです。「雀」だって馬鹿じゃありませんから、すぐに飛び立ってしまったのですが、この「ぶち」、寒さをものともせずに、悠然と歩いているではありませんか。見たところ、飼い猫です。家の、コタツの中でウトウトしていてもよさそうなものなのに。人が肩をすくめ、急ぎ足で会社に向かって歩いているのはわかります。もうそれは「習い」といってもいいことでしょうから。

 ところが、「猫」が、です。最近の猫は、どうも、関東地方の、この寒さを、ものともせぬらしい。寒さどころか、もしかしたら、あの大雪の時だって、平然と雪道を歩いていたかもしれぬのです。「猫はコタツで丸くなる」というのは、いやはや、もはや、伝説の歌詞になってしまっているのかも…なんて考えさせられてしまう、昨今の猫でありました。猫語で、「寒いんだよ」と語りかけましたら、ギロリと睨まれてしまいましたもの。

 さて、学校です。

 今週は、卒業生クラス以外の、三つのクラスで、『卒業文集』のための、「作文書き」が始まっています。出来上がった作文を見ると、それぞれに大変だったこと、そして楽しかったことなどが綴られています。もちろん、「綴られて」なんて優雅な状態で書かれたものではなく、その間には、それぞれ紆余曲折がありました。

「なァんにも、書くことなんて、あァりィましェん」「そんなことはないでしょう。日本に来てから、いろいろなことがあったでしょう(本心…脳みそを絞れ)」
「私は頑張りました」「そうですか(本心…勉強は頑張っていないだろ)」

 まあ、大変だったことはよくわかります。彼らの国は、ベトナム、スリランカが大半を占め、後はフィリピン、中国、ミャンマーと多くの国は南(中国も南方の人たちです。少年以外は)ですもの。

 この冬の寒さです。作文書きにしても、去年の、つまり前のことはすっかりどこかへ行ってしまい、「辛い」、「寒い」という、この冬の、今のイメージから始まってしまい(風邪でバタバタ倒れました。雪道で転んで打撲傷になった学生までいましたし)、4月から来ている学生だって、7月や10月に来た学生だって、夏や秋のことがどこかに吹き飛んでいましたもの。

 けれども、面白いことに、「CDクラス(去年の1月、4月、7月、一人の10月生の混合)」では、アルバイトを探すのに、もう困らないだけの日本語の力はついているようで、どこかしら文章にも余裕が感じられるのです。これが三、四ヶ月前であったなら、こうはならなかったでしょうけれども。

 それに比して、「10月生クラス」や「1月生クラス」は、まだ日本語がままならぬと見え、何でもいい、あれば(辛くとも、荷運びでも何でも)やるというアルバイトで糊口を凌ぐしかない学生が少なくないと見え、余裕がありません。やはり、来日して進学を目指すのなら、国で余程日本語をやっていない限り、4月か、遅くとも7月には(日本に)来ていたほうがいいようです。

 これが、「漢字圏」の学生ですと、10月くらいに来ても、本人の母語のレベルが上でありさえすれば、それほど大きな問題にはならないのです。もっとも、中国人でも、なかなかアルバイトが見つからずに困ったという学生は、私の記憶の中に、一人、いることはいるのですけれども。

 彼は、かなり日本語が流暢に話せていましたから、いつも面接までは漕ぎ着けるのです。けれども、行くと、「ごめんなさい。家の店は狭いので」とか、「小さいので」とか、言われ、断られてしまうのです。

 よくこぼしていましたっけ。「日本の店はどうしてあんなに小さいんだ。狭すぎて、歩くスペースがない」。最後は、彼と同じくらい大きな店長がいる店に採用になりましたから、何事も根気よく、腐らずにやればいいと言うことなのでしょうけれども。

 (作文の)その中に、こんなことを書いている学生がいました。「最初は電話が大変だったけれども、四、五回もやると、みんな同じことを聞いているのに気がついた。それで電話での応答が楽になった」。そうですね。それで私達は、とにかく練習半分だと思い、電話で応募してみるように言うのです。

 とはいえ、あと半分ほどは、まだ「清書」書きが済んでいません。本人は「家でやる」と言っているのですが、家で勉強するという習慣がない国の人たちがほとんどです。きっと、お尻に火がついてから、休み時間にアタフタと書くのでしょう、「待って、待って」と言いながら。

日々是好日
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