日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「中学生さん」達の補講

2008-08-23 12:30:56 | 日本語の授業
そろそろ「オープンキャンパス」の頃ですね。楽しく行って、楽しく帰って来られるといいのですが。

 大学の先生方にもお願いです。何かのご縁があって、せっかく見学に行った外国人の学生達です。嫌な思いをさせないように、「お心遣いの程を」、お願いいたします。

 それはさておき、また、「中学生さん達」の話です。水曜日はバラバラとやってきました。一人は、定刻の二十分くらい前に、一人はお金をおろしたので遅れたと、定刻より二十分くらい遅れて。タイの子は、その一時間後に、お弁当にパンを抱えて(しかし、かわいそうに食べられなかった。すぐカードを渡して、覚えるように言ったので。多分明日からは食べてから来ることでしょう)ニコニコしながら、やって来ました。

 早く来た子は(定刻前にきていても、始まる時間まで)、ぼんやりしているのです。中学生に毛の生えた程度の子達ですから、しょうがないと言えばしょうがないのですが、これではね。早く行くように親に言われ、その通りに来ていても、学校に来てから「後がない」のです。中学校ではありませんから、友だちもいませんし。早く来たことを、ただ「褒めてもらってうれしい」だけの顔をして。それを見て、「ふむふむ。来たらすぐに、単語カードを渡し、自習の習慣をつけさせねば」と、心を新たにしたのですが。

 まず、一番始めに来た子に、「1課」から「12課」までの絵カードのうち、「動詞」の半分を渡し、覚えるように言いました。その子が、ワッサワッサと覚えているうちに、もう一人が来たので、残りの半分を渡し、同じように言います。

 一時間ほど過ぎてから、タイの子が来たので、「12課」までの「形容詞」の絵カードのうち、半分を渡し、覚えるように言いました。そのうちに、前に来た子から、「覚えた」という声が上がりましたので、「動詞」の「13課」と「14課」の絵カードも入れていきます。

 彼らの「覚えた」は、正確に言うと、「覚えた」ではありません。「二回ほど、(教科書の)翻訳を見て、確認が取れた」という意味なのです。母国でも、きっとそうだったのでしょう。

 後は、「『覚えた絵カード』を、まだ『覚えていない絵カード』と交換するというやり方で、10時まで個人作業です。個人作業といっても、私が、すぐ目の前で、「耳をそばだてて」、「単語」や「発音」の間違いを言い立ててやろうと待ち構えているのですから、気が休まる時間もないでしょう。その上「文句(三人から見ればそうでしょうね)」をつけたりしたものですから、一時間もしないうちに、最初に来た子が音を上げてしまいました。「先生、疲れたあ」と。

 やはり、身体は正直なもので、「来た順」に疲れていきます。

 それが終わったら、もう一度、絵カードを使って、みんなで確認をし、次に「昨日渡したプリント」の読み合わせです。昨日よりよかったところは、書いている言葉以外の単語が出始めたことでしょうか。それが終わってから、カタカナの練習です。そして、11時から12時まで、「問題集」をやっておくように言って、私は別のクラスの授業に行きました。

 さて、翌日の木曜日です。またタイの男の子が遅れました。「昨日あれだけきつく言っておいたのに」と、ムカムカしながら待っていると、10時過ぎにハーハー言いながらやってきました。そして、電車の遅延証明を見せて、「先生、先生」と言います。妙典の駅で事故があり、それで、「電車」が遅れたのであって、「自分」が遅れたのではないということを言いたいのです。けれど、(言いたいけれども)言えない、言える言葉がない。言葉はないけれども、言いたい。その繰り返しで、いらいらしながら、全身を揺らしています。

 解りましたので、わたしも「ハイ、大丈夫」と言い、すぐにカードを渡しました。もう何をすればいいのか解っています。絵カードを見ては、大きな声で言い上げます。覚えていない単語は、翻訳を見ていきます。タイの学生は、特に「発音の問題」が大きいので、一斉授業では、なかなか時間をとりにくい。このような「一対一」で教えられる時に、指導を加えておきます。中国人の発音も「ナ行」と「ラ行」が混乱しているという例はありますが、ここにいる二人の中学生達にとって、「発音」は、それほど大きな問題ではありません。

 タイの子は「ヒ」と「イ」が同じに聞こえるのでしょう。「ハヒフ…」と言うと、「あ。『ヒ』だ」。と言えるのですが、単独だと聞き分けられないのです。けれども、まだまだ、一ヶ月。耳の問題は、時間がかかります。

 もっとも、本人はそうはいっていられないようです。似た「音」が多く、聞き分けられないので、自分で自分に怒っています。「チ?」「シ?」。「シャ?」「チャ?」小首をかしげながら、「うん、うん」言っています。「大丈夫、大丈夫。いらつくな。直によくなる」と、こちらも目で言って、まずは1課から15課までの単語の復習です。それから、三人に、「カタカナ」のテストをしました。「表」は書けるけれども、カタカナで書かれた単語を読むのは難しいようです。

 そして、金曜日。昨日はタイの男の子が一番乗りです。そして、一生懸命、「3時に起きた」と言います。「『朝起きられないのではないか』と心配で、眠れなかった」と言うのです。見たところ、目も赤いようでしたし、大丈夫かと心配になりました。聞いてみると、力なく頷いて「大丈夫」と応えます。ますます心配になって、「何時に寝たのか」と聞いてみると、「9時」。全く、もう。心配しただけ損をしました。

日々是好日
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